これまでは「理系学生は研究職を目指すもの」と考えられてきました。しかし、理系学生にも安定性や給与の良さを求め、商社への就職を志望する人が増えています。
もともとは文系職である商社ですが、理系学生でも専門性や論理的思考力といった強みをアピールし、ポイントを押さえた対策を行っていれば、商社への就職は十分可能です。
「商社への就活は何から始めればいいの?」と悩んでいる理系学生さんは、ぜひこの記事を読んでみてください。商社を就職先に考える理系学生がアピールすべき強みや、就活で意識すべきポイントが分かります。
- ・就職先として人気の商社
- ├商社とは?
- ├商社が扱う商材はさまざま
- └商社はは理系でも狙える?
- ・商社の職種と仕事内容
- ├営業
- ├営業事務
- ├プロダクトマネージャー
- └技術営業
- ・商社を目指す就活での理系学生の強み
- ├商材に関する専門性をもった理系学生は歓迎される
- ├研究で培われた論理的思考力や粘り強さが評価されることも
- └好奇心を持って取り組める人も必要とされる
- ・商社を目指す理系学生がしておくべき就活対策
- ├商社のインターンシップに参加する
- ├OB・OG訪問をする
- └英語力をレベルアップさせる
- ・商社を就職先に考える理系学生が意識すべきポイント
- ├就職活動のスケジュール管理を意識する
- ├コミュニケーション能力や協調性を高める
- ├「理系なのになぜ?」を説明する準備をしておく
- └専門知識を生かせない配属の可能性も視野に入れて
- ・最後に
就職先として人気の商社
商社とは?
「商社って何をしている会社?」と質問されて答えられますか?迷うことなく回答できる人は少数だと思います。というのも、商社は「ロケットからインスタントラーメンまで」と言われるほど、幅広い仕事を行っている会社であるためです。商社では食料品や医薬品、自動車や航空機まで、あらゆるモノについて「売りたい人」と「買いたい人」をつなぐ商取引をサポートしています。
また、商取引が活発になることを目指して、新製品の開発を手掛ける商社もあれば、事業への投資や融資、人材の提供を行う商社もあります。このように、商社は実に多様な商材を手掛ける「何でも屋」となっており、具体的に何をしているかは企業や配属先によって大きく異なっています。
商社が扱う商材はさまざま
商社は総合商社と専門商社があり、扱う商材は実に多様です。石油・ガス・鉄鋼・金属・などの原料を扱う商社は多いですし、化学製品や薬品を扱う商社もあるので、これらは理系学生が強みを発揮できる分野と言えます。
その他にも食品・農林・水産分野の商材を扱う商社、紙やパルプなどの資材を扱う商社もたくさんあります。医療機器や精密機器を扱う商社でも理系の知識は重宝されるはずです。
商社はは理系でも狙える?
「商社は文系学生の就職先」というイメージがありますが、理系学生でも十分に狙える就職先となっています。実際に商社には理系出身の人も多く、どの商社にも2〜3割程度の理系出身者がいます。
もともと商社は学部を問わず、優秀な学生を求めている企業がほとんどです。それに加え、化学品や医薬品といった理系学生が得意とする分野の商材が扱われている商社が多いこともあり、理系人材の採用に力を入れている企業は多いです。
院生の場合はより専門的な知識を身につけているため、理系の院卒採用に力を入れている商社も少なくありません。
商社の職種と仕事内容
総合商社の職種は「営業」と「営業事務」があり、専門商社の場合はこれに「プロダクトマネージャー」と「技術営業」などが加わります。
営業
「営業」は商材を売り込んだり、お客様との商談をまとめるのが仕事です。総合商社の営業は自ら企画を考えることもあります。多くの人と関わる仕事内容のため、コミュニケーション能力が重視されます。仕事で外出することが多く、海外出張などもあるため、体力が求められます。
営業事務
営業や技術営業のサポートをするのが営業事務の仕事です。外出や出張が多い営業に代わって書類作成をしたり、社内に常駐して社外の人とやり取りをしたりすることが多いです。迅速で正確な事務作業のスキルと、コミュニケーション能力、ビジネスマナーなどが求められます。
プロダクトマネージャー
専門商社に多い職種である「プロダクトマネージャー」の仕事内容は、マーケティングに近いです。市場調査を行ってビジネスの企画をしたり計画を立てたりします。分析能力や専門知識をいかすことができるため、理系学生にも向いているでしょう。
技術営業
専門商社には「技術営業」が在籍していることも多いです。専門的な知識を持つ営業として、より高度なヒアリングや提案ができるため理系の学生に向いています。実際に技術営業として理系学生を積極的に採用している商社も多いです。
商社を目指す就活での理系学生の強み
商材に関する専門性をもった理系学生は歓迎される
商社は多様な商材を手掛けているため、商材への知識がある人材を欲しているケースも多く見られます。例えば、医薬品や機械といった商材については、文系学生よりも専門性を備えた理系学生の方が理解しやすく、取引先に対しての説明もスムーズに行えるため、歓迎されやすい傾向があります。
研究で培われた論理的思考力や粘り強さが評価されることも
商社では買主と売主の仲介だけでなく、商品の販売戦略や宣伝方法を考えたり、市場調査を行い、新商品の開発や製造に取り組んだりします。なお、これらは直感や感情ではなく、数字や統計といった客観的なデータに基づく必要があります。
