キャリアセンターで毎日のように学生さんと触れ合っていると、「よく聞かれる質問」というのがあります。
マニュアルに載っているようなことは、Webやテキストで確認してもらえばいいのですが、そうではなくてもっとざっくりしていて皆さんが疑問に思うような質問を、今回は取り上げてみました。
オススメの業界とかありますか?
はい。まずはこの質問からです。結構よく聞かれます。まるでアパレル店員の気分です(笑)。
もちろんプロのキャリアカウンセラーをしているので、オススメ業界やオススメ求人のネタはたくさんあります。
しかし・・しかしです。
この質問を一番初めにするというのはどうでしょう。
あまりに前情報がなさすぎます。
洋服でしたら、見た目の印象や持ち物のテイストでその人の好みや似合う服が判断できますが、業界や求人はそうはいきません!!
そこで質問が来たら、私はまずこう質問を返しています。
「オススメの業界ですね。もちろんオススメはいろいろあります。でもその前に○○さんのことを少し教えてもらってもいいですか?」
そうです。
その人の学生時代にやってきたことや、将来どうしたいかなどの希望や条件などを聞かない限り、その人に本当に役に立つ「オススメ」などというものはできないのです。
例えば私のところに2人の女子学生(里絵さんと綾子さんとしました)が相談に来たとします。
2人とも群馬県の出身のようです。
その2人が私の質問に以下のように答えたとしましょう。
【里絵さん】
大学の専攻:マーケティング
サークル:テニスサークルで会計
希望の条件:実家のある群馬県で働きたい。将来も群馬で子どもを産んで育てたい。仕事も続けたい。
得意なこと:細かい作業。計算がはやいこと。
好きなこと:キャンプ
【綾子さん】
大学の専攻:社会福祉
サークル:手話サークルで副代表
希望の条件:東京で働きたい。将来は群馬に帰りたい。結婚したら専業主婦になりたい。
得意なこと:人と仲良くなること。
好きなこと:おしゃれ・洋服
2人とも将来結婚して、群馬で家族と暮らしたいという希望は同じですが、
私のオススメはまったくことなる業界になります。
この場合
【里絵さん】には群馬の金融(銀行・信用金庫)または地元の建設や食品の会社
【綾子さん】には東京が拠点のアパレル・ファッション雑貨または繊維のメーカー及び商社+福祉系企業
をオススメします。
本当の相談の際は、もっと多くの情報を聞いてからオススメをしますが、少なくともこのくらいの情報はアドバイザーに伝えないと、本当に役に立つ「オススメ情報」はGETできません。
ということで少し長くなりましたが、オススメを聞きたい場合はまずしっかり「今までの経験」「条件」「好み」などをアドバイザーに伝えてみましょう。
きっと納得のいく、そして自分では思いもつかないようなものまでも提案を受けることができるでしょう!
先輩たちはどんなところ(企業)に行ったのですか?
次はこちらです。これもよく聞かれますね。
この質問はきっと、今まで受けた小学校・中学校・高校・大学受験などの受験のなごりなのだと思います。
つまりはこういうことです。自分の大学の先輩は自分とは同じレベル。
だから先輩と同じところであれば、きっと自分も可能性があるだろう。
これは非常に効率的な考え方です。もちろん間違ってもいません。
各大学では卒業生がいる企業とは積極的に交流していますし、各大学で行われている学内会社説明会などにはOBOGが在籍している企業が多く呼ばれます。
もちろんそのような企業は、採用意欲も高くたくさんの学生に内定を出してくれます。
またデータとしてそういった企業を大学が公開していたり、一覧にして配布しているところもあるので是非情報をGETしましょう。
しかし・・しかしです。
ここからが受験と違うところなのですが、受験と違って就職活動は仕事を決める活動です。
つまり、5教科のレベルだけではなくみなさんの持っているその他の能力も見てくれるのが就職活動です。
3,4年前、一緒に就職活動をしていた男子学生が、最終面接でこんなことを言われたと言っていました。
面接官:君ね。SPIの結果、30点だったんだけど大丈夫?
