日本の大学生は、海外の大学生に比べて勉強時間が短いと言われていますよね。自分もその一人だと思う方もいるでしょうし、しっかり勉強している方もたくさんいるでしょう。大学時代に全然勉強していなかったのに、社会に出て活躍している先輩もいると思います。
日本の大学生は本当に勉強時間が短いのでしょうか?平均的な勉強時間は、いったいどのくらいなのでしょうか?
ここでは、アメリカと日本の大学生の勉強時間比較をし、大学生が勉強しない理由やこれからも勉強しない時代が続くのかなどについても考えます。
- ・大学生の勉強時間はどのくらい?~アメリカの大学生との比較~
- ・日本の大学生はなぜ勉強しないのか?
- ├理由1:大学の成績が評価される場がなかったから
- └理由2:企業の新人教育が充実しているため
- ・新卒の採用選考に大学の成績が利用されはじめ、大学生が勉強する時代が来ている!
- ├文科省が採用選考に大学の成績を利用することを推奨
- └企業も就活生の大学の成績に注目
- ・忙しい大学生が勉強時間を確保するには
- ├隙間時間に勉強する
- └朝早く起きて勉強する
- ・忙しい大学生が時間を有効に使うには
- ├長期休みを計画的に使う
- └有給のインターンシップに参加する
- ・最後に
大学生の勉強時間はどのくらい?~アメリカの大学生との比較~
「学生の学修時間の現状(文部科学省)」によると、日本の大学生の一週間あたりの勉強時間で、一番多いのが「1~5時間」で57.1%。次いで「6~10時間」が18.4%、11時間以上が14.8%、まったく勉強しない「0時間」が9.7%です。全体の約85%が、1週間に10時間以下しか勉強していないということになります。
一方、アメリカの大学生は、「11時間以上」と答えた学生が58.4%と全体のおよそ6割を占め、日本の大学生で一番多かった「1〜5時間」は15.3%と少数派に含まれます。まったく勉強しない「0時間」もわずか0.3%でした。
日本の大学生がいかに勉強していないか、アメリカの大学生との比較ではっきりしたと思います。
日本の学生の中でも、大学生の勉強時間が一番少ないというデータもあります。一日のうち、学業(学校の授業、学校の宿題、塾や予備校での勉強を含む)に使う時間が一番多いのは、中学生で8時間以上。次に高校生の約7.7時間、次に小学生(10歳以上)の約6.9時間、最後が大学生の約6.3時間となっています(総務省「明日への統計2015」より)。
大学生の勉強時間は、小学生より短いという結果でした。「日本の学生は大学に入った途端勉強しなくなる」ということが浮き彫りになっています。
日本の大学生はなぜ勉強しないのか?
日本の大学生が勉強していないことは分かりましたが、その理由はどういったところにあるのでしょうか?
理由1:大学の成績が評価される場がなかったから
海外の企業では、採用選考で大学時代の成績を参考にするのが当たり前です。その際に使われるのがGPA(Grade Point Average:成績の平均点)と呼ばれる、個人の成績を点数化し、その平均を表したものです。
GPAが、面接の事前選抜に使われることが多く、「A社の面接に行くには、GPAが〇〇点以上ないとダメ」「B社の採用試験はGPAが〇〇点以上ないと受けられない」、といったように受験資格の目安としても使われています。海外の大学生たちは、志望企業の採用試験を受けるために大学の講義も熱心に受講します。
一方日本では、大学時代の成績が採用選考に使われることはこれまでほとんどありませんでした。大学時代に勉強を頑張ってよい成績を納めても評価される場がないため、頑張ろうと思う学生も少なかったのかもしれません。
理由2:企業の新人教育が充実しているため
日本の就職市場においては、新卒の一括採用が一般的です。入社後は、電話の取り方や名刺の渡し方などのビジネスマナーから始まり、業務上必要な知識やスキルまでしっかり教え込まれます。社会のことや自分が携わる業務のことを知らなくても困ることはないので、大学時代にビジネスマナーや、志望する業界で活かせるスキルを学んでおく必要がなかったのです。
一方欧米には、大学生の新卒を一括採用する仕組みはありません。人材募集はオープンポジションといって、ポストに空きがでた分だけ補充する仕組みです。例えば、「広報担当者が辞めたから広報ができる人を1名募集」「新しいシステムを開発するからエンジニアを5名募集」といった具合です。日本における中途採用のような形で、常に即戦力となる人材が求められています。
新卒であっても、そのビジネスに関する知識やスキルがないと給与に反映されますし、そもそも採用される可能性は低いです。そのため、欧米の大学生たちは、志望企業で即戦力になるべく、ビジネスシーンで活かせるスキルや知識を大学時代にしっかり学んでいるのです。
ここまで見てきたとおり、欧米諸国に比べ勉強する必要に迫られていない日本の大学生ですが、これからも勉強しない時代が続くのでしょうか?
