旅行会社に就職するには?業界概要・ランキング・メリットなど解説

大学生の就職人気ランキングで上位に何社もランクインする旅行会社は、応募倍率も非常に高いです。就活戦線を勝ち抜くために、業界研究は欠かせません。

ここでは、旅行業界の現状や業務内容といった基本的な知識をまとめています。売り上げランキング、役立つ資格、注目のトピックなども参考にしてください。


旅行業界
目次

旅行会社について

旅行業界の現状

東日本大震災の影響で旅行業界はかなりのダメージを負いましたが、ここ数年は回復傾向です。2016年には旅行会社の数は1万社を超え、熾烈な競争が繰り広げられています。今後は差別化や、どれだけ魅力的なサービスを提供できるかが鍵になるでしょう。

旅行会社の取扱額ランキング

国土交通省観光庁が令和3年5月に発表した「令和2年度主要旅行業者の旅行取扱状況年度総計」によると、以下のようなランキングになっています。

1.ジェイティービー(9社計) 4215億円
2.KNT-CTホールディングス(13社計) 998億円
3.日本旅行 978億円
4.阪急交通社(3社計) 584億円
5.ジャルパック 563億円
6.ANAセールス 475億円
7.JR東海ツアーズ 297億円
8.エイチ・アイ・エス(5社計) 269億円
9.東武トップツアーズ 252億円
10.名鉄観光 242億円

※取扱金額の億以下は省略しています。
※取扱金額は、海外旅行・国内旅行・外国人旅行の合計です。

旅行会社へのコロナの影響

旅行業界は、新型コロナウィルスの影響をもっとも強く受けた業界の一つで、今後もしばらくは厳しい状況が続くことが予測されます。

海外旅行の需要はすぐには回復が見込めませんが、国内旅行の需要は少しずつ回復していくでしょう。GoToトラベルキャンペーンなどの効果もあり、観光・旅行・レジャーへの注目も高まっています。

都道府県をまたいでの移動が控えられているため、近場で旅行気分が味わえる場所やレジャースポットが人気となっています。人が集まる観光地ではない田舎への旅行や、3密を避ける工夫がされたプランなど、コロナ時代にマッチした新しい旅行のプランやスタイルが今後は増えてくるでしょう。

旅行業界のしくみ

「旅行業」と「旅行業者代理業」の違い

旅行会社には、「旅行業」と「旅行業者代理業」の2種類があります。「旅行業」は、旅行商品の企画ができるのに対して、「旅行業者代理業」は、自分たちで旅行商品の企画はできず、旅行業に属する企業と契約をし旅行商品の販売をしています。

旅行業の4分類

旅行業には4つの種類(第1種、第2種、第3種、地域限定)があります。

第1種旅行業は、企画旅行と手配旅行の両方を、国内外ともに行えます。第2種旅行業は、国内の企画旅行・手配旅行の業務が可能です。

第3種は、国内の受注型企画旅行と手配旅行は業務の範囲内ですが、国内旅行であっても募集型企画旅行は一定の条件下でないと行うことができません。地域限定旅行業は、国内の企画旅行と手配旅行を、地域限定で行うことができるものです。

企画旅行と手配旅行

法律で定められた「旅行業務」には、「企画旅行(募集型と受注型がある)」と「手配旅行」があります。

企画旅行は募集型の企画旅行というのは、パッケージツアーのような旅行先や日程、移動手段などが決められた旅行のことを指します。受注型企画旅行は顧客の依頼により、旅行内容を作成していくものです。

手配旅行では、航空券やホテル宿泊券の販売などを行います。

旅行会社の業務内容

セールス

旅行の企画や手配、販売は、店舗にて行う職種(カウンターセールス、と呼んだりします)と、企業や学校に旅行の提案を行う職種(アウトセールス、と呼んだりします)に分けられます。

ツアーコンダクター

ツアーコンダクターは、他の職種(アウトセールスなど)と兼任していることや、専門の派遣会社から派遣された方が業務を担っている場合も多いです。「ツアーコンダクターが楽しそうだからやりたい!」という学生は多いですが、狭き門だということを認識しておきましょう。

ツアープランニング

個人旅行や団体ツアーなど、様々な旅行の企画を考えるのが、ツアープランニングの仕事です。旅行のプランだけでなく、宿泊施設の選定や移動手段も考慮する必要があるので、観光地や移動方法などについての知識が求められます。

ツアーオペレーター

移動時の交通機関や宿泊施設などの手配をするのが、ツアーオペレーターです。旅行会社によっては、ツアープランナーが手配まですることもあります。海外旅行の場合は海外の宿泊施設や交通機関を手配することになるので、外国語のスキルが求められます。

旅行会社への就職

旅行会社の就職難易度は?

