日本にある企業は大きく「上場企業」と「非上場企業」の2つに分かれています。
「なんとなく上場企業の方がよさそう」というイメージはあっても、具体的に上場企業と非上場企業のどこが違うのかは説明できない…という方は多いのではないでしょうか。
そこで今回は上場企業とはどんな企業かを非上場企業と比較しながら解説します。上場企業や非上場企業に就職するメリット・デメリットもご紹介しますので、志望企業を選ぶ際の参考にしてください。
- ・上場企業と非上場企業はどう違う?
- ├上場企業と非上場企業の違い
- └上場企業の種類
- ・就活では上場企業と非上場企業どちらを選ぶべき?
- ├上場企業に就職するメリット・デメリット
- └非上場企業に就職するメリット・デメリット
- ・まとめ
上場企業と非上場企業はどう違う?
上場企業と非上場企業の違い
「上場」とは証券取引所に株式を公開し、誰でも自由に売買できることを指します。
上場企業はその名の通り「上場している企業」…つまり、証券取引所に株式を公開することで資金調達を行う企業なのです。
上場企業になるには証券取引所が定めた厳しい審査基準をクリアしなければならず、2021年11月9日時点で日本の上場企業は3787社しかありません。これは日本における企業のうち約0.1%に当たります。
残りの99.9%は非上場企業です。非上場企業は株式を公開しておらず、証券取引所で自由に株式を売買できない企業を指します。
上場企業の種類
上場企業の中でも上場している株式市場によって、企業の信頼度や安定性が変わります。ここでは、日本にある4つの株式市場それぞれの条件の一部や特徴をご紹介します。
■東京証券取引所(東証)
東京証券取引所には「東証一部」「東証二部」「マザーズ」「JASDAQ」という4つの株式市場があります。
|
東証一部 |
東証二部 |
マザーズ |
JASDAQ |
特徴 |
株式市場の中で最も厳しい審査基準が設けられている |
東証一部よりも条件が緩和されている。東証一部を目指す場合には、まずは東証二部に上場する必要がある |
成長性の高いベンチャー企業を対象とした株式市場で、東証二部よりも条件が緩やか |
ベンチャー企業向けの株式市場。一定の規模や利益が必要な「スタンダード」と、成長の可能性があれば上場可能な「グロース」に分かれている |
株式数 |
2200人以上 |
800人以上 |
200人以上 |
200人以上 |
流通株式数 |
2万単位以上 |
4000単位以上 |
2000単位以上 |
― |
流通株式比率 |
35%以上 |
30%以上 |
25%以上 |
― |
時価総額 |
250億円以上 |
20億円以上 |
10億円以上 |
― |
■名古屋証券取引所(名証)
名古屋証券取引所には「名証一部」「名証二部」「セントレックス」という3つの株式市場があります。
|
名証一部 |
名証二部 |
セントレックス |
特徴 |
主に名古屋近辺に本社がある企業が上場している |
名証一部より条件が緩和されている |
成長が期待できるベンチャー企業を対象に、資金調達や知名度向上を支援し、名証一部や二部への上場も視野に入れた株式市場 |
株式数 |
2200人以上 |
300人以上 |
200人以上 |
流通株式数 |
2万単位以上 |
・2000単位以上かつ上場株式数の25%以上 |
― |
流通株式比率 |
35% |
― |
― |
時価総額 |
250億円以上 |
10億円以上 |
3億円以上 |
■札幌証券取引所(札証)
札幌証券取引所には「本則市場」と「アンビシャス」という2つの株式市場があります。
|
本則市場 |
アンビシャス |
特徴 |
「東証一部・二部」や「名証一部・二部」のようなメインの株式市場 |
北海道に関連のある企業を対象とした株式市場 |
株式数 |
300人以上 |
・500単位以上の公募または売り出し |
流通株式数 |
・上場時の株式数2000単位以上かつ上場株式数の25%以上 |
― |
時価総額 |
10億円以上 |
― |
■福岡証券取引所(福証)
福岡証券取引所には「本則市場」と「Q-Board」の2つの株式市場があります。
|
本則市場 |
Q-Board |
特徴 |
「東証一部・二部」や「名証一部・二部」のようなメインの株式市場 |
九州周辺に本社がある、あるいは九州周辺で事業実績・計画がある企業を対象とした株式市場 |
株式数 |
300人以上 |
200人以上 |
流通株式数 |
・上場時の株式数2000単位以上かつ上場株式数の25%以上 |
500単位以上の公募 |
時価総額 |
10億円以上 |
3億円以上 |
このように同じ「上場企業」でも、どの株式市場に上場しているかによってクリアしている審査基準が全く異なります。志望企業を選ぶ際には上場先もよく確認しておきましょう。
就活では上場企業と非上場企業どちらを選ぶべき?
上場企業にも非上場企業にも就職する際のメリット・デメリットがあります。ここではそれぞれのメリット・デメリットをご紹介します。
上場企業に就職するメリット・デメリット
上場企業に就職するメリットとデメリットは以下の通りです。
■メリット
・有価証券報告書などで企業の状態が客観的に分かるようになっており、志望企業を決める際の手がかりになる
・クレジットカード作成やローン審査時に必要な社会的信用が得やすい
■デメリット
・株主から短期的に利益を出すことが求められ、中長期的な経営戦略が立てづらい
・上場企業であり続けるために厳しい社内規定やコンプライアンスが設けられている
非上場企業に就職するメリット・デメリット
非上場企業に就職するメリット・デメリットは以下の通りです。
■メリット
・経営の自由度が高いため、新たなチャレンジに取り組みやすい
・将来上場を目指す場合にはストックオプションを得られる可能性がある
■デメリット
・上場企業よりも給与や待遇で劣る場合がある
・経営者に権限が集約されているため、経営者の意向に振り回される恐れがある
まとめ
上場企業とは証券取引所に株式を公開し、誰でも自由に売買できる企業を指します。上場している株式市場によって審査基準の厳しさが違い、それに伴って企業の信頼性・安定性も異なります。そのため、「上場企業だから安心」と思い込まず、「どの証券取引所のどの株式市場に上場しているか」をよく調べておく必要があります。
また、上場企業でも非上場企業でも就職の際にはメリット・デメリットがあります。十分に検討し、後悔のない就職を目指しましょう。
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