物流業界を志望している就活生は、近年のインターネット通販の急速な普及や、宅配業者の人手不足の問題など、さまざまな変遷とその将来性が気になるのではないでしょうか?物流業界に求められるスピード感の変化も大きな話題となっていますよね。
そこで今回は物流業界の動向や課題、今後について詳しく解説していきます。物流業界の仕事や求められる人材なども紹介するので、就職活動対策に活かしていきましょう。
- ・物流業界について
- ├物流とは
- └物流業界の企業売り上げランキング
- ・物流業界の現状と動向
- ├インターネット通販の拡大により業界の再編が起きている
- └ITの技術により一元管理システムが発達
- ・物流業界が抱える課題
- ├ネット通販の拡大と輸出入の増大で人手不足が大きな課題
- └ドライバー不足の問題
- ・物流業界の仕事と求められる能力・スキル
- ├保管
- ├物流管理
- ├輸送
- └システム開発
- ・物流業界を志望するにあたって大切なこと
- ├物流のどの部分への興味があるのかははっきりさせよう
- ├グローバルへの意識は高く持っておきたい
- └ドローンなどを使った効率化のニュースも把握しよう
- ・最後に
物流業界について
物流とは
物流とは、モノを保管したり運んだりすることです。トラックや船、飛行機などさまざまな輸送手段を使って、国内や海外へモノを運びます。
モノや商品を運ぶだけでなく、倉庫での管理も重要な仕事のひとつです。その他にも輸送システムの開発や管理などを行うこともあります。
物流業界の企業売り上げランキング
運送がメインとなっている企業は知名度が高いですが、倉庫での管理をメインに行っている企業もあります。
日経電子版に掲載されている倉庫・物流の売上高ランキングを参照し、ベスト10の企業について特徴を簡単にをご紹介します。
1位 大和ハウス工業
2位 日本通運
3位 日本郵船
4位 ヤマトホールディングス
5位 SGホールディングス
6位 古河電気工業
7位 アルプスアルパイン
8位 日本水産
9位 日立物流
10位 セイノーホールディングス
1位 大和ハウス工業
大和ハウス工業は建築のイメージが強いですが、子会社である大和物流株式会社は運送事業や倉庫業を行っています。
大和グループの連携をいかして、物流施設の不動産開発から物流戦略・施設管理まで幅広い物流関連のサービスを提供しています。
2位 日本通運
自動車輸送、鉄道利用輸送、海上輸送、船舶利用輸送、航空利用輸送、倉庫事業などを行っています。
引っ越し事業、重量品・プラントの輸送、特殊輸送などさまざまな輸送に対応しており、国内倉庫保有面積No.1の営業倉庫事業者でもあります。
3位 日本郵船
定期船事業・航空運送事業・物流事業などの一般輸送事業に加えて、不動産事業・レストラン観光業・客船事業なども行っています。
日本郵船グループの郵船ロジスティクスは、世界中の40を超える国と地域に約600ヶ所の拠点がありグローバルに事業を展開しています。
4位 ヤマトホールディングス
ヤマトは「宅急便」を開発した企業で、現在も宅急便市場ではトップシェアを誇っています。アメリカ、ヨーロッパ、アジアでは中国や台湾など多数の海外拠点を持っています。
デジタル分野への投資を加速させる方針で、2021年には社内外のデジタル・IT人材を集めて300人規模のデジタル専任組織を立ち上げると発表しています。
5位 SGホールディングス
トラック輸送を強みとして成長を続けてきた物流業界の大手です。「デリバリー」「 ロジスティクス」などの事業をメインに、「不動産」「自動車整備」などの事業も行っています。
宅急便市場ではヤマトに次いで高いシェアを持っています。日立物流と資本提携をしていて、今後も協業を進めていく方針です。
6位 古河電気工業
古河グループの「古河物流」が、運送事業・倉庫業・荷役事業などの物流事業を担っています。
物流コンサルタント業も行っており、物流の経験と実績をいかして最適なロジスティクス・ソリューションを提供しています。
7位 アルプスアルパイン
アルプス電気株式会社とアルパイン株式会社が経営統合し、「アルプスアルパイン株式会社」として2019年1月1日からスタートしました。
アルプスアルパインのグループ会社である「アルプス物流」が、運送事業・倉庫業・包装業などの物流事業を担っています。
8位 日本水産
日水のグループ会社が水産事業や食品事業などを行っており、「日水物流」が物流事業を担っています。
低温食品を長扱ってきた経験を武器に、冷凍・冷蔵・常温の幅広い温度帯に対応した「低温一貫物流サービス」を提供できるのが強みです。
9位 日立物流
日立グループに属する企業で、輸送事業・倉庫事業・物流コンサルティング業などを行っています。
企業の物流業務を受託運営する「3PL事業」にも力を入れていて、日本国内だけでなく海外でも物流センターの管理運営を行っています。
10位 セイノーホールディングス
カンガルーのマークが印象的なセイノーホールディングスは運送事業や倉庫業などを行っており、本社は岐阜県大垣市にあります。
東海道新幹線を使用した「超特急便」や、機密保持ニーズに応える「機密回収BOX」など新しいサービスの開発でも注目されている企業です。
物流業界の現状と動向
インターネット通販の拡大により業界の再編が起きている