そのため、データから論理的に思考する習慣を持った理系学生は、スキルを生かして活躍できる可能性が高くなります。また、粘り強く研究や実験に取り組んできた経験が評価の対象となることもあります。
好奇心を持って取り組める人も必要とされる
商社では海外との取引も多いため、世界各地を飛び回って仕事をすることもあります。また、既存の事業だけでなく、新たな事業を生み出すことも重視されています。
このように変化の多い商社では、どんなことでも好奇心を持って取り組める人が必要とされています。理系学生は「なぜこうなるんだ?」という好奇心から専攻や研究テーマを選ぶ人が多く、商社でもその旺盛な好奇心を発揮できる可能性があります。
商社を目指す理系学生がしておくべき就活対策
商社のインターンシップに参加する
商社のインターンシップは、業界について学べる講座を聞いたり、先輩社員との座談会に参加するなどのプログラムが多いです。グループワークを通じて仕事体験ができるインターンシップもあります。
先輩社員や人事担当者に直接質問ができる時間が儲けられていることも多いので、疑問や不安を解消するいいチャンスとなるでしょう。仕事のやりがい・楽しさ・大変さなどもイメージしやすくなるので、自分に向いているかどうかを見極めやすくなります。
「理系の自分に向いているだろうか」「専門知識をいかすチャンスがあるのだろうか」など、商社の仕事に不安がある学生も多いと思います。まずはインターンシップに参加してみて、企業や仕事内容をよく知ることからはじめてみるといいでしょう。
OB・OG訪問をする
理系学生で商社を目指す人は一定数いるといえども、それほど多くはないのも事実です。周囲に同じ道を目指す就活仲間がいないと、情報収集の面で多少不利になることは否めません。
情報収集に不安があったり、相談相手がほしい場合は、同じ理系で商社に就職したOB・OGに相談してみるのがいいかもしれません。大学の就職課などでOB・OGを紹介してくれることがありますし、SNSなどで同じ経歴の先輩を探してみるのもいいでしょう。
英語力をレベルアップさせる
商社への就職では、英語力や海外経験がプラスになることが多いです。商社での仕事は海外の企業と関わることが多いため、外国語が堪能であったり海外経験があると仕事でも活躍の場が増えるからです。
大学生のうちにTOEICを取得しておくと、就活で英語力をアピールするのに便利です。商社を目指すならTOEICは最低でも750点以上、できれば800点以上は取得しておきたいところです。
商社を就職先に考える理系学生が意識すべきポイント
就職活動のスケジュール管理を意識する
文系学生の場合、多少欠席しても融通の利く授業が多いなど、就職活動スケジュールには比較的余裕があります。一方、理系学生の場合には「実験の授業は休めない」「研究室に行かないと教授や先輩に注意される」など、時間に制約があるケースが多く見られます。
商社を就職先に考える理系学生は、就職活動を早めに開始すると共に、スケジュール管理をしっかり意識するようにしましょう。
コミュニケーション能力や協調性を高める
理系学生は「コミュニケーションが苦手」「協調性がない」といったイメージを持たれていることがあります。そのイメージを払拭できるよう、部活動・サークル・研究室・バイトなどの人間関係でコミュニケーション能力や協調性を高めるよう心掛けましょう。
特に理系学生は研究内容を説明するときなどに専門用語を使ってしまいがちですが、その時点で「他者とコミュニケーションを取る気がない」と思われてしまうことも。誰でも分かりやすい言葉で伝えるよう、普段から意識することが大切です。
「理系なのになぜ?」を説明する準備をしておく
「理系学生は研究職を目指すもの」というイメージは根強く、商社の面接でも「理系なのになぜ研究職に就かないのですか?」と質問される可能性は高いと言えます。
この時、「研究職は自分に向いていなくて…」など、研究職のネガティブさを説明すると「嫌なことから逃げる人」と受け取られてしまいます。「研究職以上に商社の〇〇なところに惹かれて志望した」と商社に魅力を感じたことを強くアピールすることが大切です。
専門知識を生かせない配属の可能性も視野に入れて
理系学生にとって「専門知識を持っている」ということは強みですが、商社は幅広い事業を手掛けているため、「いざ入社してみたら、自分の専門性を全く生かせない配属先だった」ということもあります。
専門知識を生かせない可能性を視野に入れ、志望動機は専門知識を活用できることだけでなく、「なぜこの会社に入社したいか」に重点を置いた書き方にするようにしましょう。
最後に
商社は幅広い商材を手掛ける「何でも屋」であり、その姿勢は就活にも現れているのか、募集する人材についても「優秀であればOK」と広く門戸を開けている企業が多く見られます。その分、商社の選考は多くの優秀な就活生との熾烈な競争となりますので、無計画に飛び込んでも全く歯が立ちません。
商社を目指す理系学生の方は、この記事で書いた「スケジュール管理」「コミュニケーション能力や協調性の向上」「『理系なのになぜ?』への回答」「どんな配属先も受け入れる覚悟」の4つをしっかり意識して、商社への就職を勝ち取ってくださいね。
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