商社の業界研究〜総合商社、専門商社とは〜

年収が高く華やかなイメージがあり就職先として人気の高い商社。例年必ずと言っていいほど就活人気ランキングに名を連ね、いつの時代も就活生に人気の業界としてその確固たる地位を築いてきました。

商社は主に総合商社、専門商社に分けることができ、業態や事業領域も多岐に渡ります。今回は、「総合商社と専門商社の違い」「商社の仕事」「就活の対策」などについて解説していきます。商社を目指す就活生は、業界研究の参考にお役立てください。

商社とは
目次

総合商社とは?

総合商社のあらまし

総合商社の起源は明治時代、主に大商人や政商によって形成された財閥の中核企業であり、数多くの商品を扱う問屋として国内の流通機能を担っていました。当初は三井・三菱といった財閥の名のもとに数多くのグループ企業が存在し、日本の産業発展を経済面から支えていました。

戦後、財閥グループは解体されましたが、依然としてそのプレゼンスは高く、「事業投資」というスタイルで多様な分野の産業を育て、日本の戦後復興に寄与し、今の業態を形成してきました。それゆえ、総合商社という概念は日本特有の業態として国内外に認識されているのです。

【主な総合商社】
三菱商事・三井物産・住友商事・丸紅・伊藤忠商事・双日・豊田通商

総合商社の強み・弱み

◇総合商社の強み
総合商社はインフラ事業であったり何兆円規模の事業を取り扱うこともあり、大規模なビジネスをすることができます。一つひとつの事業が大規模なだけでなく扱っている事業も幅広いため、チャンスがあればさまざまな分野の事業に関わることが可能です。

◇総合商社の弱み
大規模なビジネスができるという強みの反面、規模の小さいニッチな分野に関しては取り扱いにくい面があります。加えて大規模な事業のため成功すれば利益も大きいですが、失敗すると損益も大きくなってしまいます。リスクが大きいのは総合商社の弱みだといえるでしょう。

総合商社の仕事内容と業界分析

「ミサイルからラーメンまで」と言うように、商社はあらゆる事業を展開しており、業界分析を一歩誤るととんちんかんな業界分析になる可能性があります。それゆえ、まずは商社のビジネスモデルを理解することから始めましょう。

よく合同説明会や個別説明会にて、商社の事業システムについて象徴されるのが、「貿易」と「事業投資」の2つになります。

貿易は旧来からの商社のビジネスモデルです。例えば新日鉄や三菱自動車が新しい製品や商材を作って海外に売りたいとします。その際に原材料を東南アジアやオーストラリアから仕入れ、工場まで仕入れを実施するのが三菱商事となるわけです。

対応する商材(飛行機、自動車、軍需産業、鉄製品)によって営業部門が分かれ、売り先によっても対応が分かれます。従って、商社の営業は多様な商材を扱う部門に細分化されており、1部門に長く携わって1商品に対してのスペシャリストとなるべく養成されるのです。

事業投資では、商社が国内外の企業に対して投資を行います。人を送り込み、今までの貿易業務で培ったノウハウ移植やサプライチェーンとのコラボレーションを通じて企業価値の創造に努めるというものです。

具体的な例としては、鉄鋼部門の購買力やシステムを強化したい際に海外や国内の有望そうなメーカーに対して出資を行い、販路や技術力を買いつつ、既存の事業部門とのシナジーを創出していくというものです。

専門商社とは?

専門商社のあらまし

総合商社が多岐に渡る分野に分かれるのに対して、専門商社は鉄鋼・医薬品・食品・エレクトロニクス・機械といった1分野に特化した業態を有しています。

形態としては、財閥系の1分野が分社化して特化するために生まれた専門商社や資本構成によって大手系の商品拡販のために存在する販売系商社、どこの大手とも資本関係を有さない独立系商社に大分されます。特徴としては、専門商社が特化している分野の景気や、親会社であるメーカーや財閥企業の収益動向から影響を受けやすい傾向にあります。

従来型の商社は貿易モデルが中心でしたが、サプライチェーン機能について各社で内製化が進んだことで総合商社は事業投資の割合が増えました。しかし、専門商社は1分野特化ゆえの優秀な販路やサプライチェーンを武器に従来型の貿易モデルを継続しています。

商社不要と言われないように、専門商社は、高度化したシステム・熟練したノウハウ・多様な販路・情報システム・オーダーメイド対応を付加価値として貿易モデルに注力しています。更に、1分野に特化していて商材への理解も深いので、クライアントに対して提案営業を行い、商品の共同開発を展開している専門商社も存在します。

【主な専門商社】
メタルワン・伊藤忠丸紅鉄鋼・キャノンマーケティングジャパン・マルハニチロ・菱食

専門商社の強み・弱み

◇専門商社の強み 専門商社では取り扱っている業界が限られているため、業界内における人脈やハウツー、情報が社内に集まっており仕事がしやすい環境になっています。顧客との距離が近いことも多く、それぞれの顧客に合わせたサービスを提供することができ、満足度が高くなりやすい強みがあります。

