就活の企業研究に必須!有価証券報告書の読み方と見るべきポイント

有価証券報告書は企業が公開している正確な情報を得られる有用な資料です。就活生が企業研究で活用する場合どの項目に注目すればいいのでしょうか。有価証券報告書の読み方や、見るべきポイントを徹底解説します! 

目次

有価証券報告書ってどんなもの?

有価証券報告書とは

有価証券報告書とは年度ごとに企業が外部向けに作成・公開している企業内部の開示資料です。金融商品取引法によって一定の条件を満たす企業はこの有価証券報告書を事業年度終了の3カ月以内に提出することが義務付けられています。就活生に人気のある大手企業や上場企業のほとんどの企業は有価証券報告書を開示しています。

有価証券報告書には企業の概況や経営状況などが報告されていて、企業内部の最新情報を知ることができます。有価証券報告書に載っているのは公認会計士や監査法人など、企業以外の第3者の目が通されている正確な情報なので企業の実情を知るのに最適です。

有価証券報告書はどこで見られる?

有価証券報告書は誰でも無料で見られるようになっていて、ネットで簡単にチェックする方法は次の2種類があります。

企業の自社サイト
金融庁のEDINET(エディネット)

有価証券報告書は企業のコーポレートサイトの投資家向けの情報が載っているページで見ることができます。IR情報やIR資料室といった書き方の場合もあります。

金融庁のEDINET(エディネット)というサイトからも、企業名で検索して有価証券報告書を見ることができます。

有価証券報告書と決算短信の違いは?

有価証券報告書と似たようなもので、「決算短信」というデータもあります。決算短信は、投資家向けに発表される決算の速報で、速さが重視されているためデータの細かさが有価証券報告書とは異なります。

有価証券報告書は決算短信に比べてじっくりと時間をかけて作成できるため、より詳しい情報が記載されています。事業のリスクや細かい分析などが記載されているのも、有価証券報告書の特徴です。

有価証券報告書の読み方のポイント

年度末に提出される有価証券報告書は文字数も多く、また専門用語も登場するので読みにくいと感じている学生は少なくありません。ここでは就活生が有価証券報告書を読む時のポイントをいくつかご紹介します。

全てを読む必要はない

有価証券報告書を読む時のポイントとして、資料の最初から最後までの全てを読む必要はありません。企業の経営状況や事業戦略など、企業研究に必要な情報を得ることができればOKです。読みたい項目を目次を見てページ検索で飛ばしながら見ると効率的です。

有価証券報告書の他にもIR情報と一緒に掲載されている「決算説明会プレゼンテーション資料」や、採用ページの事業や職種についての説明ページも併せて見てみて下さい。決算説明会プレゼンテーション資料は事業の概要などを図表などで分かりやすくまとめられています。採用ページでは事業内容や職種ごとの説明が就活生向けにわかりやすく載っているので企業研究もしやすいです。

過去数年間の資料と比較する

有価証券報告書は2~3年分の資料に目を通し比較すると、その企業のここ数年の傾向が分かります。赤字が続いているのか、赤字があったが持ち直してきているのかなど経営状況を知るためには過去の資料と比較することが必要です。企業によっては5~10年分ほどの資料がバックナンバーとして公開されているので是非目を通してみてください。

就活生が有価証券報告書で見ておくべき項目

就活生は有価証券報告書ではどの項目を見ておくべきなのでしょうか。企業研究を進めるのに押さえておくべきポイントを解説します。

売上高や経常利益

企業の業績を知るためにまずは売上高と経常利益を把握しておきましょう。『業界地図』などで見られる企業のランキングは売上高の値を基準にランク付けされています。合わせて注目すべきなのが経常利益です。売上高が大きくても経常利益に赤字が続いていると売上より経費がかさんでいるということが分かります。

余裕があれば経常利益率も把握しておくとより経営状況について理解が深められます。経常利益率は企業の収益性を示す数字で、値が高いほど生産性のいい状況ということです。標準は3.0くらいだと言われています。経常利益率は経常利益率(%) = 経常利益 ÷ 売上高 × 100で算出することができます。

【項目の探し方】
・売上高・経常利益 第一部【企業情報】→「第1 企業の概況」→「1 主要な経営指標等の推移」

・経常利益率
経常利益率(%) = 経常利益 ÷ 売上高 × 100

従業員の状況

従業員の状況では従業員数や平均年収、従業員の平均年齢や平均勤続年数、労働組合があるかなど、実際に働く上で気になる情報が記載されています。ただ平均年間給与(平均年収)などはあくまで会社全体の平均なので、若手社員のときからその年収であるとは限りません。また労働組合についても特に記載することがなければ書いてない場合もあります。

