老舗かつ昔から大きな存在感を発揮し「安定感がある」というイメージの強かった百貨店業界。百貨店(デパート)で働くことに憧れていたという方も多いと思います。しかし、近年では百貨店の経営不振や店舗の閉鎖など、明るくない話題が多いため、将来性に不安を持つかもしれません。
百貨店業界を志望するならどんなことを意識して業界研究や就職活動対策をすべきなのか?ここでは百貨店業界の現状と課題、将来性、就活対策について解説します。
- ・代表的な百貨店とその特徴
- ├三越伊勢丹ホールディングス
- ├高島屋
- ├J.フロント リテイリング
- ├近鉄百貨店
- ├東急百貨店
- ├小田急百貨店
- ├松屋
- ├京王百貨店
- ├京阪百貨店
- └そごう・西武
- ・百貨店業界の現状とは?
- ├Amazonや楽天といったインターネット通販企業の脅威
- └インバウンド需要は増加
- ・百貨店業界の将来性って?
- ├百貨店ビジネスにこだわらない新たな取り組みを進めている企業が増加
- └モノ消費からコト消費へ
- ・百貨店業界にはどんな仕事がある?
- ├経営・企画"
- ├仕入れ(バイイング)
- ├営業
- ├販売
- └事務
- ・百貨店業界を志望する学生の就活対策
- ├伝統は理解しつつ斬新なアイディアを
- ├百貨店のみならず小売全体のトレンドに敏感になろう
- ├接客のアルバイトを体験しておく
- ├語学力を身につけておく
- └インターンシップに参加する
- ・志望動機作成のポイント
- ├なぜ百貨店業界で働きたいのか
- ├なぜ志望の百貨店なのか
- └どんなことを成し遂げたいのか
- ・最後に
代表的な百貨店とその特徴
三越伊勢丹ホールディングス
「三越」「伊勢丹」「岩田屋」「丸井今井」の運営をしています。国内だけでも百貨店が21店舗あり、海外店は中国や東南アジアを中心に31店舗あります。実店舗の質向上にも力を入れており、2018年10月には「三越日本橋本店」がリモデルオープンしました。
高島屋
本社は大阪府大阪市中央区難波にあります。百貨店事業をメインに国内だけでなく海外でも多くの店舗を運営しており、グループ店舗を含めるとトータルで21店舗を展開しています。「まちづくり」を意識した店舗戦略を推進しているのが特徴です。
J.フロント リテイリング
事業内容は「百貨店事業」「パルコ事業」「クレジット金融事業」などがあり、百貨店としては「大丸松坂屋」「大丸」などを運営しています。「パルコ」の店舗も渋谷・札幌・名古屋・京都・福岡など日本各地に展開しています。
近鉄百貨店
近鉄グループに属する企業の一つで、本社と本店は大阪にあります。ルーツは京都にあり、現在も大阪を中心に、近鉄百貨店を運営しています。2014年に開業した「あべのハルカス近鉄本店」は、大阪の新たなランドマークとして注目を集めました。
東急百貨店
東急グループに属し、本店は渋谷にあります。本店よりも存在感のあった渋谷駅直結の「東急東横店」は東急電鉄などが進めている渋谷駅再開発に伴い2020年3月31日で営業を終了しましたが、渋谷ヒカリエや渋谷スクランブルスクエア内の食品フロアなどでは東急百貨店が売り場運営を担当しています。
小田急百貨店
小田急グループに属し、小田急沿線で「小田急百貨店」を運営しています。2018年には、町田店がリニューアルし、藤沢店は運営形態を変更して新商業施設「ODAKYU 湘南 GATE」としてオープンしました。新宿駅再開発で、新宿店も大規模な建て替えが予定されています。
松屋
中央区銀座にある本店は有名で、一度は訪れたり目にしたことがある人も多いでしょう。ラグジュアリーブランドを多く扱っており、高級感のある外観・内装が特徴的です。その他には、丸の内、浅草、台湾などに店舗展開しています。
京王百貨店
京王グループに属しており、新宿駅直結の「京王百貨店新宿店」は、新宿で大きな存在感を示しています。「聖蹟桜ヶ丘店」や「トリエ京王調布店」など京王沿線に出店していましたが、「ららぽーと新三郷店」で初めて京王線沿線以外の地域に出店しました。
京阪百貨店
大阪で百貨店といえば「京阪百貨店」というイメージを持つ人も多いでしょう。輸送や不動産事業などを行っている京阪グループに属しており、大阪府内で「京阪百貨店」5店舗を運営している地域密着型の百貨店です。
そごう・西武
「株式会社そごう・西武」はセブン&アイ・ホールディングス傘下の企業で、老舗百貨店である「そごう」や「西武」を運営しています。経営再建のために合併してからは地方店などを閉店し、規模を縮小して百貨店運営をしています。
百貨店業界の現状とは?
