就職活動で企業に提出するES(エントリーシート)や履歴書には、「学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)」という項目がよくありますよね。面接でも聞かれることも多い質問ですが、「何を書いてよいのかわからない」という就活生も多いのではないのでしょうか?
そこで今回は、企業がエントリーシートを書かせる目的を解説し、具体例と解説を交えて「学生時代に力をいれたこと」の書き方を紹介したいと思います。
- ・企業がESに「学生時代に力を入れたこと」を書かせる意図とは
- ├学生の興味や経験を知りたい
- ├組織や仕事への適性を見極めたい
- └論理的な思考や説明能力があるか知りたい
- ・「学生時代に力をいれたこと」に使うエピソードのポイント
- ├学生時代に力を入れたエピソードの選び方
- └エピソードの深掘り
- ・「学生時代に力を入れたこと」を書くときの文章構成
- ├結論ファースト
- ├全体の流れ
- └仕事にからめたアピールで締めくくる
- ・「学生時代に力を入れたこと」の例文と解説
- ├家庭教師アルバイトのエピソードをもとにしたESの例文
- └解説
- ・まとめ
企業がESに「学生時代に力を入れたこと」を書かせる意図とは
就職活動の手順は、プレエントリーを行い、説明会に参加し、エントリーシートを提出、その後適性試験や面接といった手順が一般的です。つまり、企業にとって学生を知る最初の資料がエントリーシートなのです。
学生の興味や経験を知りたい
それでは、企業が「学生時代に力を入れたこと」を書かせる目的はなんでしょうか?企業の採用担当者は、学生の興味や経験を知りたいと思っています。
学生時代にがんばっていたことからは、学生の「得意なこと」「好きなこと」「学生時代に学んだこと」などがわかります。力を注いだ経験から、学生がどんな人物なのかを知ろうとしているのです。
組織や仕事への適性を見極めたい
また、「学生時代に力を入れたこと」を聞くと、「ものごとへの取り組み方」「周囲との関わり方」「問題解決能力」などもわかります。
学生が将来仕事でどう活躍するかに関わる、多くのことを一気に知ることができる質問と言えるでしょう。採用担当者はこの質問に対する回答から、社風や募集職種とのマッチングを見極めているのです。
論理的な思考や説明能力があるか知りたい
「学生時代に力をいれたこと」の質問に限らず、ES(エントリーシート)や面接では、論理的な思考や説明能力があるかを見られています。
エピソードがわかりやすく説明できるか、話の構成がしっかりとしているか、説得力のある説明ができているか。こうした能力は仕事でも必要とされる場面が多いので、しっかりとアピールしていきましょう。
「学生時代に力をいれたこと」に使うエピソードのポイント
「学生時代に力をいれたこと」を書く際には、選考を受ける企業への適性があり、仕事で活躍できるということがアピールできるように書く必要があります。そこで重要になってくるのが、エピソードです。ここでは「エピソードの選び方」「エピソードの深掘り」について解説します。
学生時代に力を入れたエピソードの選び方
学生時代に力を入れたことは勉強、アルバイト、ゼミ、趣味などいろいろ考えられます。楽しかった出来事、悲しかった出来事、苦労した出来事、沢山の出来事が思い出として残っていてどれも捨てがたい思い出とは思います。
「学生時代に力をいれたこと」には、企業が求めている人物像に自分が当てはまることをアピールできるエピソードを選ぶことが重要です。企業が求めている人物像にピッタリあてはまるエピソードがなかったとしても、嘘のエピソードは避けましょう。できるだけ企業が求めている人物像のイメージに近いエピソードを選んでみてください。
そして「力を入れたこと」を通じて自分の長所や学んだこと、ものごとへの取り組み方などをアピールでき、それがその企業で役立つことがアピールできるようなエピソードなら、よりいいですね。
エピソードの深掘り
エピソードを効果的に伝えるためには、以下の要素が欠かせません。
◇頑張った動機
「なぜ、その活動をしようと思ったのか」という質問は、学生の行動指針を知るために多くの面接官が聞くことです。自分の価値観や考え方の軸を踏まえつつ、一貫性のある理由を説明できるようにしておきましょう。