【項目の探し方】
・従業員の状況
第一部【企業情報】→「第1 企業の概況」→「5 従業員の状況」

事業の状況

事業内容や業績、経営方針や経営課題などを見ることができます。特に「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」と「2 事業等のリスク」の項目は注目すべきです。企業がどんな事業を展開しているのか確認できるだけでなく、今後の経営方針や事業の課題も知ることができ選考対策にもなります。

この項目を確認しておけば、選考で「当社の課題は何だと思いますか」などの質問に対しても根拠を持って答えることができます。

【項目の探し方】
・事業の状況
第一部【企業情報】→「第2 事業の状況」
→「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」
→「2 事業等のリスク」

経理の状況

経理の状況では貸借対照表や損益計算書など財務諸表が掲載されています。ここでは企業がどれだけ資金があるか、負債があるかなどを見ることができます。貸借対照表で特に注視すべきなのは純資産です。純資産合計の値を資産合計で割ると自己資本比率を算出することができます。

自己資本比率はその企業が返済しなくてもいい純資産を示す割合で、企業の安定性見る指標の1つです。一般的には自己資本比率が30~40%の会社は安定していると言われています。

【項目の探し方】
・経理の状況
第一部【企業情報】→「第5 経理の状況」

・自己資本比率
純資産合計÷負債・資本合計×100

就活生が気になるポイントも有価証券報告書でわかる

離職率が気になるなら「従業員の状況」をチェック

長く働きたいと考えている人は、離職率が気になるところだと思います。離職率を公表していない企業も多いですが、有価証券報告書にある「従業員の状況」の平均勤続年数から離職率を予測することが可能です。

平均勤続年数が短いと離職率が高いと考えることができますが、創設から間もない企業や、ここ数年で新卒・第二新卒など若い世代の採用を急激に増やしている場合は必然的に平均勤続年数が短かくなるので、様々な数字を総合的に見るようにしましょう。

志望動機作成に役立つ情報が知りたいなら「事業の状況」をチェック

「事業の状況」では、事業の概要や生産・販売の状況などがまとめられています。どんな事業に力を入れているかについても記載されているので志望動機作成のヒントになる要素も見つけやすいです。

現在の事業のリスクや取り組むべき課題などについての企業の見解も書かれています。研究開発についても詳しく知ることができるので、志望動機作成に役立つでしょう。

どんな事業に注力しているか知りたいなら「設備の状況」をチェック

その企業が力を入れている事業や分野を知りたいなら、「設備の状況」を確認するのがいいでしょう。「設備の状況」には、事業ごとに設備投資金額が書かれており、投資金額の前年比や投資目的なども記載されているので、どんな事業を拡大しているかがわかったり、逆に縮小傾向にある分野なども見えてきます。

就活生が有価証券報告書を活用すべき理由

有価証券報告書を使うことでより深い企業研究ができる

企業のホームページを見たり、説明会に参加したりといった活動は多くの就活生がしています。情報源が同じため、志望動機なども似たようなものになりがちです。そこであまり多くの就活生が見ていない有価証券報告書を使うことで、他の就活生に差をつけることができます。

企業研究がしっかりできていると他の学生とは違う一歩踏み込んだ質問ができたり、熱意がある・企業への関心が高いという印象を与えられます。逆質問が思いつかない時にも、有価証券報告書を読み込んでみるのがおすすめです。

データと合わせてインターンシップも活用すると効果的

有価証券報告書を読むことで、第3者の目が通った正確な企業の経営状況を知ることができます。「大企業だから安定している」「有名企業だから働きやすい」とは限りません。信頼できるデータからその企業を知ることも大切です。

就活では数字だけではなく、自分の目で見たリアルな情報も欠かせません。企業の経営状況だけでなく、仕事内容の詳細や会社や社員の雰囲気などを知っておくと企業選びで迷うことも少なくなります。インターンシップを活用して企業の雰囲気などを体感することも忘れないでください。

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最後に

有価証券報告書は企業の経営の状態について正確に書かれている資料です。会社説明会などで聞けない情報も載っていることがあるので積極的に活用することをおすすめします。しかし企業への理解を深めるには直接社員と話してみることも必要不可欠です。企業研究の一環としてインターンシップなどにも、積極的に参加してみるといいでしょう。


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