大学の授業やゼミでお世話になる「教授」や「准教授」の先生。身近だからこそ「自分もこんな仕事がしたい」と思う方もいるのではないでしょうか。しかし教授と准教授は何が違うのか分かりにくいものです。
ここでは教授と准教授とでは仕事内容や待遇にどんな違いがあるのかを解説し、就職活動の方法や対策についてもまとめます。
就活は何から始めるべき?と迷っているなら
- ・教授と准教授の違い
- ├どちらも仕事内容に大きな違いはない
- ├准教授の中から優れた人材を教授として採用する
- └教授の方が准教授よりも責任も待遇も上
- ・講師・助教授・助教・助手の違いは?
- ├大学の講師とは
- ├助教授が廃止され准教授が誕生
- ├「助教」と「助手」
- └職階の序列と仕事内容まとめ
- ・教授や准教授を目指す就職活動の流れ
- ├大学院に進学して「博士」を取得する
- ├各大学の募集要項をチェックして応募
- └講師や助教からステップアップして大学教授へ
- ・教授や准教授になるための効果的な就職活動対策
- ├専門性を高める
- └コミュニケーション能力や協調性も大切
- ・最後に
教授と准教授の違い
どちらも仕事内容に大きな違いはない
実は教授と准教授の仕事内容に大きな違いはありません。学校教育法によって定められている、それぞれの仕事内容は次の通りです。
“教授は、専攻分野について、教育上又は実務上の特に優れた知識、能力及び実績を有する者であって、学生を教授する。准教授は、専攻分野について、教育上又は実務上の優れた知識、能力及び実績を有する者であって、学生を教授する。“
これを見ると、違っている部分は「特に」の部分くらいで、あとの文言は同じことが分かります。
どちらも具体的には次のような仕事に取り組んでいます。
・学生に対して授業を実施したり、研究や論文の指導を行ったりする
・自分自身の研究を行い、学会発表や論文執筆を行う
准教授の中から優れた人材を教授として採用する
教授と准教授の資格は大学設置基準に定められています。その一部を抜粋してみましょう。
■教授の資格
第十四条 教授となることのできる者は、次の各号のいずれかに該当し、かつ、大学における教育を担当するにふさわしい教育上の能力を有すると認められる者とする。
(略)
四 大学又は専門職大学において教授、准教授又は専任の講師の経歴(外国におけるこれらに相当する教員としての経歴を含む。)のある者
(以下略)
■准教授の資格
第十五条 准教授となることのできる者は、次の各号のいずれかに該当し、かつ、大学における教育を担当するにふさわしい教育上の能力を有すると認められる者とする。
一 前条各号(教授の資格)のいずれかに該当する者
(以下略)
この基準に基づき、准教授は教授の資格を満たすために研鑽を重ねる中で、教授に相応しい資質と能力を重ねていくのが、教授へと昇進する一般的なルートです。
教授の方が准教授よりも責任も待遇も上
大学には「教授会」が設置されています。教授会とは主に次のような、教育研究に関わる議題について審議を行う場です。
・学位の授与
・教育課程の編成
・教員の教育研究業績等の審査
教授は教授会の構成員となっていますが、准教授は「加えることができる」という程度に留まっており、教授ほどの責任がないことが分かります。そのため、教授の方が重い責任を担っており、それに伴って待遇も良いのです。
厚生労働省が発表した「令和元年賃金構造基本統計調査」によると、教授と准教授の平均的な収入は、次のようになっています。
■大学教授 月給:約67万円、年間賞与等:約297万円
■大学准教授 月給:約54万円、年間賞与等:約221万円
講師・助教授・助教・助手の違いは?