◇困難をどのように乗り越えたか
入社後も困難に直面することは起こりえます。採用担当者は、学生が困難に直面したときにどのような行動をとるのかに注目しています。困難をどのように乗り越えたのか、できるだけ具体的に書きましょう。
◇自分の強みはどこか
エピソードを使って、同時に自己PRもしていくようにしましょう。エピソードのなかで発揮された自分の強みを書くことができるとエピソードに裏付けされた強みとなり説得力が増します。
◇その経験から学んだことを仕事でどういかしたいか
人事は学生が成長できる人材なのかということも気になっています。経験から学んだことを、志望している企業でどのようにいかせるのかまで説明できればベストです。
文字数によっては、4点すべてを書くことは難しいかもしれません。文字数が少ないときは、いちど深掘りして4点説明できるようにしてから、重要なところだけ書くようにしましょう。
「学生時代に力を入れたこと」を書くときの文章構成
結論ファースト
結論をはじめに書いて後から詳細の説明を書くということを心がけましょう。企業の採用担当者は毎年とても多くのエントリーシートを見ることになります。何百人、多ければ何千人かもしれません。
したがって、何に力を入れたのかが序盤に簡潔に書かれていないと、最後まで読んでもらえないことだってあり得ます。また、相手に伝わりやすい構成で文章を書く能力自体が評価の対象にもなるので、初めての人でも読みやすい文章構成になるよう推敲を重ねましょう。
全体の流れ
具体的にどのような要素を盛り込むかは文字数にもよりますが、 力をいれたことの簡潔な説明→力を入れた動機→いかした自分の強み→出した成果の詳細→学んだこと というような構成が一般的です。
仕事にからめたアピールで締めくくる
最後は、「学生時代に力を入れたこと」の経験や学んだことを、「仕事でどういかしたいか」「どういかすことができるのか」ということで締めくくるようにします。
採用担当者はそのエピソードを聞いて、あなたが仕事で活躍している姿をイメージできるでしょうか?仕事で活躍できることをアピールする、という視点を忘れないようにしましょう。
「学生時代に力を入れたこと」の例文と解説
それでは、実際に就職活動で内定をもらったエントリーシートの具体例を紹介しましょう。字数制限が200字程度の例です。
家庭教師アルバイトのエピソードをもとにしたESの例文
「学業以外に最も注力していたのは、家庭教師のアルバイトです。ここで相手を理解する大切さを学びました。
私は家庭教師をする学生を指導する立場でしたが、上手く教えられないこともありました。そこで私は学生の個性を活かすことを考え、個別に教え方を変えて指導してみることにしました。
その結果、指導がスムーズにいくようになりました。この経験から相手を理解し、その適性に合った対応をする大切さを学びました。」
解説
この文章はポイントで説明した通り、自分のものごとへの取り組み方(この場合はうまく教えるために「学生の個性を活かし個別に教え方を変える」という臨機応変な対応を行った)がうまくアピールできるエピソードとなっています。
また、「力をいれたことは何か」と「学んだこと」を最初に端的に伝えてから問題解決の過程や学んだことの詳細を書くという、最後まで読んでもらいやすい文章構成になっています。
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まとめ
・ESに「学生時代に力を入れたこと」を書かせる目的は、学生の能力や価値観、行動特性を知り企業への適性を測ること
・企業が求めている人物像に自分が当てはまることをアピールできるエピソードを選ぼう
・結論をはじめに書いて後から詳細の説明を書く文章構成にしよう
エントリーシートは企業にとって学生と触れる最初の資料です。文は人なりという言葉もありますが、エントリーシートの文章もその人のことを表すものです。
自分自身のことを、自分のことを知らない相手にうまく伝えることは非常に難しいことですが、うまい伝え方を一度身につければそれだけで就活が格段にスムーズに進むようになります。ポイントを押さえたエントリーシートを作成して、内定を摑み取りましょう!
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