2016年10月5日、佐藤健や有村架純など豪華キャストに米津玄師と中田ヤスタカがコラボした主題歌で映画公開が決まった、今話題沸騰中の就活小説「何者」。
作者は「桐島、部活やめるってよ」でお馴染みの朝井リョウさん。本作も2012年に発売され、直木賞を受賞したベストセラー小説となっているので既に読んだ方は多いかもしれません。
かくゆう私は2016年5月の頭にこの小説に出会い、自分を見つめ直して今、インターンでこのコラムを書いているというわけです。私にとってもこの小説は劇的な考え方の変化をもたらしてくれました。
そこでぜひ就活生、いや大学生のみなさんに読んでもらいたいのです!
《あらすじ》
「あんた、本当は私のこと笑ってるんでしょ」就活の情報交換をきっかけに集まった、拓人、光太郎、瑞月、理香、隆良。学生団体のリーダー、海外ボランティア、手作りの名刺……自分を生き抜くために必要なことは、何なのか。この世界を組み変える力は、どこから生まれ来るのか。影を宿しながら光に向いて進む、就活大学生の自意識をリアルにあぶりだす、書下ろし長編小説。
以上があらすじとなっているのですが、実際読んでみると現代の大学生がリアル、いやリアルすぎるくらいに描かれていて読んでいる私自身心に刺さるものが多々見られました。ややネタバレありですが、就活生におすすめな理由を紹介します。
意識高い系を客観的に見ることができる
「留学経験あります~」「学生団体作りました~」「インターンに励みました~」なんて言っている、いわゆる意識高い系学生。はたまた「俺は就活なんてせずに自分を見つけたいんだよね」なんて言ってる就活の波に乗り切れない奴。様々な大学生が登場しますが、どれもこれも実際に「いるいる!」と思ってしまうようなキャラクターで、ついつい小説の世界に引きずりこまれてしまいます。
「自分って何者なんだろう」ふと考えるときありますよね。
就活に必死に自己分析を重ね、他人の前で「自分はこんな人間です」なんてアピールして、「あれ?私一体なにしているんだろう?私って一体だれなの?」
こんなこと考えていたりしませんか?
「インターンしている自分」や「留学経験がある自分」になりきって「私は特別な人間なんです!」と必死に振る舞う。そうしなくてはやってられない。
この小説の主人公はこんな意識高い系就活生を自分とは一線画した視点でバッサリ切っていってしまいます。
はたから見たら「痛い」のかもしれない行動…あなたは思い当たる節、ありませんか?
就活は団体戦なんて思うな。自分がすべてだ。
物語の前半は就活の始まり。しかし後半からはそれぞれの登場人物がそれぞれの考え方を巡らせ、意見を主張していきます。中でも主人公の片思い相手である「地味素直系」女子・瑞樹が「冷静分析系」男子・主人公の拓人に言ったこの言葉は響くものがあります。
「私たちはもう、たったひとり、自分だけで、自分の人生を見つめなきゃいけない。一緒に線路の先を見てくれる人はもう、いなくなったんだよ。進路を考えてくれる学校の先生だっていないし、私たちはもう、私たちを産んでくれたときの両親に近い年齢になってる。もう、育ててくれるなんていう考え方ではいられない」
「自分は特別です」「自分は頑張ってます」なんていくらSNSでアピールしたって誰もあなたのことを認めて「すごいね、頑張ったね」なんて言ってくれるお人よしはいません。「一人が寂しい」「誰かに認めてもらいたい」
そんな甘い考え今すぐに捨ててください。あなたはまだ自立できていないのですか?
最後までやりきった奴が一番かっこいい
物語の最後、今まで散々意識高い系をばっさばっさ言っていた主人公が今度はその意識高い系にしてやられる番です。
意識高い系って痛い。そう思っていた奴が本当は一番痛かった。
そう、この物語で一番伝えたかったのは
「自分をしっかりもつこと」「自分はこういうことを精一杯やってきた」
そう言えるだけでかっこよくないですか?
それを「痛い」というなら好きに言わせておけばいいのです。
そういうことを言ってくるやつに限って、中身はなにもないのですから。
みんなと同じスーツを着たって、似合わない黒髪にしたって、電車の中で必死に自己分析をしていたって、どれも全部あなたなのです。
「自分は何者か」
このすべてがあなたであり、あなた以外の何者でもないのです。
どうか、この記事を読んでいるみなさん。
自信をなくさないで下さい。あなたの今までの経験はあなたの中にしかないのです。
どれだけ「痛く」たって、あなたの強みはそこにあるのではないですか?
就活生じゃないあなたも、周りの目なんて気にせずに行動してみてはどうですか?
「インターンに励んでいる自分」「留学経験がある自分」「学生団体を作った自分」そのどれもがあなたであり、あなたが望んだ「何者」であるならば自信を持って行動し続けてください。
いかがだったでしょうか?
つい熱くなってしまいましたが、私はこの小説を読んで「インターンしている自分」になろうと思いました。
就活生のみなさん、これから就活を控えているみなさん、小説自体はさして長いものではありません。私の場合は3日で読み終わりました。
授業の合間や、通学の合間にさらっと読んで、自分を見直す機会にしてくれればいいなと思います。
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