クリエイティブで華やかなイメージの映画業界。「映画が好き!」という気持ちから、映画業界への就職を目指す方もいると思います。しかし映画業界は、毎年新卒を採用する会社ばかりではありません。即戦力となる中途採用が多いため、新卒で就職するのはかなりの狭き門です。
そんな業界での就活を成功させるためには、まずはしっかり業界研究をすることです。ここでは、映画業界の動向や課題、仕事内容など、就職活動での業界研究に役立つ情報を紹介します。
- ・映画業界の動向と課題
- ├近年は邦画が好調!
- ├3大手が映画業界を牽引
- └人材定着が今後の業界を支える鍵
- ・映画業界の仕事内容は?
- ├製作に関わる仕事
- ├配給に関わる仕事
- └興行に関わる仕事
- ・映画業界企業の売上高ランキング
- ・映画業界に就職するには?
- ├かなりの難関だが大手映画会社に入社する
- ├インターンやアルバイトを経て映像制作会社へ
- └映画に関わる他業界への就職を考える
- ・映画業界で求められる人材とは?
- ├国際感覚が豊かな人
- └企画力がある人
- ・映画業界を目指すなら
- ├映画館でアルバイトする
- ├映画を制作してみる
- └インターンシップに参加する
- ・最後に
映画業界の動向と課題
かつては斜陽産業と言われた映画業界ですが、このところの業績は安定しており、近年は邦画のヒット作にも恵まれ好調が続いています。
近年は邦画が好調!
かつて、映画のヒット作といえばハリウッドの超大作が定番でしたが、近年は邦画が好調です。記憶に新しいところだと、2016年の「君の名は。」の大ヒットですが、「名探偵コナン」や「ドラえもん」などのアニメも安定した人気を誇ります。
人気少女漫画を原作にした邦画も数多く公開されており、好調な興行成績をおさめています。一方で、オリジナルの作品が少ないことや、海外映画が全くヒットしないことに警鐘を鳴らす専門家もいます。
3大手が映画業界を牽引
国内では、東宝、東映、松竹が、大きなシェアをしめている3大手映画会社です。映画を製作するところから、映画館で上映されるまですべての工程を自社で行っているほか、不動産業なども展開しています。業界シェアでは、次いで東北新社、東映アニメーションとなります。
人材定着が今後の業界を支える鍵
若手スタッフの仕事がハードなのに給与水準が低いことから、「技術を身に付ける前に辞めてしまう人が多い」という問題があります。
これは映画業界に限らず、アニメ業界など日本の多くの制作の現場に言えることでしょう。そのため、優秀な人材や新しい才能が育ちにくくなっているのです。
映画業界の仕事内容は?
映画業界には大きく分けて、「製作」「配給」「興行」の3つの仕事があります。それぞれどんな仕事内容について解説します。
製作に関わる仕事
「映画の仕事をしたい!」と考える人の多くが、製作に関わりたいと考えているのではないでしょうか?製作に関わる仕事にはさまざまな職種があります。
◇プロデューサー
映画製作における最高責任者。企画を立ち上げ、資金調達を行うのがメインの業務です。かなりのビジネスセンスと営業センスが必要で、人脈作りの手腕が問われる仕事です。
◇監督
映画製作の現場において全体の指揮をとります。脚本家と一緒にストーリーや構成を考え、映像の見せ方、カメラワークやカット割り、演技指導なども行います。映画の全体像を作るのが映画監督です。
◇助監督
映画監督のアシスタント役です。作品の規模にもよりますが、3人以上の助監督がつくこともあります。雑用が多いですが、監督の要望を察知し、素早く動けなければなりません。助監督を経て、監督になる人が多いです。
◇脚本家
プロデューサーが立てた企画に沿って脚本を書いたり、原作の漫画などをもとに映画にあった脚色を加えて本を書いたりします。
◇カメラマン
監督のカット割りに従って、撮影を行います。構図や光の量など、その場その場で対応できる勘のよさが必要です。
◇音響技師
撮影中の音声を録音する仕事です。音声のみを別で録音する場合もあります。撮影中に重たいマイクを掲げるため、かなりの体力が必要とされます。
◇美術
映画のシーンで必要な部屋の家具や小物などを考えて用意する仕事です。美大を出てから、美術を請け負う制作会社に就職したり、劇団に舞台美術として入団したりするなどの道があります。
◇編集
撮影した膨大な映像の中から、必要な箇所を抜き取り、さらにつなぎ合わせて一本の作品に仕上げる作業です。似たようなシーンの映像からベストなものを見極める目と、根気強さが必要とされます。