Amazon・楽天などを筆頭にしたインターネット通販に関連する物流や、メルカリなどの個人間の物流が急速に拡大しています。個人宅へ配送する荷物の数は急激に増えており、日時を指定や再配達などが多く、配送業者の負担は増え続けています。
それにより、Amazonの配送から撤退する企業や、逆に参入する企業、ドライバーの負担を減らすために時間指定のできない時間が新たにできるなど、物流業界内では多くの再編が起きています。
ITの技術により一元管理システムが発達
個人宅への配送を除けば、IT技術の活用や売り方の変化などに伴い、物流の仕組みは高度化かつ複雑化しています。
インターネット広告が主流となったことにより、以前よりも「チラシ」「パンフレット」「カタログ」などの輸送が減少したり、「オムニチャネル」などの普及により物流の仕組み自体が効率の良いものとなったりもしています。
物流業界が抱える課題
ネット通販の拡大と輸出入の増大で人手不足が大きな課題
物流業界を語る上では、近年のインターネット通販の拡大や、輸出・輸入の大幅な増大は避けて通ることができません。また、宅配業界の人手不足の問題も深刻化し、各社の課題となっていますよね。詳しく見ていきましょう。
ドライバー不足の問題
しかし、個人宅への配送が急激に増大したことにより、ドライバー不足は宅配業者を中心に深刻な課題となっています。
留守による再配達が多ければ多いほどその分人件費が無駄になってしまうため、近年ではコンビニ受取や、荷物を預けておけるロッカーなどの開発と設置が急速に拡大しています。
物流業界の仕事と求められる能力・スキル
物流業界の主な仕事を紹介します。それぞれの仕事では、どんな能力が求められるのでしょう?
保管
物流は、モノを運ぶだけが仕事ではありません。すぐに輸送できない場合は、倉庫でモノを保管し管理することも重要な仕事になります。フォークリフトの資格などがあるといかすことができるでしょう。
物流管理
物流管理では、何をどこからどこまで、どのようなスケジュールで輸送・配送するのか、管理します。交渉力や調整力が求められます。
輸送
陸路、海路、空路などで実際にモノを輸送・配送します。配送ドライバーがもっともイメージしやすいでしょう。レベルの高い運転技術や体力が必要な仕事です。
システム開発
輸送・配送システムの効率化は、物流業界の大きな課題となっています。もっと便利で効率のいい輸送システムが開発できる人材はどの企業でも求められるでしょう。システム開発に関する専門知識や論理的な思考が必要です。
物流業界を志望するにあたって大切なこと
物流業界を志望する場合、何を知っておく必要があるのでしょうか?また、どのようなニュースや知識へのアンテナが求められるのでしょう?
物流のどの部分への興味があるのかははっきりさせよう
ひとことで「物流業界」といってもその役割は数多くあります。まずは、自分が「物流業界」のどの部分に興味があるのかをはっきりとさせておくことが大切です。
ドライバーの仕事なのか、システムをつくる仕事なのか、在庫管理に携わる仕事なのか、運送管理を行う仕事なのか。物流業界のどんな仕事に魅力を感じているのかにより、選ぶべき企業も変わってきます。
グローバルへの意識は高く持っておきたい
物流業界を考えるにあたって、グローバルへの意識は避けて通ることができません。日本の製造関連企業は続々とその拠点を海外へと移し、グローバル化を進めています。
グローバル化に力を入れる理由としては、コスト削減が目的であったり、海外への輸出を行うにあたって現地で製造することによりすぐに配送するためであったりとその目的は様々です。
もちろん、原材料の調達も近年海外からというのは珍しくなくなってきています。多くの企業が活動の拠点をグローバル化している中、物流業界としても同時に対応していくことが求められていきます。そのため、日本の物流関連企業も続々と海外に拠点を開設しています。
ドローンなどを使った効率化のニュースも把握しよう
ニュースなどで、コンビニエンスストアの商品を個人宅へドローンを使って配送したり、宅配便の荷物を自動運転で配送するなどの様子を見たことはありませんか?2013年に通販大手のAmazonがドローンを活用した商品配送計画を公表し、追随しようとする企業が増え、近年急速に話題になってきていますよね。
災害時の陸路が閉鎖されたときにもドローンを活用することで多くの人に食料や必要なものを届けることができるため、多くの自然災害に見舞われたここ数年での期待が高まっている背景もあります。
さらに、人手不足の問題の解消のために、効率化をすすめるための技術開発に力を入れる物流関連企業はどんどん増えてきています。しかし、まだ法律の整備が追い付いていないこともあり、またまだまだ実証実験中でその普及拡大が急がれています。
最後に
物流業界では現在様々な技術力、グローバル化が求められています。物流業界を志望する学生のみなさんは、物流業界の動向について基本的なことはもちろん、最新のニュースなどもキャッチしておきましょう。
さらに、「現在の法律ではなぜドローンでの配送ができないのか」「実現するためには何が必要とされるのか」などについても自分の口から語れるようになっておけば、他の就活生に大きな差をつけることができます。
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