【業界研究】人材派遣業界の現状・仕事内容・就職活動対策

人材派遣業界とは企業と労働者のマッチングに関わる事業に取り組む業界です。就活生にとっても身近な業界ですが、具体的な仕事内容や現状はあまり知られていません。そこで今回は人材派遣業界の現状を解説するとともに、効果的な就職活動対策をご紹介します。

目次

人材派遣業界の3事業と仕事内容

■求人広告
「求人広告」は、企業の求人情報を一覧にまとめ、web上や紙上で公開するのが主な仕事です。企業からの広告掲載料が報酬となっています。

■人材派遣
「人材派遣」は求職者を雇用し、人材を求める企業に派遣するのが仕事です。企業から受け取った派遣料金から派遣社員に支払う給与などのコストを引いて、残った分が利益となります。

■人材紹介
「人材紹介」は、人材を求める企業と求職者とを仲介する仕事です。求職者が企業に採用された際に、企業から成功報酬を受け取ります。

人材派遣業界の現状

ここからは人材派遣業界の現状について確認していきましょう。

市場規模は大きいがここ数年は横ばい

人材派遣業界を構成する3事業の令和2年における市場規模はそれぞれ以下のとおりになっています。

・求人広告:約4,150億円(*1)
・人材派遣:約8兆6,209億円(*2)
・人材紹介:約5,240億円(*3)

合計すると約9.5兆円の規模となり、市場規模としては非常に大きいことが分かります。 しかし、人材派遣は前年度から売上を9.6%伸ばしているのに対し、求人広告は45.9%減、人材紹介は10.8%減と低迷しており、業界全体の規模としては横ばいの状態が続いています。

*1 公益財団法人全国求人情報協会「2020年度市場規模」
*2 厚生労働省「令和2年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」
*3 厚生労働省「令和2年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)」

企業と労働者のニーズに差がある

新型コロナウィルスの感染拡大により、企業には変化する社会に合わせた経営が求められています。そのため、経営状態に合わせて調整できる労働力として「派遣」へのニーズが高まり、人材派遣事業には大きな成長が見られるものと推測されます。

一方で、労働者は不安定な社会情勢の中で、安定した雇用を求めており、企業と労働者とのニーズに差が生まれています。この差をどう解消するかが、今後人材派遣業界の市場規模を成長させていく上で大きな課題となるでしょう。

低い営業利益率をカバーする新たな事業が求められる

人材派遣業界は市場規模こそ大きいものの、営業利益率はそれほど高くありません。特に人材派遣の営業利益率は1.2~1.6%と言われており、他のビジネスモデルと比較するとかなり低いことが分かります。人材派遣は薄利多売の事業なのです。

求人広告や人材紹介の営業利益率は約20%と安定していますが、市場規模としては低迷しているのが課題です。このような現状を打破するためには、経済産業省のDX推進に対応できるデジタル人材の育成や、多様なキャリアのサポートなど、新たな収益の柱となる事業の立ち上げが求められるでしょう。

人材派遣業界の就職活動対策

ここからは人材派遣業界への就職を希望する方に向けて、人材派遣業界の就職活動対策をお話しします。

人材派遣業界が求めている人材を把握する

就職活動を行う上で、志望する業界・企業がどのような人材を求めているか理解することは必須です。企業が欲しいものを提供できなければ、採用にはつながらないからです。

人材派遣業界の業界研究本や各企業のホームページ、会社説明会やOB・OG訪問などを通じて「求められる人物像」を調べ、自分が人材派遣業界に対して提供できる強みや魅力を検討しておきましょう。

人材派遣業界を志望する理由を明確に

企業は常に「人材派遣業界に向いている人か」「自社で長く働いてくれそうか」などを考えながら就活生をチェックしています。そのため、「どうして人材派遣業界を志望しているのですか?」「弊社を志望する理由を教えてください」といった質問には必ず出会います。

「どうして自分は人材派遣業界で働きたいんだろう?」「人材派遣業界で働きたいと思ったきっかけは何だっけ?」「ほかの業界や企業ではダメな理由は?」など自分自身に問いかけ、志望動機を固めておきましょう。

人材派遣業界のインターンシップに参加する

人材派遣業界を志望するなら、ぜひインターンシップにも参加しておきましょう。人材派遣業界の現状や、企業の業界内での立ち位置などを分かりやすく解説してもらえるため効率的に情報を収集できます。ネットや書籍では分からなかったことも社員の方に直接質問できるため、業界研究や企業分析を深めることができます。

最後に

人材派遣業界は市場規模が大きく、魅力のある業界のひとつです。社会・企業・労働者のニーズを掴んだ事業を立ち上げることで、今後も成長することが見込めます。

「人材派遣業のどんなところに魅力を感じるのか」をよく検討しておくことが大切です。企業によって経営方針や社風はさまざまなので、会社説明会やインターンの機会を活用して自分に合っている企業を見つけてください。


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