旅行業界は就活生に非常に人気のある業界です。とくに大手の旅行会社は人気が高く、倍率が30倍や、50倍という企業もあります。

旅行業界は学歴がそれほど重視される業界ではなく、就活の選考でも人物重視の傾向が強いです。コミュニケーション能力が高い、企画力があるなど、人柄やポテンシャルをアピールすれば学歴の差を埋めることは可能です。

旅行会社が就活生に人気の理由

旅行会社に就職したいと考える就活生が多いのは、旅行が好きな人が多いということがあげられます。「旅行は楽しい」というイメージが強く、旅行に関わる仕事も楽しそうなイメージがありますよね。

好きなことに関われる職場ではありますが、仕事となると楽しいことばかりではありません。実際にどんな業務があるのか、仕事でどんな苦労があるのかなども合わせて調べておく必要があります。

旅行会社の給料・年収は他の業界と比べると高いとは言えません。成果主義で実績により給料が変動する職種もあるので、実績をあげられないと給料面では厳しいと感じることもあります。メリット・デメリットを調べて、それでも働きたいと思えるかよく考えてみましょう。

旅行会社に就職するメリット

社員割引がある旅行会社で働くと、旅行に安く行けるというメリットがあります。出張やリサーチ、添乗がある職種であれば仕事で観光地を訪れることができます。これは旅行好きには嬉しいポイントです。

観光地や便利な移動方法など、旅行に関する知識が身につくので、自分が旅行に行く時に役立てることができます。

旅行業界で求められる人材とは

コミュニケーション能力が高い人

旅行業界は、お客様や取引先など人と関わることが多い業界です。そのため、採用では知識や頭のよさよりも人間性を重視する企業も少なくありません。

面接では「周囲の人間といい関係を築くことができる」「相手の気持ちになって考えることができる」といった、コミュニケーション能力の高さをアピールするようにしましょう。

企画力がある人

旅行の企画に携わることが多い旅行業界では、企画力のある人材が求められます。トレンドに敏感であったり、今後の旅行ニーズの動向を読み解く力があれば、旅行業界では重宝されます。学生時代にサークルやゼミなどで自分が企画した経験があれば、積極的にアピールしましょう。

旅行業界の就活対策

業界研究を徹底する

狭き門をくぐりぬけるために、しっかりとした企業研究と対策が必要になります。「旅行が好きだから旅行会社で働きたい」というだけでは十分なアピールになりません。旅行会社に入って、顧客にや会社にどんな価値を提供できるのか明確にする必要があります。

観光庁が公開しているデータをもとに、企業ごとの売上高やその内訳(国内・海外)を比較してみるのもいいでしょう。前年に比べて売上がどうだったのかもわかるので、経年比較をするのにも便利です。

インターンシップに参加する

旅行業界のインターンシップに参加するのもおすすめです。企業理解が深まるというメリットがあり、採用担当者やその他社員とのつながりができる可能性もあります。

企業の比較・研究をするなら、複数の旅行会社のインターンに参加してみてください。企業規模や職種を変えて参加すると、自分に合う企業や職種を見極めやすくなるでしょう。

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語学力・海外経験を磨いておく

旅行業界では、語学力や海外経験があることは大きな武器となります。TOEICの試験を受けて、語学力をアピールできるようにしておきましょう。海外留学や海外旅行の経験もアピールポイントになります。

観光や旅行でのシチュエーションに特化した英語の検定「観光英語検定」を取得しておけば就活でのアピールに使えますし、就職後に仕事でいかすこともできます。

たくさん旅行をしておく

旅行会社で働いている人は旅行好きな人がほとんどで、実際にたくさん旅行をしている人が多いです。実際に現地を訪れることで得た知識や経験は、就活の志望動機や自己PRでも使えるネタになります。

社会人になると長い休みを取れる期間は限られてしまうので、学生のうちにたくさん旅行をして経験を積んでおくと就活でも役立つでしょう。

旅行会社で働くときに持っておくと有利な資格

旅行業務取扱管理者資格

旅行業者は各営業所に、「旅行業務取扱管理者資格」の保持者を配属しなくてはいけないため、有資格者は職場に必要不可欠な存在です。試験では旅行業法、宿泊、交通についての問題が出題されます。

旅程管理主任者資格

旅行会社が企画するツアーや団体旅行にツアーコンダクターとして参加する場合に必要となる資格です。試験だけでなく添乗実務も求められるため、入社後に取得するのが一般的です。

旅行地理検定試験

旅行地理検定試験では、観光地の知識や地理にまつわる問題が出題されます。1級から4級と幅広く用意されており学生でも取得しやすい資格です。旅行会社で働いている人がスキルアップのために受けることもあり、現場で役に立つ知識を身に着けることができます。

覚えておくべきトピック

インバウンド

インバウンドとは訪日外国人旅行客のことで、旅行業界を目指すなら知っておくべきワードです。日本政府は観光を成長戦略のひとつとして掲げており、「オリンピックイヤーである2020年までに訪日外国人を4000万人に増やす」という目標を掲げています。 インバウンドの方に人気の観光地は、日本人に人気の観光地と必ずしも一致しないようなので、調べてみるとおもしろいかもしれません。

民泊

民泊とは、住宅の空き部屋やマンションの1室などを活用して、旅行者に宿泊をさせることです。訪日外国人の増加によってホテルや旅館の不足が課題になり、そこで注目されているのが「民泊」です。

最近のトピックとしては、2017年に「住宅宿泊事業法(民泊新法)」が成立したことです。無許可民泊が横行していた状況の中、今回の法整備で状況の改善が期待されています。

IT化

旅行会社は、インターネット上で旅行の募集・販売ができるようになり、これまでの店舗中心だったシステムからその仕組みが変わってきました。今後は旅行代理店のリアル店舗での販売から、インターネットを活用した旅行販売にシフトしていくかもしれません。

さいごに

旅行業界は人気の業界です。学生にとっても身近な業界であるがゆえに、「楽しそう」といった安易な理由で希望をする就活生が多いのも事実です。業界研究、企業研究をしっかりおこなってライバルと差をつけましょう。


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