◇CG制作
映画の演出効果を高めるCGを制作します。需要の高い仕事で、技術とセンスが求められます。映像系の専門学校で学ぶことが前提となります。
◇俳優
映画に出演して演じる仕事です。芸能プロダクションに所属したり、一般公開のオーディションに参加するなどの方法があります。
配給に関わる仕事
配給は、完成した映画と映画館との中継役となる大事な仕事で、大きく3つに分けられます。
1つ目は「買い付け」といい、完成した映画を買う仕事です。映画を買うとは、映画を映画館で上映する権利や、DVDとして販売する権利、テレビで放映する権利などを買うことです。
2つ目は「ブッキング」といい、買った映画を映画館に提供する仕事です。映画館には大手のチェーンからミニシアターまで数多くあり、どこで上映するべき作品なのか見極め、交渉します。
3つ目の「宣伝」は、より多くの人に映画館に足を運んでもらい、映画を観てもらうためのプロモーション活動です。予告編やポスターの作成、主題歌のタイアップ、舞台挨拶や記者会見など、さまざまなプロモーション活動を展開させます。
興行に関わる仕事
映画館の管理、運営を行います。3大手映画会社の映画館をはじめ、独自の視点で選んだ映画を上映する独立興行会社もあります。
映画業界企業の売上高ランキング
業界動向SEARCH.COMの発表している「映画業界 売上高ランキング トップ10(2018 - 2019年)」を元に、映画業界のトップ企業の特徴を解説します。
1位 東宝
2位 東映
3位 松竹
4位 AOITYOHoldings
5位 東北新社
6位 東映アニメーション
7位 東急レクリエーション
8位 マーベラス
9位 東京テアトル
10位 創通
1位 東宝
映画の制作・配給・興行、演劇の制作・興行、不動産事業なども行っている、日本を代表する映画会社です。「ゴジラシリーズ」が有名で、「劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」などのヒット作も送り出しています。
2020年12月には子会社である「東宝映画」と「東宝スタジオサービス」を統合し「TOHOスタジオ株式会社」を設立。制作準備から仕上げまでをワンストップで提供できる体制を整えています。
2位 東映
映画の制作・配給・興行などを行う大手映画会社で、東京と京都には撮影所があります。テレビ朝日ホールディングスとは株式持ち合いの関係です。
映画以外にも「相棒」などの人気テレビドラマの制作、イベントの開催やライセンスビジネスなども行っています。
3位 松竹
「映像事業」「演劇事業」「不動産」をメインに、エンタメ関連の事業を行っています。映画の制作・配給・興行はもちろん、歌舞伎や演劇の企画・制作・興行でも知られています。
海外製作映画の買付・宣伝・配給、歌舞伎グッズ専門店やレストランの経営など幅広く事業展開しています。
4位 AOITYOHoldings(アオイ ティーワイオー ホールディングス)
広告映像制作などを行う映像プロダクション「AOIプロ」、広告コンテンツを制作する「TYO」などを傘下に持っている企業です。
5位 東北新社
映像コンテンツ制作・広告制作・字幕制作・ライセンスビジネス・配信ビジネス・輸入品を扱うスーパーマーケットの運営など、非常に幅広い領域でビジネスを行っています。
6位 東映アニメーション
アニメーションの制作やキャラクタービジネスなどを行っています。「ドラゴンボール」「セーラームーン」「ワンピース」など、数多くのヒット作があります。
7位 東急レクリエーション
「109シネマズチェーン」として、全国にシネマコンプレックスを展開している企業です。その他にもフィットネスクラブ「エニタイムフィットネス」や飲食店などの運営も行っています。
8位 マーベラス
映像コンテンツの制作、オンラインゲームの開発、ゲームソフトの開発、劇場演芸の興行などを行っています。
9位 東京テアトル
映画の配給・宣伝や、「ヒューマントラストシネマ」「テアトル」「シネ・リーブル」などの映画館を運営しています。その他、飲食店運営や不動産事業なども行っている企業です。
10位 創通
バンダイナムコの子会社で、アニメの企画・制作や、キャラクタービジネスなどを行う企業です。プロ野球球団の版権契約代行業務を行い、球団グッズショップでグッズ販売もしています。
映画業界に就職するには?