本人 :え?30点ですか・・すみません。全力で取り組んだのですが、機会をいただけましたたら、再度しっかり勉強してきます!
面接官:はい。でももうSPIはやってもらうことはないと思うけどね。以上で面接を終わります。
さて、この最終面接、みなさんどう思いましたか?
「これ、絶対落ちたでしょ」と感じませんでしたか?
しかし、結果は内定。見事、その有名企業に入社することができました!
そして後日、その際の面接官に言われたそうです。
「君はね、本当にSPIはひどかったの。でも面接の受け答えは抜群だし、嘘をつかない性格で責任感も強いから、うちの営業職にはピッタリだと思ったんだよ」
こんなこともあるのです。これぞ就職活動の醍醐味です。
だからと言ってもちろん、筆記テストは良いに越したことはないですからしっかり勉強してほしいのですが(笑)
そしてもうひとつ、上記の学生が決まった企業は、今までその学生が在籍していた
大学からは1回も学生を採用したことがない企業でした。
つまり、初めて採ったその大学の学生が彼だったのです。
ですから、OB/OGがいない会社にもチャンスはあります。
自分には届かないレベルだと諦めず「受けるだけならタダだし」くらいの気持ちでチャレンジしてみてください。彼のような幸運に恵まれるかも
しれませんよ!
1次・2次・3次・・・最終面接では何を聞かれるのですか
こちら、本当によく聞かれます。
「あの~これは面接質問集があるので、マニュアルを見ればわかる質問なのではないでしょうか~」という声が聞こえてきそうです。
はい。
もちろんそうです。
質問自体はほとんどわかりますよね。
では、学生のみなさんは何故この質問をしてくるでしょう。
これは多分、面接の段階が何段階もある意味が理解できていないのと面接官がどのような人なのかがわかっていないのではないでしょうか。
そこで、ここでは上記2点の解説をしたいと思います。
①まず、面接が何回も行われるのは、役職者や役員も含めて様々な視点で必要な人材を見極めるからです。
たとえば、社長の好みで人を採ってしまったとき、現場が必要としている人材と全く異なった人が来てしまい、現場を混乱させてしまうなどといったことはよくあることです。
これを防ぐために、段階に分けて選考し、総合的に最終判断を下しています。
②面接官は大体段階によって以下のようにわかれています。
(オーソドックスな一例)
1次 人事(若手)
2次 人事(中堅)+現場の社員
3次 人事(課長クラス)+現場の社員
4次以降は2次~3次あたりと同じ
最終 社長など役員クラス
ちなみに1次や2次などの面接を、面接代行業者に任せている大手企業もあります。
その会社の社員だと思っていたら、入社して見かけなかったというのはよくある話です。
ですから、1次や2次の面接官の印象だけで、その会社の印象を決め付けてはいけません。
人事や面接代行業者は基本的には、しっかりと面接官業務をするための「面接官トレーニング」を受けています。
その甲斐があってか、あまりわかりにくい質問はしません。
答えやすいオーソドックスな質問を中心に用意しています。
よく聞かれること(学生時代に頑張ったことやPRなど)をしっかり準備していきましょう。
しかし現場社員や役員レベルの方々には、トレーニングを受けていない方もいます。
特に役員や社長は権限があることもあり、急に自分がしたい質問をすることもあります。
このようなことを考えると、高次の面接の対策はより慎重に行う必要があります。
特に役員は普段、「自分たちの会社のこと」や「自分たちの業界のこと」を考えて経営をしていますので、このあたりの質問をしてくる可能性が高いのです。
「うちの会社のイメージを教えてください」
「私共の業界の展望をどのように考えますか」
などというざっくりとした質問が、バンバン飛んできたときに耐えうるだけの準備をしていくべきです。
この対策のポイントは、ネットで専門家が書いた業界の将来予想などを読み、自分もそう思うところを拝借して意見として述べること、またはキャリアセンターの相談員に「この業界や会社の展望はどうか」と聞いてみることです。
是非このような準備をして面接に臨みましょう。
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