新卒就活で外資系企業を受ける学生は昔は少数派でしたが、近年では外資系企業を受けることが当たり前となっています。
「英語が全然できないので受からない」、「外資系ってなんとなく難しそう」という声もよく聞きますが、実際は入社時にそれほど英語力が問われない外資系企業もあり、入社難易度や入社後の環境も企業ごとに様々です。
今回はそんな外資系企業の就職活動や働き方の特徴について解説します。
- ・外資系企業とは
- ├そもそも外資系企業とは何か?
- ├外資系企業といってもさまざま
- └主な外資系企業の例
- ・外資系企業の特徴
- ├専門性重視のキャリアパス
- ├合理的な就労風土
- ├高めの初任給
- ├外資系企業で英語は必須?
- └多様性を尊重
- ・外資系企業を目指す就活のポイント
- ├外資系企業を目指すなら早めのスタートを
- ├サマーインターンでの選考がある
- ├グループディスカッション対策を忘れずに
- └プレゼン選考がある企業も
- ・外資系企業に就職するには
- ├TOEICスコアの取得は必須
- ├なぜ日本で外資系企業に勤めたいのかを明確に
- └インターンシップに参加しておく
- ・理想の就活に向けて
外資系企業とは
そもそも外資系企業とは何か?
まず、外資系企業について理解しましょう。定義としては、外資系企業とは資本の1/3以上が外国資本で占められている企業を指します。創業した国や上場しているマーケットが日本であったとしても、資本金の割合において外資系資本が多数入っている場合は外資系企業として定義されるのです。
外資系企業といってもさまざま
経済産業省の調べでは、日本国内に存在している外資系企業は約3000社となっています。外資系企業の代表例として挙げられるのはコンサルティングファームや金融機関ですが、実際は卸売りやメーカー、サービス業、情報通信といった多様な業種の外資系企業が日本国内には存在しています。
ジャパンデスクとして拠点をおいて、日本法人としている企業が多く、マクロ経済の動向によって拠点撤退も無きにしもあらずですが、業績好調だと採用も拡大傾向になります。
主な外資系企業の例
日本でも有名な外資系企業としては、次のような企業があります。
金融機関:ゴールドマンサックス、バークレイズ銀行、シティ・グループ、バンクオブアメリカメリルリンチ、モルガン・スタンレー
コンサルティングファーム:ボストンコンサルティンググループ、マッキンゼー、アクセンチュア
メーカー:GE、アップル、デュポン、BASF、P&G、ネスレ
IT企業:Google、オラクル、SAP、日本アイ・ビー・エム、日本ヒューレットパッカード
外資系企業の特徴
外資系企業にも様々な企業風土があり一概には言えませんが、多くの外資系企業に共通する、日系企業と異なる特徴について解説します。
専門性重視のキャリアパス
外資系企業では専門性が求められます。日系企業ではジョブローテーションを通じて様々な職種を経験し、ゼネラリストないし適性を見極めた上で専門性を高めていくケースもありますが、外資系企業では最初から専門性を見極めてスペシャリストになるようにキャリアパスを設計しています。
それゆえに、外資系企業では最初の研修が終わったら、後はOJTという形式で現場で結果を出しながら短期間で専門性を高めていくのです。
外資系企業では一人一人の裁量と業務範囲が明確になっており、誰がどこまで仕事をしなければならないのかが明示されているので、自分に割り振られた仕事を的確にかつ結果が出るように従事しなければなりません。それゆえ短期間で専門性を身につけることが可能となっているのです。
また、外資系企業においては即戦力が好まれる傾向があるため、職種別採用が原則となっています。そのため、なぜその職種が良いのか明示しなければならず、しかも未経験なのになぜ志望する職種がよいかも今までの経験の中で述べなければなりません。その分、専門性を高めることができるキャリアパスになっているのは魅力的であると言えるでしょう。
合理的な就労風土
外資系企業においては、管理職が日本国籍でない場合も多く、働き方も本国に従う働き方になることが多いです。欧米系企業出身の場合、働き方としてはオンとオフをはっきりと分けており、無駄な残業はせずに自分に割り振られた仕事が完了したらすぐに帰るというタイプが多いです。
契約上定められている休みや条件に対しても、サービス残業といった日本的風習に対してはっきりとNOを言っているので、ある種、成果に対して合理的なアプローチをしようとしています。それゆえ、仕事は仕事、プライベートはプライベートとして分けているため、ウェットな人間関係を重視する日本的な風習は排除される傾向にあります。加えて、1社に長く働こうとする人も少ない傾向にあり、キャリアを積み上げるためならば転職も辞さないのです。
また、レイオフ(解雇)も躊躇なく行われます。特にリーマンショック時には容赦なく大規模なレイオフや部門丸ごとの売却を実施していました。ただ、そうなることは外資系企業で働いている人にとっては突飛なことではなく、常にどんな環境になっても働けるようにしなければならないマインドがあるので、受け入れられているのです。
高めの初任給
日系企業の、特に伝統的な企業では、長期雇用が前提であるため初任給は安めで、10年、20年と勤め続けることで給料が上がっていくような傾向があります。それに対し外資系企業では、初任給が高めに設定されている場合が多いです。
その代わり、成果を出し続けないと昇級や長期間働き続けることが難しいため、長い目で見ると日系企業とどちらが稼げるかは人それぞれです。
外資系企業で英語は必須?