◇専門商社の弱み
専門商社が扱っている業界に大きなダメージがあると、業績に大きく響いてしまう点が弱みです。総合商社であれば、別の業界の売上でカバーすることもできますが、専門商社ではそうはいきません。

専門商社の業界分析

マクロ経済の分析も重要ですが、専門商社の分析では専門商社が扱っている商材の動向にも注目する必要があります。医薬品、化粧品、日用品、アパレル、食品は相対となっているメーカーの動きにも注視が必要で彼らの動きによって専門商社の動きも変わってくるので、併せてチェックしましょう。特に、なぜその商材にこだわるのか?自分は何を専門商社でやりたいのか?の整合性がないと選考は突破できないでしょう。

最近の傾向としては、国内市場の成熟化が進んでいる業界では、M&Aや合併による業界再編の流れが加速しています。合併によって全国的な流通網を整備して規模の経済を追いかけようとする専門商社が現れる一方で、従来の専門商社らしさを出すために、得意とする商品・地域特化型へシフトしていく企業もあります。

特化することによって他社の追随を許さないほどの販路や提案力をつけようとしているのです。更に、特化している企業ゆえの特性を活かすための異業種同士のコラボレーション(販路の共有、商品開発、合弁会社の立ち上げ)といった動きも出てきており、動きへの注視が必要になるでしょう。

商社にはどんな職種があるの?

商社ではどんな仕事ができるのでしょうか?職種とそれぞれの仕事内容、どんなスキルが求められるのかをみてみましょう。

営業

取引先とのやりとりと担当する営業。新規事業や新しい市場の開拓などもしている商社は、新規開拓営業もあります。商社は取引先が海外の会社ということも多いので、海外経験や英語力が求められます。専門商社の場合、高度な専門技術の営業を行う「技術営業」という職種もあります。

営業事務

外回りの多い営業を社内でサポートします。書類作成などがメインになるため、基本的なパソコンスキルは必須です。営業のかわりに取引先とメールや電話でやりとりすることがあるので、やはり英語力が求められます。

貿易事務

貿易を行う場合は、税関を通すのに通関の手続きが必要になります。貿易事務は、この通関業務や関税の申告などを行います。そのため英語力に加えて、関税や海外の輸送・流通についての専門知識も求められます。

企画

新規事業などの企画立案を行います。事業投資の企画なども行うので、幅広い知識と柔軟な発想力が求められます。海外とのビジネスも多い商社の場合は、その国についての詳しい知識が必要になるため、海外経験などをいかすことができるでしょう。

商社に就職するには

志望動機を明確にする

「商社マンになりたい」と商社に対する憧れを持っている人は多いと思いますが、商社に対する熱意だけでは就職するのは難しいです。人気の高い商社で内定を獲得するには、説得力のある志望動機を作成しなければ高い倍率の選考は突破できません。

慣れるまでは「志望動機がうまく書けない」「どう書けばいいかわからない」という就活生も多いです。その場合は、商社の内定を獲得した人の志望動機を参考にしてみるのがいいでしょう。

そのままコピーするのはよくありませんが、構成やエピソードの伝え方などを参考にするのはいい方法です。商社に内定した先輩の志望動機を参考にして、志望動機に磨きをかけてみてください。

商社業界内定者のエントリーシート集

語学力・国際力を磨いておく

商社は海外とのやりとりが多いため、高い語学力があると就活でも有利になることが多いです。英語が日常的に使われているような商社では「TOEICのスコア何点以上」と応募の条件とされていることもあります。

新卒ではTOEICスコアが応募条件となっていたり、それだけで足切りされることは少ないですが、ハイスコアを獲得しておけば有効なアピールになります。

留学経験などをアピールするのもいいですが、実力をアピールしやすいように、TOEICを受験しておくべきです。TOEICスコアは最低でも730点以上、外資系なら800点以上を目指しましょう。

インターンシップに参加する

業界についてや商社の仕事内容をよく知るには、インターンシップに参加してみるのが一番です。実際に仕事をしたり、会社の雰囲気を肌で感じることができるので、誤った情報に流されることもなくなります。

商社のインターンシップの内容は、「業界についてや事業内容の説明」「グループワーク」「仕事体験」「社員との座談会」などが多いです。

グループワークを通して商社の仕事を疑似体験できたり、実際の職場を見学できることも多いです。社員の人や企業の雰囲気を知ることができるので、志望動機作成のヒントもたくさん見つかるでしょう。

最後に

商社の情報は多岐にわたります。それゆえ、様々な噂や業界話が就活生間で展開されるのも事実です。しかし、噂話のみを鵜呑みにしてしまい、自分の目や耳で見聞きしないで分析を行ってしまえば、選考で勝ち残ることはできません。

商社の業界分析では業界の特性を抑えつつ、その方向性と自分がやりたいことがマッチしているかどうかを見極めることが重要です。分野が多岐に渡るからといってイメージ頼りにならないことです。インターンやOBOG訪問、面談、説明会で得た情報を元に自分の志望動機を固めましょう。


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