メーカー業界は知名度が高く、就活生にも人気の業界です。メーカーとは一言でいうと「モノ」を作る業界です。そのため同じメーカーでも食品から医療品まで幅広い分野があります。メーカーの業種やそれぞれの特徴について見ていきましょう。それぞれの分野の代表的な企業も解説します。
- ・メーカーとは?
- ├メーカーの分類
- └メーカービジネスの仕組み
- ・業種ごとの特徴と代表的な企業
- ・最後に
メーカーとは?
そもそもメーカーとは、モノを作る会社つまり製造業を行っている企業のことです。身の回りにあるスマホや家具、自動車、医療機器などすべてのものがメーカーで作られています。この作っている製品により分類されるのが一般的です。
メーカーの分類
メーカーを製品ごとに分類すると以下の通りです。
①医療品メーカー
②自動車メーカー
③電子機器メーカー
④化学メーカー
⑤鉄鋼メーカー
⑥繊維メーカー
⑦食品メーカー
⑧精密機械メーカー
⑨インテリアメーカー
⑩住宅メーカー
⑪アパレルメーカー
⑫文具メーカー
また、それぞれに製品そのものではなく元となる素材を作る「素材メーカー」製品の部品を作る「部品メーカー」素材や部品を加工する「加工メーカー」も存在します。
メーカービジネスの仕組み
メーカーの基本的なビジネスモデルはシンプルで、「製品を作って売る」ことです。素材メーカーや部品メーカーであればこの売る相手が企業(加工メーカー)となり、加工メーカーであれば消費者や店となります。
よく商社と比較されることが多いですが、商社は自社の製品は持っていないという違いがあります。そのため商社のビジネスモデルはモノを作ることではなく、既にあるモノを流通させることとなります。
業種ごとの特徴と代表的な企業
次に前述したメーカーの分類ごとに業種の特徴と代表的な企業をみていきましょう。
①医療品メーカー
医療品・医療機器メーカーは、生活にかかせない分野であることから比較的安定した業界で、少子高齢化の影響で今後も成長が見込まれます。製品を売る相手が医者や病院、薬局であるという特徴があります。
代表的な企業
オリンパス 消化器内視鏡で世界トップクラス、治療器事業も行っている
テルモ 心臓血管領域に強い企業、再生医療分野にも進出
ニプロ 人工心臓、透析関連に強い企業
オムロン 家庭用血圧計で世界トップクラス
②自動車メーカー
主な収益は新車の販売ですが、世界的な不況により業界全体で売上が低迷しています。近年はガソリンを使わない電気自動車や安全自動運転の技術に注目が集まっています。
代表的な企業
トヨタ自動車 2021年のグループ世界販売台数(ダイハツ工業と日野自動車含む)は1000万台を突破
日産自動車 他の企業に先駆けてグローバル展開に成功、安全自動運転を発表
本田技研工業 バイクで世界一のシェアを持つ、自動車で国内2位の座を日産と争う
いすゞ自動車 トラックやバスといった商用車を扱う
③電子機器メーカー
電子機器とはパソコンやスマホなどに代表される、電子工学の技術を応用した電気製品のことです。最近は、画像認証や太陽光発電の技術に注目が集まっています。
代表的な企業
TOSHIBA 発電システムや画像認識の電子デバイスの提供を行う
パナソニック 電子機器に加えて、情報処理サービスにも着手
三菱電機 映像機器や発電機、エレベーター機器に強み
④化学メーカー
化学を利用して製品をつくる企業の総称です。石油や天然ガスを使って基礎化学製品をつくる企業やその製品を使って洗剤やマスクといった消費者に届く最終製品をつくる企業があります。
代表的な企業
旭化成 サランラップが代表的、化学工業品に加えて医療品や電子機器など幅広い事業を行う
花王 化粧品、洗剤、不織布製品などの製造を行う、同時にBtoBの化学製品を扱う
三菱ケミカル 基礎化学製品、医薬品等BtoBに強み
⑤鉄鋼メーカー
鉄鋼メーカーは、鉄と炭素を合わせることでつくる合金である「鋼鉄」を使った製品を扱っています。鋼鉄をつくる企業、鋼鉄を使って資材や部品をつくる企業に分類されます。安定している業界ですが、世界的にみると中国企業が大きなシェアを占めているため中国メーカーの動向が日本のメーカーにも大きく影響します。