希望する職種によっても進路が異なると思いますが、映画業界に入るための代表的な進路を紹介します。
かなりの難関だが大手映画会社に入社する
3大手映画会社では、例年10名程度の新卒を採用しています。その10名が各事業部に配属されるため、実際に映画に関わる業務につくのは若干名といえます。
インターンやアルバイトを経て映像制作会社へ
監督やカメラマン、音響技師などとして、実際に映画の撮影現場で活躍するためには、ある程度の経験を積み、周りから認められる必要があります。そのためにはまず、映像制作会社へ就職して技術を身に付けなければなりません。
映像制作会社は新卒採用は行わず、即戦力となる中途採用をメインとしているところが多いです。なので、インターンやアルバイトとして就業し、そこから正社員にステップアップする方法があります。
映画に関わる他業界への就職を考える
映画業界以外でも、映画に関わる仕事ができるチャンスがあります。あくまでも映画に関われる機会があるかも、というだけで映画がメインの仕事ではありません。ただ、制作に関わる仕事という意味では共通しているので、映画業界に興味のある方には合っている仕事だと思います。
◇テレビ局
テレビドラマが映画化されることもよくあるため、それに関わる部署が設置されているテレビ局もあります。ただご存知の通り入社の難易度はかなり高いです。
◇映像ソフトメーカー
映画のDVD化に関われる、映像ソフトメーカーに入社するという手もあります。映画のDVDに収められるオリジナルコンテンツを制作する機会に恵まれる場合もあります。
◇Webコンテンツ、アプリ制作会社
映画に特化したWebサービスやアプリを制作している会社もあります。ここで紹介する他の業界に比べて、入社の難易度は低そうです。
◇大手広告代理店
大手広告代理店であれば、映画広告の制作やプロモーションに関われるチャンスもあります。ただ、広告代理店も入社の倍率は高いです。
映画業界で求められる人材とは?
国際感覚が豊かな人
映画は世界中で親しまれているエンターテインメントです。海外の作品を扱うこともありますし、日本の映画を海外に宣伝することもあります。洋画を扱う仕事なら英語力は必須です。
外国語が堪能であれば、映画業界で活躍できる機会もぐっと広がります。海外経験や海外文化の理解など、国際感覚が豊かな人は映画業界で力を発揮することができるでしょう。
企画力がある人
コンテンツの配信サービスが定着し、人々の映画館離れが心配される時期もありました。しかし近年はシネコン(シネマコンプレックス)の増加もあって映画館の公開本数や興行収入も増加傾向です。
映画館もX4DやMX4Dシアターなど、どんどん進化しています。映画業界を盛り上げるような新しいアイデアや企画を打ち出せる人材が今後はさらに求められるでしょう。
映画業界を目指すなら
映画館でアルバイトする
映画業界を目指すなら、少しでも映画に関わることができるアルバイトから始めてみましょう。映画館スタッフのアルバイトは学生でも応募できるところがほとんどです。
映画を割引料金や無料で見られる映画館もあるので、映画好きにはぴったりのアルバイトでしょう。
映画を制作してみる
「映画制作に関わりたい」「映画を撮ってみたい」という人は、映画の自主制作をしてみるのはどうでしょう?映画業界に就職をしなくても自主的に映画を撮っている人はたくさんいますし、大学に映画制作のサークルがあるところも多いです。
映画を見ているだけではわからなかった発見もあるでしょう。映画に対する考えや見方も大きく変わると思います。
インターンシップに参加する
映画業界の多くの企業がインターンプログラムを実施しています。まずは、インターンとして映画業界の仕事を体験してみるのがおすすめです。
競争率が高く、新卒入社の難易度が高い映画業界。アルバイトやインターンとして業界に入り、正社員を目指すという方法も考えてみるといいでしょう。
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最後に
映画業界の現状や仕事内容について、ご理解いただけたでしょうか?業界研究をしっかり行って、自分がやりたい仕事を実現できる道を探ってください。
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