【業界研究】中食業界の現状、仕事内容、将来性を解説!

現在、市場が拡大しつつある「中食業界」。中食とはレストランなどで食事する「外食」、家庭で調理して食べる「内食」以外の食事の形態を指します。

この記事では「中食」という言葉を初めて耳にした方でも分かるよう、中食業界の概要からシェアランキング、仕事内容・職種、課題や将来性まで解説していきます。

【業界研究】中食業界の現状、仕事内容、将来性を解説!
目次

中食業界について

中食とは

中食(なかしょく)とは「家庭外で調理された食品を、購入して持ち帰るあるいは配達等によって、家庭内で食べる食事の形態」(出典:Wikipedia)のことを言います。

外で食事することを「外食」、家で自炊して食べることを「内食(うちしょく)」と言いますが、その間のような位置づけであることから「中食」と言われています。

中食業界

具体的には、コンビニのお弁当、スーパーやデパ地下のお惣菜、冷凍食品、出前料理・デリバリーフードやテイクアウト食品を指します。

こうした食品を提供する業種を「中食産業」「中食業界」といいます。販売の方法は、店舗での販売と宅配・デリバリーがあります。

急成長の背景

急成長を見せる中食業界ですが、この勢いには主に3つの背景があります。

コンビニの普及

中食のニーズが高まったことでコンビニが拡張していったのか、コンビニや技術の発展をきっかけに中食が世に広まっていったのかという疑問はありますが、間違いなくコンビニは中食市場を牽引してきました。

24時間利用できるという利便性の高さや、取り扱い商品の多様さで利用客を着々と伸ばしています。特に商品に関しては、味や鮮度を長持ちさせる革新的な調理/加工技術、すぐに食べられる容器など斬新な工夫がなされ、中食市場に影響を与えたと言えます。

女性の社会進出、単身・高齢夫婦世帯の増加

女性の社会進出も要因の一つです。フルタイムで働く女性が増え、家で食事を作るのが難しくなったことが考えられます。同時に、家族がばらばらで食事をする孤食文化が侵透し、子どもや若い世代の中食が増えています。

また、単身・高齢夫婦世帯の増加も挙げられます。一人暮らしをする単身者や高齢夫婦は少ない量を作るのが難しかったり、わざわざ自分ために調理することを面倒くさく感じたりするかもしれません。

高齢者になると、買い物や料理をすること自体が負担になることもあります。自炊の手間が省けて、外食より費用が安く済む中食が効率的だと言えそうです。

業態・業種の多様化

近年、中食市場の業態・分野が多様化していることが急成長に繋がっています。従来は惣菜専門店やテイクアウト・宅配専門店が主でしたが、ニーズの高まりに伴い外食産業や小売業も、テイクアウト/デリバリーサービスを展開するなど中食産業に参入しています。

また、「お惣菜」に求めるもの、「中食」の利用用途が変化していることも理由になっています。以前は手間の軽減として利用されていた「お惣菜」ですが、現在はお祝いやパーティーで少し贅沢をする際に出す目的で購入されることがあります。

高級店や有名レストランの料理が並ぶ”デパ地下”がその例です。健康志向が高まっているように、栄養素を意識して小分けで取り入れやすい「中食」が流行っています。

中食業界の主な企業とシェアランキング

中食市場のカテゴリーはお弁当、惣菜専門店、コンビニエンスストア、食料品スーパー、宅配、総合スーパー、百貨店のように分類することができます。

中食業界の主な企業

お弁当系の主な企業としては、「ほっともっと」のフランチャイズを運営する「株式会社プレナス」、持ち帰り寿司店である「株式会社ちよだ鮨」、老舗とんかつ屋『とんかつまい泉』を経営する「井筒まい泉株式会社」、「オリジン弁当」で知られる「オリジン東秀株式会社」などがあります。

