デジタル化やペーパーレス化、原料費の上昇などにより厳しい状況が続く製紙業界。製紙業界への就職を考えている就活生にとっては、業界の現状や今後の動向が気になるところですよね。
今回は製紙業界についてや2大製紙会社である王子HDと日本製紙の特徴、製紙業界の仕事などを紹介します。また、変革を迫られている製紙業界への就活では、どんな対策ができるかも考えてみます。
- ・製紙業界とは?
- ├製紙業界の役割
- ├製紙業界の特徴
- └製紙業界の企業ランキング
- ・製紙業界の現状と動向
- ├洋紙は、紙離れ・原料費上昇による苦境が続く
- ├段ボールや家庭紙部門は好調
- └再編や海外進出で巻き返しを図る
- ・製紙業界大手2社を紹介
- ├王子HD(王子製紙)
- └日本製紙
- ・製紙業界の職種
- ├開発
- ├製造
- ├営業
- └事務
- ・製紙業界の就活対策
- ├英語力を磨く
- ├開拓心があることをアピール
- └紙や木に可能性を感じていることをアピール
- ・最後に
製紙業界とは?
製紙業界の役割
「紙・パルプ産業」とも言われる製紙業界は、普通紙(用紙)をはじめ、新聞紙、段ボール、ティッシュペーパーやトイレットペーパー、パッケージ用の箱などを開発・生産しています。
製紙業界の特徴
製紙業界では多くの企業が自家発電設備を有しており、自社で使うエネルギーを自家発電しています。パルプの製造過程で出る黒液や再生困難な古紙などを活用しており、環境に配慮したエネルギー事業への注目も集まっています。
製紙業界の企業ランキング
業界動向サーチが発表している製紙業界の売上&シェアランキングをご紹介します。
1位 王子HD
2位 日本製紙
3位 レンゴー
4位 大王製紙
5位 北越紀州製紙
業界シェアでは、王子HDが29.5%、日本製紙が20.7%となっており、トップ2社で半分以上を占めています。
製紙業界の現状と動向
業界全体の現状や動向はどうなっているのでしょうか?
洋紙は、紙離れ・原料費上昇による苦境が続く
デジタル化が進むことによって逆風にさらされている製紙業界。新聞や雑誌はPCやスマホで読め、書籍でさえもデジタル版が販売されるようになった昨今では、紙の需要が落ち込むなど紙離れが深刻です。
出版用紙やコピー用紙などに使われる「洋紙」は、供給過剰に転じた状態が続いており、国内では利益が上げられていません。洋紙の原料(チップ、パルプ、古紙など)が値上がりしていることも苦境を強いる原因です。製品の値上げをしても回収に追いつかない状態が続いています。
段ボールや家庭紙部門は好調
一方、好調なのが段ボールの原紙となる板紙。ネット通販の個人利用拡大により、段ボールの需要が年々高まっています。それを受けて、2016年、2017年ともに段ボールの生産量は過去最高となりました(全国段ボール工業組合連合会)。
家庭用のトイレットペーパーやティッシュペーパー、紙おむつの売上も好調です。海外旅行で日本を訪れた観光客が、高品質な日本のトイレットペーパーやティッシュペーパー、紙おむつをお土産で購入していくことも多く、それも売上増の一因となっています。
再編や海外進出で巻き返しを図る
国内の紙需要の低迷を受けて、各社、再編や海外進出に生き残りを賭けています。業界トップの王子HDは、中国工場の本格稼働を開始し、ニュージーランドの製紙会社の買収、業界6位の三菱製紙に33%を出資するなど動きを活発にしています。
業界2位の日本製紙は、紙パックなど液体容器向けの原紙事業を米林業大手のウェアーハウザーから買収し、国内事業の強化を図っています。今後も、業界再編や海外への事業展開など、成長に向けて各社活発な動きがありそうです。
製紙業界大手2社を紹介
今後の動向も注目される、製紙業界大手2社を紹介します。
王子HD(王子製紙)
業界No1.の業績を誇る王子HD。業界最大手でありながら、それに甘んじないチャレンジ精神に満ちた企業です。
新卒採用のHPにも「新規事業・新製品開発や東南アジア・オセアニア・南米を重点地域とした海外事業の拡大(グローバル化)を進めており…」とあり、製紙事業を核とした、新規事業や新製品の開発に前向きであること、今後ますます海外展開が活発であることが伺えます。
事業では、機能紙の開発に経営資源を重点的に投入して、事業構造転換の柱にする方針を掲げています。
日本製紙
業界2位の日本製紙は、クリネックス、スコッティなどのブランドで知られます。「木から生まれる可能性の広がり」という考えのもと、製紙事業を核に置きながら木材のあらゆる可能性を模索しています。
2015年からは、間伐材などを利用したバイオマス発電事業を開始し、電力会社へ電力を販売する取り組みを始めました。これまでの考えに縛られない、柔軟な対応ができる企業であると言えます。
製紙業界の職種
製紙業界にはどんな仕事があるのでしょうか?製紙業界の主な職種をご紹介します。
開発
新しい素材や紙製品の研究や開発を行います。理系の学部で学び専門知識があることが応募の条件となっていることもあります。
普通紙の需要が減少傾向にある製紙業界では、新しい素材や製品の開発に積極的な企業が多いです。研究・開発職では、さまざまな新しいチャレンジができるでしょう。
製造
自社で開発した製品を製造する仕事です。紙の製造や加工には、高い専門知識が求められます。製品の品質に関わる重要な仕事です。
営業
自社で製造した製品を、営業し販売する仕事です。高いコミュニケション能力が求められます。海外展開をしている企業も多いので、外国語や海外経験などもいかすことができるでしょう。
事務
一般企業と同じように、総務や経理、人事の事務があります。製造や販売に関する事務を担当する事務もあります。本格的に海外展開している企業は海外事業部があるので、英文事務の需要もあるでしょう。
製紙業界の就活対策
変革期にある製紙業界に就職するためには、どんな準備が必要でしょうか?ここでは、就活に向けてできることや、アピールしたいポイントを紹介します。
英語力を磨く
製紙業界には海外展開が活発な企業が多いことから、英語力があるとアピールポイントになります。必須ではありませんが、海外拠点の多い企業を志望するなら、英語を勉強中であることはアピールしましょう。海外転勤が多い企業では、語学支援制度が用意されていることもあります。
開拓心があることをアピール
これまでの製紙事業だけでは成長が見込めないことから、製紙業界の各社は新しい取り組みに積極的です。そのため、言われたことをやるタイプよりも、自分で新しいことを見つけたい、チャレンジしてみたい、というタイプが求められています。
新しいことにチャレンジした経験やエピソードなどがあれば、どんどんアピールしましょう。
紙や木に可能性を感じていることをアピール
新しい事業にも積極的ではありますが、製紙会社であることから、紙や原料である木を活かしてできることを考えています。
紙はこれまでも、ただ書くだけのものから、段ボール、おむつ、電化製品や精密機器の部品などとして、新しい用途で使われるようになってきました。
紙や原料である木には、まだまだ新しい用途があるかもしれません。紙の新しい使われ方、木を活かしたビジネスについて、可能性があると考えていることを上手くアピールできると高評価につながります。
最後に
製紙業界は業界全体としては厳しい状況ですが、変革の時期だからこそ今後の飛躍も期待されます。新卒採用では、難しい局面でも切り抜けられる、タフでチャレンジ精神のある人材が求められています。
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