大学では「助教授」「助教」「助手」などの言葉もよく聞かれますが、これらの違いについて気になっている方も多いでしょう。
大学の講師とは
教授や准教授と同じような仕事内容で、「講師」というポジションもあります。教授や准教授と同じように講義を行いますが、研究については勤務形態により異なります。
講師には、常勤講師(専任講師)と非常勤講師があります。常勤講師は大学の職員として長期の継続的な契約をしており、授業や研究を行ったり、大学職員としての業務もあります。
非常勤講師は短期的な契約であることが多く、授業をするのみで大学の管理業務などは担当しません。
助教授が廃止され准教授が誕生
教授の職務をサポートするポジションとして「助教授」という職階がありましたが、「実際の職務と異なる」「国際的な観点から適切な名前と言い難い」などの理由で職名が見直されることとなりました。
2007年に学校教育法が改正されたタイミングで、「助教授」という職階は廃止され、新たに「准教授」という職階ができました。「准教授」は、教授のサポートではなく独立して研究と学生の教育を行います。
「助教」と「助手」
同じように、法改正のタイミングで新たにできたのが「助教」という職階です。以前は「助手」としてひとくくりにされていた仕事について、「助教」と「助手」に分割されることになります。
助教は、研究と授業を両方行います。対して助手は、研究は行いますが授業は行いません。授業を行うかどうかが「助教」と「助手」の大きな違いとなっています。
職階の序列と仕事内容まとめ
これまで出てきた職階の序列と仕事内容をまとめると次のようになります。
1 教授 :研究と学生の教育を行う
2 准教授:研究と学生の教育を行う
3 講師 :研究と学生の教育を行う
4 助教 :研究と学生の教育を行う
5 助手 :研究・講義・実習の補助を行う
似たような言葉が多く少しややこしいですが、大学で働きたいと考えている人は言葉の意味や立場の違いをしっかりと理解しておきましょう。
教授や准教授を目指す就職活動の流れ
大学院に進学して「博士」を取得する
教授や准教授になるには大学院へ進学して自分の研究テーマを見つけ、学会発表や論文執筆などの実績を積み重ねていく必要があります。
まずは最初の2年で「修士論文」を執筆して合格し、次の博士課程に進学することを目指しましょう。そして、最終的に自分の「博士論文」の審査を受け、合格すれば博士の学位を取得できます。これが教授・准教授への最初の一歩です。
各大学の募集要項をチェックして応募
博士を取得したら、大学への就職活動を行います。各大学のホームページや求人情報サイトをチェックし、大学教員の求人があれば、募集要項を確認し、必要書類を揃えていきます。
ただし、この時点では「講師」や「助教」がほとんどです。実績・経歴を増やす良い機会と捉え、積極的にチャレンジしていきましょう。
講師や助教からステップアップして大学教授へ
講師や助教として研究活動を続けながら、採用されている大学での昇進を目指したり、他の大学への転職活動を続けたりしながら、少しずつ准教授への道を歩んでいきます。 そして、先輩教授からの推薦を受けて教授へとステップアップしていくのです。
教授や准教授になるための効果的な就職活動対策
専門性を高める
教授や准教授は研究成果をあげたり、学生に適切な指導を行うことが求められます。そのため、高い専門性を備えることが教授や准教授になるための必要条件となります。
まずは「これから研究していきたい」と思える研究テーマを見つけ、意欲的に知識のインプット、研究成果のアウトプットに取り組んでいくことが大切です。
コミュニケーション能力や協調性も大切
教授や准教授は「研究さえできればいい」というイメージがありますが、学校教育法で定められている通り、「学生を教授する」のが仕事です。そのため、研究に行き詰っている学生から話を聴き、適切な助言を行う「コミュニケーション能力」が求められます。
他の教授・准教授と協力しながら、研究室を運営していく必要もあるため、協調性も不可欠なスキルとなります。
最後に
大学教授への道のりは険しいものです。どれだけ優れた研究成果を残しても、准教授や教授の席に空きがなく、いつまでも昇進できないというケースもあります。
そのため、「何があってもこの研究をやり遂げたい」や「学問や研究の楽しさを多くの学生に伝えたい」といった強い熱意がないと歩み続けることは困難でしょう。
自分の覚悟を見つめ直した上で、挑戦してみてくださいね。
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