代表的な企業
日本製鉄 日本で最大シェアを占める、チタン・ステンレスなど幅広く扱う
JFEスチール 日本2位のシェア、環境対策に積極的に取り組む
神戸製鋼 素材だけでなく、機械や電力にも力をいれている企業
⑥繊維メーカー
綿や絹などの天然繊維や、ポリエステルなどの合成繊維を開発・製造しています。ファッション、アパレルに限らず、自動車業界やヘルスケア向けの製品も扱っています。国内だけでなく世界に向けたビジネスを行っている企業が多いのも特徴です。
代表的な企業
東レ 国内売上1位の企業、医薬品、電子材料事業も行う
帝人 産業資材用繊維、医療品に強み
日清紡 紡績大手、繊維部門以外も拡大
⑦食品メーカー
食品は生活必需品であることから、比較的安定している業界です。ここ数年は原材料のコストが上がったことから値上げが続いています。また、国内市場拡大の望みが薄いため海外市場が注目されています。
代表的な企業
明治 就活生からの人気が高いお菓子メーカー、乳製品やベビー食品、健康食品も扱う
味の素 「味の素」「ほんだし」などの調味料に強み、海外の売上が半分以上を占める
日清食品 インスタント食品、冷凍商品などの加工食品を扱う、即席麺に強み
⑧精密機械メーカー
主に時計、計測機器を扱うメーカーです。昨今、全体的に新型コロナウイルスによる不況の影響により不振が続いています。
代表的な企業
キーエンス センサーや測定器、画像処理機器などを扱う、営業利益率が高いことで有名
富士フィルム 市場縮小している写真市場から転換、高度な技術力が強み
キャノン 映像機器、カメラ、レンズに強み、映像管理システムや映像解析ソフトウェアも扱う
⑨インテリアメーカー
新型コロナウイルスにより、住宅業界とともに不振となっています。ホテルやオフィスなどの大口の需要が減ったことも一因と考えられます。
代表的な企業
大塚家具 家具販売に強み、高級家具主体から見直しを行う
ニトリ トータルコーディネートを掲げ、キッチン用品やカーテンなど家具以外の売上が増加
イケア・ジャパン スウェーデン発祥の企業、デザイン性の高さと手頃な価格で人気
⑩住宅メーカー
住宅の設計・施行・販売に関わるメーカーです。震災の増加により、耐震などの安全面に対する需要の増加から住宅の需要も増加しています。
代表的な企業
大和ハウス CO2削減のための省エネ技術などの環境対策が評価されている、風力発電にも取り組む
積水ハウス 業界最大手、戸建注文住宅と低層アパートに強み
オープンハウス 東京23区がメイン、戸建関連事業が約6割の売上を占める
⑪アパレルメーカー
商品である服をデザイン・製造して小売に卸します。アパレルメーカーは製造だけなく、卸売まで自社で行うことが多いためまとめてメーカーと呼ばれます。現在は低コスト志向が進んでおり競争が激化しています。
代表的な企業
ファーストリテイリング ユニクロやGUを運営、大量に製造することで高品質でローコストの製品を実現
しまむら ファッションセンターしまむらの他にベビー用品のバースデイを展開、若い世代がターゲット
オンワード 40以上のブランドを展開、幅広い世代をターゲットにしている、スポーツ関連に強み
⑫文具メーカー
デジタル化により文房具の市場縮小が進んでいます。それに伴ってデジタル商品を扱う企業も増加しています。これまでは1つの商品の単価が低かったですが、デジタル商品で利益率が上がっています。
代表的な企業
アスクル 国内シェア1位、主要事業は文房具の通信販売
コクヨ 国内シェア2位、文房具やオフィス家具の製造・販売を行う
岡村製作所 家具や産業用機器を製造、オフィス家具・店舗用什器で国内トップ
最後に
メーカーの業種やそれぞれの特徴について紹介しました。メーカー業界は「モノ」を作る業界ですが、分野ごとに全く違う特徴があります。興味のある分野について業界研究を進めましょう。
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