三井グループは三菱・住友と並んで三大財閥の流れを汲む企業グループです。三井グループの企業は就活生からの人気が高い企業ばかりですが、そもそも三菱・住友との違いを知らない人も多いかもしれません。
今回は、三井グループについて、三菱・住友との違いや、代表的な企業の特徴も合わせて詳しく解説します。
- ・三井グループとは?
- ・三菱・住友グループとの違い
- ・三井グループの代表的な企業
- └①御三家
- ├三井物産
- ├三井不動産
- └三井住友フィナンシャルグループ
- └②金融
- ├三井住友海上火災保険
- ├三井住友トラスト・ホールディングス
- └大樹生命保険
- └③不動産・建設
- ├三井住友建設
- └三井ホーム
- └④物流
- ├商船三井
- └三井倉庫ホールディングス
- └⑤ 化学・機械
- ├三井化学
- └三井金属鉱業
- ・【まとめ】三井グループは個人の成長が企業の成長に繋がる「人の三井」!
三井グループとは?
三井グループは、戦前最大の財閥である三井財閥の系譜に属する企業グループです。三井グループというと、三井物産や三井不動産など、「三井」の名前がついている企業をイメージする人がほとんどかもしれません。
しかし、トヨタ自動車や東芝も実は三井グループの傘下にある企業です。「三井住友海上火災保険」や「三井住友フィナンシャルグループ」などは、住友グループとの合併企業です。
三井グループは「人の三井」と言われ、個人の実力を評価します。社員一人ひとりの力量を結集し、企業全体の成長につなげるという考え方がグループの根底にあります。
三菱・住友グループとの違い
三菱・住友グループと三井グループは、社風に大きな違いがあります。「組織の三菱」「結束の住友」といわれる三菱・住友は企業、ひいてはグループ全体としての団結を重んじます。それに対し、三井グループは「人の三井」と言われ、個人の実力を重視します。そのため、三菱・住友グループに比べ、入社後の教育よりも採用に注力しています。
事業内容の違いとしては、三菱・住友グループに比べ、重工業よりも金融業に力を入れているということがあります。これは、豪商出身の三井財閥の流れを汲む三井グループならではの特徴と言えます。
三井グループの代表的な企業
①御三家
三井物産・三井不動産・三井住友フィナンシャルグループが、三井グループの戦後の御三家とされています。
三井物産
三井物産は、三井グループを代表する大手総合商社です。
経営理念は以下の通りです。
〈三井物産の企業使命〉
大切な地球と、そこに住む人びとの夢溢れる未来作りに貢献します。
〈三井物産の目指す姿〉
世界中のお客様のニーズに応える「グローバル総合力企業」を目指します。
〈三井物産の価値観・行動指針〉
・「Fairであること」、「謙虚であること」を常として、 社会の信頼に誠実に、真摯に応え ます。
・志を高く、目線を正しく、世の中の役に立つ仕事を追求します。
・常に新しい分野に挑戦し、時代のさきがけとなる事業をダイナミックに創造します。
・「自由闊達」の風土を活かし、会社と個人の能力を最大限に発揮します。
・自己研鑽と自己実現を通じて、創造力とバランス感覚溢れる人材を育成します。
三井物産は、意識を高く持って挑戦すること、お客様と同じ目線になってニーズを読み取り、社会貢献に注力すること、人材を大切にすることを目指しているということが読み取れます。
三井不動産
三井不動産は、オフィスビルや商業施設、ホテル・リゾートをはじめとした土地開発を行う大手総合ディベロッパーです。特に「ららぽーと」や「三井アウトレットパーク」といった商業施設は身近でイメージしやすい人も多いかもしれません。
三井不動産は「都市に豊かさと潤いを」をステートメントとして掲げています。さらに、「持続可能な社会の実現」「新たな価値の創造」「成長性と収益性に富んだ三井不動産グループ」を目指しています。
社員に求められていることとしては、アンテナを高く張り、時代のニーズを汲み取ること、個々のパフォーマンスを最大限発揮し、企業の成長につなげることが三井不動産のビジョンから読み取れます。
三井住友フィナンシャルグループ
三井住友フィナンシャルグループは、三井住友銀行や三井住友ファイナンス&リース、三井住友カードなどを傘下に置く金融持株会社です。
経営理念は次のように掲げています。
・お客様により一層価値あるサービスを提供し、お客様と発展する
・事業の発展を通じて、株主価値の永続的な増大を図る
・勤勉で意欲的な社員が、思う存分にその能力を発揮できる職場を作る
・社会課題の解決を通じ、持続可能な社会の実現に貢献する
三井グループの中心企業である「三井物産」「三井不動産」「三井住友フィナンシャルグループ」の企業理念や経営理念からは、三井グループが「お客様と同じ立場で考え、ニーズを汲み取る」「社員一人ひとりが最大のパフォーマンスができる環境づくり」「持続可能な社会の実現」を大切にしていることがわかります。
②金融
三井住友海上火災保険
三井住友海上火災保険は、自動車保険、火災保険、損害保険などを取り扱う損害保険会社です。
経営理念には、「グローバルな保険・金融サービス事業を通じて、安心と安全を提供し、活力ある社会の発展と地球の健やかな未来を支えます」とあります。自分たちが意識を高く持ち、お客様の安心・安全な生活のサポートをすることで、社会発展につなげようという意識を持っていることが経営理念から読み取れます。
現在ではASEAN10ヵ国に拠点を持ち、そのうちの主要4カ国で5位以内のポジションを確立しています。また、2016年にはイギリスのAmlin社を買収し、海外事業の成長にも力を入れています。
