【業界研究】小売業界の現状・仕事内容・就職活動対策

小売業界は消費者の手元に商品を届けるのが仕事です。そのため、小売業界は私たちにとって身近な存在のはずですが、具体的な仕事内容や現状はあまり知られていません。

そこで今回は、小売業界の現状を解説するとともに、小売業界に効果的な就職活動対策をご紹介します。

目次

小売業界とは?

まずは小売業界の基本的な情報を押さえていきましょう。

小売業界の仕事内容

小売業界は、卸売業者から仕入れた商品を消費者に販売する役割を担っています。「消費者への販売価格」と「卸売業者からの仕入価格」の差額が小売業界の利益となります。
最近では卸売業者から商品を仕入れるのではなく、商品の企画・開発・製造・販売までを自社で一貫して行う「SPA(Speciality store retailer of Private label Apparel:製造小売業)」や「DtoC(Direct to Consumer)」といったビジネスモデルも登場しています。

SPAはアパレル分野で採用されているビジネスモデルで、仲介コストを削減し、効率よく商品を販売することを目的としています。一方、DtoCはほかの業者を介さないことで、商品の持つ世界観やメッセージをそのまま消費者に伝えることを目指しています。

小売の業態

小売の業態は実に多様です。ここでは、経済産業省が2022年4月に発表した「2021年小売業販売を振り返る」において、主要な業態としてピックアップされている6業態について解説します。

■百貨店(デパート)
経済産業省の定義では「衣・食・他(=住)にわたる各種商品を小売し、そのいずれも小売販売額の10%以上70%未満の範囲内にある事業所」を百貨店と呼びます。1つの店舗内に多様な商品が揃っているのが特徴です。対面での丁寧な接客も百貨店(デパート)の特徴です。

■スーパーマーケット
百貨店と同じように豊富に商品を揃えつつ、セルフサービスを導入したのが「総合スーパー」です。一方、衣・食・住のどれかに関連する商品を70%以上扱っているものを専門スーパーといいます。

■コンビニエンスストア
食品・飲料・日用品などをセルフサービス方式で販売する小規模店舗です。14時間以上の営業が定められています。

■家電大型専門店
オーディオ家電や生活家電などあらゆる家電製品やその部品を取り扱う専門店舗です。

■ドラッグストア
医薬品や化粧品など主に健康や美容に関する商品を取り扱う店舗です。家庭用品や加工食品を販売する店舗もあります。

■ホームセンター
家庭用品・園芸用品・電気機器用品・収納用品・家具・建築材料など、住まいに関連する商品を総合的に取り扱う大規模な店舗です。

小売業界の現状

ここからは小売業界が置かれている現状を確認してみましょう。

業界全体はゆるやかな伸び

経済産業省「2021年小売業販売を振り返る」によれば、2021年における小売業界の市場規模は150兆4620億円と非常に大規模となっています。また、小売業界の販売額は2016年からゆるやかな増加傾向が見られ、2020年と比べると販売額は1.9%増加しています。

業種別で売上に大きな差

小売業界は業態別に販売額に大きな差が見られます。特に2021年と比べて販売額が増加したのは「百貨店(デパート)」で、前年比4.5%となりました。逆に「家電大型専門店」は前年比-2.3%、「ホームセンター」は-3.0%と減少しています。

これは2020年の新型コロナウィルスによる外出自粛が影響を与えています。百貨店(デパート)は外出自粛ムードにより客足が伸びず、2020年の販売額は大きく急落しました。しかし、自粛ムードが収まった2021年は飲食料品や衣料品などの販売額が伸び、プラスに転じています。

一方、家電大型専門店やホームセンターは外出自粛や在宅ワークの増加により、2020年は家電やインテリア用品の販売額を伸ばしました。しかし、2021年にはそれらの販売額が一気に減少しています。

社会や景気の影響を大きく受けるのが小売業界の特徴です。今後も動向をしっかり観察していく必要があるでしょう。

小売業界の就職活動対策

ここからは小売業界の就職活動対策についてお話します。

小売業界で求められる人材を把握する

就活では一方的に自分をアピールしても採用につながりません。小売業界や各企業が求めている人材であることを示さない限り、「一緒に働きたい」とは思ってもらえないのです。小売業界や企業の求めている人材について、会社説明会や各企業の採用ページなどで確認しておきましょう。

「自分」という商品を魅力的にアピールする

小売業界・企業が求めている人材を理解した上で、自分が小売業界・企業にとって必要な人材であることをアピールできるよう準備しましょう。

例えば、「コミュニケーション能力」を求めている企業であれば、過去にコミュニケーション能力を生かした体験を見つけ出し、アピールするためのエピソードにまとめ直すのです。 小売業界はモノを売るのが仕事ですから、「自分」という商品を売り出す力そのものが評価につながります。

小売業のインターンシップに参加する

小売業界を志望するならインターンシップに参加するのもおすすめです。短期インターンでは業界や企業のポジションについて詳しく説明してもらえるため、業界全体の動向を効率よく把握できます。

ま長期インターンでは実際の業務を体験したり、社員の方から業界に関する詳しい話が聞けたりします。小売業界について、知識を深めることができるでしょう。

最後に

小売業界は社会の変化や消費者のニーズを迅速にキャッチし、対応することが求められます。そのため、業界としての現状や動向も目まぐるしく変化しています。

新たなビジネスモデルも次々に登場しており、競合するビジネスとどう戦っていくかも意識しなければなりません。小売業界を目指すなら、常に最新の情報をキャッチできるようにアンテナを張っておきましょう。

参考資料

経済産業省経済解析室「2021年小売業販売を振り返る」

総務省統計局「平成28年経済センサス‐活動調査 産業分類一覧;I卸売業、小売業 説明及び内容例示」


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