親世代に就活の相談をすると「安定している大企業に就職しなさい」とアドバイスされることがあります。しかし近年は大企業のリストラや終身雇用の限界についてのニュースが頻繁に流れており、「大企業は本当に今も安定しているの?」と疑問に感じる人も多いのではないでしょうか。
ここでは、大企業が安定していると言われる理由や、安定のメリット・デメリット、本当に安定した働き方を実現する方法などについて、分かりやすく解説します。
- ・大企業が安定しているって本当?
- ├企業の経営は安定している
- ├雇用が安定しているとは限らない
- └精神的に安定して働けるかは部署による
- ・安定している大企業のメリット
- ├給料が高く福利厚生が充実している
- ├精神的な安定が得られる
- └社会的信用が高い
- ・安定している大企業のデメリット
- ├安定が崩壊する可能性も
- ├安定が離職のきっかけになることも
- └大企業病に陥る可能性が高い
- ・安定して働くためにできること
- ├自分自身の市場価値を高める
- ├副業や事業に挑戦する
- └セルフブランディングに取り組む
- ・まとめ
大企業が安定しているって本当?
企業の経営は安定している
「大企業が安定している」というのは、「企業が倒産せずに安定して経営し続けられている」という点を指しています。企業は大きければ大きいほど、倒産するリスクが軽減されます。
大企業は信用力があるため、銀行から融資を受けやすく、赤字がすぐに経営破綻に結び付く可能性が低くなるからです。多くの大企業はいくつもの事業を展開しており、1つの事業で業績が悪化したとしても、別の事業や投資でカバーできることも、安定した経営が続けられる理由となっています。
雇用が安定しているとは限らない
大企業が企業として安定していれば、企業が倒産して職を失う可能性は低くなります。 しかし、大企業が「企業の安定」を目指すからこそ、雇用が不安定になることもあるのです。
企業の経費の中で大部分を占めているのは「人件費」です。そのため、経営危機に陥った企業は、「給料やボーナスの減額」や「人員削減」などを行うことがあります。すると、社員1人1人の雇用は不安定な状態に陥ってしまうのです。「企業の安定」は必ずしも「雇用の安定」につながらないことを覚えておきましょう。
精神的に安定して働けるかは部署による
「雇用の安定」が成立するためには、次の2つの条件を満たす必要があります。
・経済的に安定している(生活に十分な給料がもらえる)
・精神的にも安定して働ける
近年は、50名以上の労働者が働いている企業には、年1回「ストレスチェック」の実施が義務付けられるなど、社員の精神的安定に向けた取り組みが求められています。どれだけ企業として精神的安定を目指した施策を打ち出していても、1つ1つの部署にまでは目が行き届きません。
「部署にハラスメントをしてくる社員がいる」「部署の仕事が自分に合わない」といった理由で、精神的に不調をきたすケースは少なくないのです。
安定している大企業のメリット
給料が高く福利厚生が充実している
大企業は資金力があるため、給料が高く福利厚生が充実していることが多いです。中小企業やベンチャーに比べて、ボーナスの支給額も高い傾向があります。残業代がしっかり支給されるのも安定した大企業のメリットです。
大企業と言われるほとんどの企業では、介護・育児休暇制度が整っていたり、社員寮があったり、住宅補助なども支給されていることが多いです。福利厚生が充実していて、社員が働きやすい環境が用意されているのも経営が安定している大企業の大きな魅力です。
精神的な安定が得られる
大企業に勤めていることで、精神的な安定を感じる人も多いです。大企業では高収入の人が多いため、金銭面の充実が精神的な安定につながってもいます。将来に対する不安要素も少ないため、人生設計も立てやすいです。
社会的信用が高い
大企業は知名度が高いため、大企業の社員というだけで社会的な信用を得られやすいというメリットがあります。車や家を購入するときのローンを組む際にも、大企業に勤めている人は審査が通りやすいです。
少し古い考えですが、「大企業に勤めているなら安心」「信用できる優秀な人」と考える人も少なくありません。大企業に勤めていることがブランドとなり、転職や結婚などでもプラスに働くことがあります。