お惣菜系では『RF1』を展開するロック・フィールド、柿安本店などが高いシェアを誇ります。宅配分野では「ワタミ株式会社」や「株式会社ドミノ・ピザジャパン」などがあります。

中食業界のシェアランキング

中食業界のシェアランキング(2017年 - 2018年)は次のようになっています。
(参考:業界動向サーチ)

1位 プレナス
2位 カネ美食品
3位 ロックフィールド
4位 オリジン東秀
5位 ハークスレイ

トップのプレナスは、持ち帰り弁当の「ほっともっと」や、人気の定食チェーン店「やよい軒」を全国に展開しています。

カネ美食品は、ファミリーマートの関連会社で、ファミリーマートやサークルKサンクスで販売されているお弁当や総菜を製造しています。

ロックフィールドは、駅ビルやデパ地下で販売されているお惣菜を製造している企業で、とくにお惣菜のテイクアウト「RF1」よく知られていますね。

オリジン東秀は、人気の「オリジン弁当」が有名です。ハークスレイは、お弁当の「ほっかほっか亭」でよく知られています。

仕事内容や職種

「中食業界」は「外食業界」より幅広く業態に踏み込んでいるため、様々な職種があります。

営業職

店頭販売や外部への売り込みを行います。会社の商品を取り扱ってもらえるかどうかが決まる責任のある仕事です。お客様の声を一番近くで聞けるという点で、やりがいを感じることができる職種でもあります。

技術職

使用する原料から製品を製造するまでの工程を設計します。変化する生産技術を駆使して、設計・製造に反映していく必要があります。工程の仕組み自体を作ることができる専門性の高い職種です。

企画・開発職

新商品の企画・開発をしたり、既存商品をより良くする案を提案したりします。企業戦略やコストといった会社側の視点と、顧客ニーズや流行など消費者側の視点両方にたちアイデアを創出できる人に向いているでしょう。

品質管理職

消費者に「安心」で「安全」な製品を届けるために、品質検査や工程管理を行います。実際に工場を巡回して製品サンプルを採取し、検査するのが主な仕事です。品質の数値をもとに、製品が正常に出荷できるか判断する責任のある職種です。

物流職

商品が消費者に届くまでの流れを、円滑に、かつ効率的にできるよう働きます。配送の回数やタイミング、方法などの修正や改善に取り組むだけでなく、出荷に関わる人員の管理も行います。

フードコーディネーター/栄養管理士

それぞれの「食」に関する知識を活かして、メニュー・新製品の開発、生産方法の検討、栄養・味・見た目を保つ物流の仕組み作りなどに携わります。それだけにとどまらず、カスタマーセンターで消費者の栄養相談に乗る、市場調査をするといった業務もあります。

中食業界の将来性と課題

中食業界は今後も成長が予測される

個食化や高齢化、共働きの家庭の増加により中食市場は急成長を遂げましたが、その傾向は今後も継続していくことが予想されています。

さらに、現在の市場拡大に拍車をかけると考えられているのが今年10月に予定されている消費税増税です。外食が軽減税率の適用除外とされている一方、中食には軽減税率が適用されます。これは消費者の中食の支持を一層強めるだろうと推測できます。

人手不足が課題

可能性に満ちている中食業界ですが、課題が全くないわけではありません。少子高齢化や人口減少による人手不足が問題になっています。中食の作り手のみならず、外食より工程の多い宅配分野においては、物流の人員確保も必要となります。

急成長している中食業界では、人手不足が課題となっています。製造工程の効率化やロボットの導入などが、今後はさらに必要になるでしょう。

まだ形態が変化し続けている中食業界は、将来性も課題も持ち合わせた業界となっています。

最後に

普段はあまり耳にしない「中食」ですが、身近な業界であることがお分かりになったのではないでしょうか。単身・高齢化・女性の社会進出に伴い、今後も成長が見込まれています。これまで中食業界を選択肢にしてこなかった方も、就職活動の視野に入れてみても良いかもしれませんね。


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