新卒の採用選考に大学の成績が利用されはじめ、大学生が勉強する時代が来ている!
文科省が採用選考に大学の成績を利用することを推奨
2017年には文科省が「平成30年度就職問題懇談会申合せ及び就職・採用活動時期に係る政府要請について」で、大学の成績を採用選考に積極的に取り入れることを推奨しています。
“少なくとも卒業・修了前年度までの学業成果を表す書類(例えば成績証明書や履修履歴等)を選考の早期の段階で取得し、採用面接等において積極的に活用することにより、学生の学業への取組状況を含めて適切に学生を評価することを求める。”
今後は、新卒の採用選考に、大学の成績が利用されることが一般的になることも考えられます。
企業も就活生の大学の成績に注目
これまで就職活動では、大学時代の成績よりもサークルやアルバイトなどの課外活動が充実していることが重要だと考えられていたと思います。課外活動がこれからも重要であることは変わりありませんが、近年、大手企業を中心に新卒の採用選考に履修履歴データ(成績表)を利用する企業が増えてきました。
企業は、学生の成績表から客観的な事実に基づいた評価を知ることができますし、力を入れていた授業の話やその理由を聞くことで、課外活動のエピソードとは違った学生の魅力や個性を引き出すことができます。また、授業の選択の仕方から、学生の価値観や個性を見ることができるなど、収穫が多いようです。
忙しい大学生が勉強時間を確保するには
授業やゼミ、サークル、アルバイトと、毎日予定が詰まっていて忙しいという大学生は多いと思います。そのためなかなか勉強できないという人でも、ちょっとした工夫で勉強時間を確保することができますよ。
隙間時間に勉強する
忙しくて時間がないという学生は、移動時間や隙間時間を使って勉強をしてみてください。電車やバスの中では、ついついスマホで時間を潰すのが習慣になっている人も多いと思いますが、その時間を勉強の時間にしてしまいましょう。
オーディオ教材などを活用すれば、満員電車の中や歩きながらでも勉強をすることができます。講義を録音しておけば、移動中に復習をすることもできますね。
朝早く起きて勉強する
まとまった時間を確保するなら、朝の時間がおすすめです。朝は脳も疲れておらず、集中力も高めやすいので勉強するのに理想的な時間帯です。朝いつもより少し早く起きて、勉強を始めてみてはどうでしょうか?
忙しい大学生が時間を有効に使うには
大学生の本分は勉強ですが、大学時代にやっておくべきことはたくさんあります。ここでは、みなさんが大学時代により多くの経験ができるよう、時間を有効活用する方法をご紹介します。
長期休みを計画的に使う
「毎日忙しくて時間がない」と感じている大学生は、長期休みを上手に使うことを考えてみましょう。大学生になると、夏休みや春休みは2ヶ月以上、冬休みでもほとんどの大学が2週間近くあります。
長期休みは、大学の授業がある時にはできないことをするいい機会です。社会人になると、1週間以上の長期間の休みというのはなかなかとることができなくなります。早いうちから計画を立てて、どんなことに時間を使うべきかを考えてみてください。
好きなことや趣味にたっぷり時間を使うのもいいですし、いつもは忙しくてアルバイトができないという学生は、季節限定のリゾートバイトやサマーインターンなどに参加してみるのもいいでしょう。
有給のインターンシップに参加する
留学や専門学校、セミナーに通って専門の勉強をしたいと考えている学生もいると思います。お金を稼ぐためにアルバイトをしなくちゃいけないけど、「大学の勉強や研究が忙しい」「とにかく時間がない!」という学生も多いでしょう。
そんな時はただのアルバイトでなく、有給のインターンシップに参加するのがおすすめです。1日や数日など短期のインターンは給料がでないことが多いですが、長期のインターンは給料が支払われることがほとんどです。即戦力となるような働きができるなら、かなり高い時給がもらえることも。
長期のインターンは就業体験を通して自分の将来や仕事について考える機会となるので、就活にもとても役立ちます。時間をかけて業界研究や企業研究をするよりも効率的に、しかもより実践的でリアルな知識や情報を得ることができるのです。お金を稼ぎながら就活もできるので、時間を有効に使うことができますね。
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最後に
今後、採用選考に履修履歴データを積極的に活用する企業が増えていけば、日本の大学生も学業に力を入れることになるでしょう。
大学生が学業に励むようになれば、学生にとってもプラスになることは多いと思います。大学の講義も、「より意義のあるもの」「ビジネスで活かせる能力が身に付けられるもの」に変わり、大学が学びの場としてより機能するようになっていきそうですね。
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