外資系企業は、親会社が海外にあるなどの理由で多国籍の人達と仕事をしなければならない場合が多く、社内の情報も英語で共有される場合が多くなっています。
ただし、規模の大きな企業では海外拠点とほとんど交流せずに日本国内での事業に終始する場合もありますので、外資系企業で英語が必須とは一概には言えません。むしろ、海外企業が日本でビジネスを行うために日本法人があるのですから、労働の拠点は日本国内である場合が大半です。
多様性を尊重
多国籍企業であることから、外資系企業ではダイバーシティ経営が重視されています。「日本人」感覚が抜けないと適応するのが難しくなります。
例えば、育休は男女共に取れますし、意見をはっきり言い合うことでコミュニケーションコストを下げています。日本流のあうんの呼吸や忖度、過度な謙譲の精神は存在しえないと言えます。
外資系企業を目指す就活のポイント
ここでは、外資系就活特有の選考や、就活で注意するポイントについて解説していきます。
外資系企業を目指すなら早めのスタートを
外資系企業を目指す就活のポイントまず一つ目は、「早めのスタート」を意識することです。外資系企業を目指す就活生は、準備もほかの就活生より早めに始めます。
外資系企業は、経団連に加入していない企業が多いです。就職協定の対象外で新卒採用の募集開始時期なども制限されていないため、外資系企業の募集スケジュールは日系企業よりも早めになっています。
受けたいと思った時にもう遅いというような展開にはならないように注意が必要です。6月には募集を締め切る企業も多いので、エントリーの締め切りなどはきちんと確認しておきましょう。
サマーインターンでの選考がある
外資系企業では、3年生が夏休みに参加する長期ないし短期間のサマーインターンプログラムが存在します。
5~6月のタイミングで募集が始まるので、早い段階から自己分析等の準備を進めるべきでしょう。
インターンが選考の中に含まれているパターンとインターンに参加しなくても本選考に進めるパターンがあります。
グループディスカッション対策を忘れずに
外資系企業の選考では、グループディスカッションを取り入れているところが少なくありません。グループディスカッションでは、コミュニケーション能力や臨機応変に対応する能力などをみられます。
面接官とだけやりとりする日本式の面接とは求められることも違うので、グループディスカッションの対策もしておくことを忘れないでください。
プレゼン選考がある企業も
外資系企業の面接では、「プレゼン」による選考があることも。ある外資系メーカーの面接は、「学生時代に頑張ったこと」について自分でスライドを作成してプレゼンをするという形式で実施されました。
外資系企業では「プレゼン」の能力が求められるため、面接でもプレゼンの形式が導入されることはめずらしくありません。日系企業ではあまりないですが、プレゼン対策もしっかりとしておきましょう。
外資系企業に就職するには
ここでは、外資系企業を目指すなら最低限やっておきたいことをご紹介します。
TOEICスコアの取得は必須
外資系企業に就職するなら、英語はできるに越したことはありません。海外拠点とのコミュニケーションが必要になる場面も多いため、英語力はできるだけアピールしておきましょう。
企業によっては、英語面接や英語でのグループディスカッションがあります。こうした場面で直接「英語力」がアピールできるならいいですが、TOEICなど具体的な数字で英語力をアピールすることも大切です。
中には、TOEICスコア850点以上や900点以上など、かなりハイスコアが応募条件となっている外資系企業もあります。外資系企業を目指すなら、TOEICのスコアなら最低でも750点以上は取得しておきたいところです。
なぜ日本で外資系企業に勤めたいのかを明確に
外資系企業を志望するなら、「なぜ外資系企業で働きたいのか」を明確にしておきましょう。
外資系の社員はロジカルさを求められることが多いので、なぜ日本で敢えて外資系企業で働きたいのかを明示する必要があります。
インターンシップに参加しておく
外資系企業は実力主義であることが多いので、新入社員でも即戦力として会社に貢献することが求められます。インターンシップで企業の仕事を経験しておくと、就活ではもちろん、入社後も大きなアドバンテージとなるでしょう。
インターンシップは大学3年生が参加するものというイメージを持っている人も多いですが、大学1・2年生から参加できるインターンプログラムもたくさんあります。
むしろ就活で忙しくなる大学3年生よりも、大学1・2年生のうちの方がスケジュール的にも余裕があるので、さまざまなインターンをじっくりと経験できます。なるべく早い時期から、外資系企業のインターンに参加して経験を積んでおくのがいいでしょう。
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理想の就活に向けて
さて、ここまで外資系企業の特徴を述べてきましたが、具体的なイメージは湧きましたでしょうか?重要なのは自分の志向性に合っているかどうかを判断して選考に臨むこと。合っていないのに受けて入社しても不幸になるだけです。本記事を外資系就活の参考にしてもらえれば幸いです。
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