三井住友トラスト・ホールディングス
三井住友トラスト・ホールディングスは、三井住友信託銀行株式会社を傘下に置く銀行持株会社です。信託銀行とは、通常の銀行業務に加え、信託業務、併営業務を行う銀行です。
三井住友トラスト・ホールディングスでは、個人や法人、投資家向けの事業から運用ビジネス、不動産事業、マーケット事業など、多様なお客様に向けた事業を展開しています。
三井住友トラスト・ホールディングスは、自社の存在意義として「信託の力で、新たな価値を創造し、お客さまや社会の豊かな未来を花開かせる」ということを掲げています。
高度な専門性とお客様本位の意識を徹底することで、お客様からの信頼を得て、社会貢献をすることを目指しています。
大樹生命保険
大樹生命は日本生命保険の傘下に入ったことから、2019年に三井生命保険から社名を変更し、再出発した企業です。
経営理念は次のようになっています。
1.社会の理解と信頼にこたえる経営を力強く推進し、国民生活の福祉向上に寄与する。
1.まごころと感謝の気持をもって、常に契約者に対する最善の奉仕に徹する。
1.従業員の能力が最高に発揮できるようにつとめるとともに、その社会生活の安定向上をはかる。
常にお客様からの信頼に応える仕事をすること、そして従業員自身が自分の能力を最大限発揮できるよう、社会生活の向上に努めることを重視しています。社名が変わっても、経営理念から三井グループの考え方が反映されていることがわかります。
③不動産・建設
三井住友建設
三井住友建設では、国内の土木・建築事業に加え、海外事業も展開しています。さらに、再生可能エネルギーなどの新規事業にも取り組んでいます。
三井住友建設は、橋梁や道路を強みとしており、レインボーブリッジや海ほたるパーキングエリア、都営地下鉄大江戸線が主な実績です。
経営理念には、「顧客満足の追求」、「株主価値の増大」、「社員活力の尊重」、「社会性の重視」、「地球環境への貢献」を挙げています。
三井住友建設は、準大手ゼネコンであるため、スーパーゼネコンに比べ、若手のうちから裁量のある仕事を任せてもらえる風潮があります。
三井ホーム
三井ホームは、木造の注文住宅を軸に事業を展開し、三井不動産グループの中核を担っています。
特に、地震に強い木造の家に注力しており、「震度7に60回耐えた家」のCMが話題になりました。日本は地震が多い国だからこそ、普段の快適さと災害が起こった時の安全性を兼ね備えた家が求められています。
ステートメントとして、「憧れを、かたちに。」を掲げており、お客様のニーズに寄り添い、応える家を提供しています。
④物流
商船三井
商船三井では、鉄鋼原料、石炭、木材チップ、原油、液化天然ガス、自動車など、幅広い輸送サービスを行っています。
国内の海運業界でも、日本郵船や川崎汽船と並んで上位の売上高を誇っています。様々なエネルギー資源の供給で安定的な経営基盤を確立していることが、商船三井の強みです。
経営理念は「青い海から人々の毎日を支え、豊かな未来をひらきます」としており、時代によって変化するニーズに柔軟に応えながら、新たなビジネスチャンスの開拓を目指しています。
三井倉庫ホールディングス
三井倉庫ホールディングスでは、倉庫保管や港湾運送、海外物流といった事業に加え、不動産事業も展開しています。81社のグループ会社を持ち、国内外約400ヵ所に拠点を置いており、物流業界の中で存在感を示しています。
グループ理念として、「社会を止めない。進化をつなぐ」を掲げています。顧客視点のサービスを提供し、社会を動かしつづけるプライドのもと、多彩な事業を展開しています。
⑤ 化学・機械
三井化学
三井化学は、自動車や家電の部品、建築・土木材料、化学品まで、幅広い事業・製品を展開する総合化学メーカーです。富士フイルムや旭化成などと並ぶ、化学分野を扱う大手主要企業のひとつです。
三井化学の一番の強みは、グローバル展開です。中国・アジア・欧州・米州のネットワークを構築しており、国内だけではなく海外にも安定的に製品を供給しています。メガネレンズ、スマートフォン用カメラレンズ、自動車などの材料のシェアは50%超で世界No.1を誇ります。
グループ理念は「地球環境との調和の中で、材料・物質の革新と創出を通して高品質の製品とサービスを顧客に提供し、もって広く社会に貢献する」としており、化学の力で社会課題を解決することを目指しています。
三井金属鉱業
三井金属鉱業は、資源開発だけでなく、電子材料や機能材料、自動車やモバイル機器の部品などの提供を行っています。機能材料の分野でのトップメーカーとして、高品質な材料を追求しています。
経営理念には「創造と前進を旨とし 価値ある商品によって社会に貢献し 社業の永続的発展成長を期す」を掲げ、高品質な商品の提供によって社会貢献活動に積極的に取り組むことを目指しています。
三井金属鉱業では、貴金属のリサイクル事業を行っており、地球環境の保全に注力しています。
【まとめ】三井グループは個人の成長が企業の成長に繋がる「人の三井」!
三井グループは三菱・住友と比較すると組織の結束よりも、個人の能力に重きを置いています。代表的な企業の理念をみてみると、「社会貢献」「お客様第一」「地球環境の保全」、そして、「社員一人ひとりが最大の能力を発揮できる環境づくり」を強調しています。ここに、三井グループの個人の能力を尊重する姿勢がみられます。
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