安定している大企業のデメリット
安定が崩壊する可能性も
近年は社会の構造が目まぐるしく変化し続けており、変化のスピードも増しています。変わり続ける社会で、企業の安定性にも不安要素が見え始めているのは事実です。大企業でも業績が悪化すれば、リストラやボーナスカットなどがあることはめずらしくなくなりました。
大企業は安定しているという考えはもはや幻想だと考える人も少なくないですし、安心が成長の妨げになることもあります。安定にあぐらをかいているとと、社会の変化や動きに敏感になりどんな状況でもフレキシブルに対応できる感覚とスキルを身につけている人に遅れをとることになります。
安定が離職のきっかけになることも
「安定」はポジティブな言葉のように思われますが、裏を返せば「変化がない」ということでもあります。大企業に入社してみると、「毎日同じ仕事ばかりで新しいことにチャレンジする機会がない」「成長する意欲のない先輩や上司を見てイライラする」などの不満を感じることも。
「バリバリ働きたい」「成長したい」という意欲のある人にとっては、大企業の「安定」が「つまらない」「刺激が少ない」と感じられ、離職の原因となることも少なくないのです。
大企業病に陥る可能性が高い
大企業ゆえに意思決定に時間がかかったり、業務で無駄なプロセスが目立つなど、非効率な体質になってしまうことを「大企業病」と言います。不必要な昔ながらの慣例が残っていたり、保守的な文化や社内政治などが目立つのも大企業に目立つネガティブな傾向です。
「年功序列ではなく実力主義で評価してほしい」「スピード感のある職場で働きたい」と考えている人には大企業は向かないかもしれません。
安定して働くためにできること
自分自身の市場価値を高める
トヨタの社長が「終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」と述べたように、大企業でさえ、これまで通りの終身雇用制度を維持できない可能性が示唆されています。
1つの企業にしがみつくよりも、複数の企業を渡り歩いて行けるだけの「自分自身の市場価値」を高めることこそが「働く」を安定させるポイントであるといえます。
「プログラミングができる」「公認会計士を取得している」など、自分のスキルを磨き、魅力ある人材になることが必要です。
副業や事業に挑戦する
副業や事業に挑戦するのも、「働く」を安定させる方法の1つです。と言っても、大学卒業後にいきなり起業すべきということではありません。企業に就職しつつ、副業として小さく事業を始めて少しずつ育てていくことで、「万が一、企業で働き続けられなくても大丈夫」と心に余裕をもって働くことができます。
初期費用が少なく、手軽に始められる事業としては、次のようなもものが挙げられます。
・せどり
・ブログやアフィリエイト
・WebライターやWebデザイナー
・プログラマー
興味のある副業や自分に合ったものにチャレンジしてみましょう。
セルフブランディングに取り組む
「〇〇のことなら私に任せてください!」「私には××のスキルがあります」と表現するのが、セルフブランディングです。社内でセルフブランディングに取り組めば、企業は「この人を手離したくない」と考えるため、リストラや減給のリスクを軽減できます。
SNSなどを通じてセルフブランディングを行えば、「この仕事を一緒にやってみませんか?」と仕事の方からあなたに飛び込んでくるようになります。 その結果、安定して働き続けることができるのです。
まとめ
大企業は安定していると言われますが、それは「企業の安定」であって、「雇用の安定」を示すものではありません。むしろ、企業の安定のために、雇用の安定が犠牲にされることも珍しくはないのです。
精神的に安定して働けるかは部署の仕事内容や上司・同僚によるところが大きいですし、「大企業の安定による成長できなさが不満になる」といった点も、雇用を不安定にする要因と言えます。
安定して働くためには、自分自身の市場価値を高めたり、セルフブランディングに取り組むことも大切です。企業に依存した安定ではなく、自分自身の安定した働き方をよく考えてみてください。
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