まずは百貨店業界の現状を見ていきましょう。ニュースや新聞などでは明るくない話題ばかりのイメージがあるかもしれませんが、ただ先細っていくだけの業界というわけではありません。
Amazonや楽天といったインターネット通販企業の脅威
まずは百貨店の存在を脅かし、脅威となっている「インターネット通販企業」の存在について。近年では衣類・雑貨、そして食料品までインターネットでの通販を利用するという消費者が増えており、小売店や百貨店では客離れや売上低下が叫ばれています。
当然百貨店の各店舗でもインターネット通販をはじめるなどその波に乗ろうとはしていますが、インターネット通販を主流とする企業にはシステムや価格帯などで劣っている現状は否めません。
インバウンド需要は増加
一方で百貨店業界には、ポジティブな実情もあります。近年の海外からの観光客によるインバウンド需要の急激な増加により、日本の品質の良い商品、特に化粧品などを求める外国人観光客による「爆買い」でにぎわうという一面も。
とはいえ、「爆買い」される商品の種類は限定されており、家電量販店などと比べるとそこまで大きなインパクトを占めるまでには至っていません。
百貨店業界の将来性って?
ここでは百貨店業界の将来性について解説します。
百貨店ビジネスにこだわらない新たな取り組みを進めている企業が増加
百貨店各社もただこの現状を黙って見ているわけではありません。「老舗」「百貨店らしさ」にこだわることなく新たな取り組みを始める企業も多いです。
これまでの歴史やノウハウを生かしつつ現代の消費者に足を運んでもらうための施策にどんどんチャレンジしています。お店自体をこれまでの常識にとらわれない珍しい形態にすることで、集客につなげようとする動きもあります。
モノ消費からコト消費へ
多くの百貨店で改革の柱になっているのは「モノ消費からコト消費へ」というキーワードです。
最近の30代以下の世代は車や高価なブランド品などに対しこだわりや「欲しい!」という欲求があまりないと言われています。それに「モノ」自体はインターネットで自宅まで届けてもらうことができますよね。
そのため、ただモノを売るだけではなく、SNSでその体験を共有したり、自慢したりすることができる体験である「コト消費」への注目が集まっています。
これまではブランド品のバッグや靴、高価な洋服を置いているだけでも売れましたが、最近では「コンシェルジュがあなたに似合うコーディネートをカラー診断とともにスタイリングします」「さまざまなブランドの中からあなたにあった化粧品をメイクのコツとともに教えます」といったサービスの提供に力を入れています。
百貨店業界にはどんな仕事がある?
百貨店業界の一般的な職種と求められる資質をご紹介します。
経営・企画"
" 経営のプランを立てたり、集客のためのイベント企画などを担当します。百貨店のイメージ戦略や売り場づくりを担う、重要な仕事です。
仕入れ(バイイング)
バイヤーとして、販売する商品を買い付けてくる仕事です。「お客様が求めているもの」「売れるもの」を見極める目やセンスが必要です。
営業
法人や個人のお得意様に対して、営業をします。百貨店の「顔」となるため、上質なマナーや立ち居振る舞い、礼儀正しい言葉遣いなどを身につけておく必要があります。
販売
店頭に立って接客・販売をします。接客がメインになるため、高いホスピタリティや、マナーに沿った洗練された身のこなしなどが求められます。
事務
経理、総務、人事などを担当する部署での事務業務を担当します。百貨店で働く多くの従業員を支える仕事なので、サポート業務が好きな人に向いているでしょう。
百貨店業界を志望する学生の就活対策
それでは、これらを踏まえた上で百貨店業界への就職を希望する場合の就職活動対策をご紹介します。
伝統は理解しつつ斬新なアイディアを
まずは、百貨店にとってどのような時代であっても、これまで培ってきた「伝統」「歴史」は捨てる必要のないものであり、大切なものであることを理解しましょう。
伝統や歴史にとらわれ過ぎては時代において行かれてしまいますが、知名度がある、信頼感があるということは圧倒的に有利なポイントです。そのため、各社の百貨店創業からの歴史や変遷、大切にしてきたことなどは必ず押さえるようにしましょう。
その上で、現在の課題を自分なりに検証し、今後その歴史に加えてどのようなアイディアが考えられるか、自分が社長という立場なら何をするかを考えておくと良いでしょう。
百貨店のみならず小売全体のトレンドに敏感になろう
さらに、百貨店各社の動きだけではなく、小売り全体のトレンドにも敏感になる必要があります。インターネット通販により多くの小売店が苦戦をしつつもさまざまな対策、新業態へのチャレンジを行なっています。
それらの動きも可能な限り把握し、さらにその先に百貨店として求められるものが何なのか、自分ならどういうお店であればわざわざ足を運びたいと思うのか、どの世代をターゲットにしていくべきなのかを多面的に考えておきましょう。
接客のアルバイトを体験しておく
百貨店を志望するなら、学生のうちに接客のアルバイトを経験しておくべきです。百貨店のビジネスを考える上で理解しておくべき、消費者のニーズや傾向などについて感じ取れることがあるでしょう。
通える範囲に百貨店がなければ、レストランやアパレルショップなどでも構いません。ホテルやハイブランドのショップなら、挨拶やマナー、考え方など、上質なサービスの基本についても学べるでしょう。
語学力を身につけておく
インバウンド需要の増加により、百貨店でも外国人のお客様が急激に増えています。学生のうちに英語や中国語などの外国語をマスターしておくと、就活でも高く評価されるでしょう。
販売だけでなく、商品企画や宣伝・広報でも、外国語や海外経験をいかせる場面はたくさんあります。
インターンシップに参加する
アルバイトもいいですが、できれば本格的な就業体験ができる、インターンシップのプログラムに参加するのがおすすめです。やはり業界や仕事内容を理解するなら、実際に企業で仕事をしてみるのが一番です。
1日や数日の短期インターンの募集もあるので、気になる企業のインターンがあれば、気軽に参加してみてください。
先輩社員とも交流ができるので、将来やりたい仕事やキャリアプランなども自然と明確になってくるでしょう。
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志望動機作成のポイント
なぜ百貨店業界で働きたいのか
志望動機の導入部分では、まず「百貨店業界に興味を持ったきっかけ」を語りましょう。この部分では実体験をベースに話すことでオリジナリティが出て、他の就活生と差別化ができます。
なぜ志望の百貨店なのか
数ある百貨店の中で、なぜ志望する百貨店を選んだのかは、面接でも必ず聞かれる質問です。志望動機にもその理由を必ず盛り込みましょう。
志望する百貨店だけでなくライバル店の企業研究も行って、企業それぞれの特徴や強みを理解することが重要です。
どんなことを成し遂げたいのか
百貨店の新卒採用選考では、「熱意」や「百貨店に対する思い」が重視されます。志望動機には百貨店でどんな仕事がしたいのかを盛り込みましょう。なるべく具体的に成し遂げたいことや仕事の目標を語ることで熱意や本気度が伝わります。
最後に
先行きが不安だとされがちな百貨店業界ですが、そんな中でもリニューアルや改装、さまざまな工夫をこらし生き残りをかけて各社の戦いは続いています。
そんな百貨店業界では、歴史や伝統を守りつつも、既存の常識にとらわれることなく新たな取り組みを率先して行うことのできる人材が求められています。
見た目はかっちりと信頼感のある格好で、そして中身は柔軟なアイディアを持った存在感で自分をアピールしましょう!
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