春休みに入り就職活動が解禁されると、大学院生にとっても今後の進路を真剣に考えなければいけない時期になります。研究者になるのか…就職するのか…それとも…。文系の大学院生にとっては研究者の道は狭き門。就職を考える人が必然的に多くなってくるかと思います。
しかしそうなると頭をよぎるのは「文系大学院生は就職に不利」という言葉。大学院に進学する際にもこの言葉が気になり悩んだ人もいるかと思います。とはいえあきらめるわけにはいきません。文系大学院生は就活でどのような対策をするのがよいのでしょうか?学部生との違いや、文系大学院生が内定をもらうためのポイントについて解説します。
- ・文系大学院生の就活は不利なのか
- ・文系大学院生が就活で苦戦する理由
- ├学部生より年齢が高くなってしまう
- ├就職浪人の延長線で大学院に進学をしたと思われる
- ├専門知識に固執しすぎる
- └仕事を進める上で必要なコミュニケーション能力が低い人が多い
- ・大学院生が就活で意識すべきこと
- ├学部卒でも大学院卒でもするべきことは同じ
- ├周りの雰囲気に流されないこと
- └学部生時代や高校時代の話ばかりをしない
- ・文系大学院生が内定をもらうためのポイント
- ├新人として会社に入るという意識をもつ
- ├自己分析をきちんと行う
- └専門知識に固執しすぎない
- ・大学院生ならではの強みをアピールする
- ├経験の豊富さをアピール
- ├自分の強みをいかせる業界・仕事を選ぶ
- └専門の研究をしたからこその強み
- ・最後に
文系大学院生の就活は不利なのか
そもそも、文系大学院生は就職に不利なのでしょうか。これに関しては一概に不利とも不利でないとも言えないというのが事実です。
実際就活を行い、何の苦労もなく内定をもらっている人もいます。その一方で、文系大学院だからと面接で差別的な発言をされたと悩む人もいるのです。これはなぜなのでしょうか?
文系大学院生が就活で苦戦する理由
なぜ文系大学院生は就活で苦労するのでしょうか?それにはいくつかの理由があると思います。
学部生より年齢が高くなってしまう
修士卒業で就職するのであれば学部卒の人と2歳違いのため、そんなに開きはありません。しかし、博士卒であったりその前に何年か浪人や留年していたりすると、就職するときには30歳手前というケースもあります。
会社で30歳手前ともなれば、学部卒の新卒で就職した人はすでにリーダーとして人を束ねてバリバリ仕事をしているという場合もあります。そうなるとどうしても目の前にいる大学院生と自分の会社にいる同じ年くらいの社員を比べてしまうということも考えられます。
また、日本は入社前のスキルをあまり重視せずポテンシャルで学生を採用するので、院生より長く働ける学部生の方が採用されがちです。
就職浪人の延長線で大学院に進学をしたと思われる
就職氷河期の頃、就職できなかった時に就職浪人では体裁が悪いからとりあえず大学院に行くという人がいました。そのような人は特に大学院で何をやりたいということもないので、ただただモラトリアムな2年間を遊んですごすことになります。
しかし、やる気のないモラトリアム人間を新卒より高い給料で雇おうという会社もなかなかありません。文系大学院生というとそのようなイメージを持ってしまう採用担当者もいるのは事実です。
専門知識に固執しすぎる
面接で自分の研究テーマや専門知識をアピールすることは全く問題ありません。学部卒の人もゼミの話やサークルの話をすることは大いにあります。
しかし文系大学院では理系大学院と違って、直接研究分野を活かせるような仕事は非常に少ないです。にもかかわらず自分が知っている専門知識に固執した話ばかりしてしまうと、面接官にとってはよくわからない話をされていることになり、あなたの良さがあまり理解できません。その結果残念な結果になってしまうことも多いようです。
仕事を進める上で必要なコミュニケーション能力が低い人が多い
文系で大学院に行く人は研究や勉強が好きな人が多いと思います。また授業の関係で議論や発表をするということに慣れている人が多いです。
その時の話し方に慣れていると、面接でも論破するように話したり、専門用語を相手が分かっているかのように話してしまう人がいます。そうすると相手のことを考えられない、コミュニケーション能力のない人と判断されてしまう可能性があります。
また人によっては、自分の研究のために論文や書籍を読む時間が多く、人とあまり関わらないこともあります。人と関わる機会が減ることでコミュニケーション能力の低下につながります。コミュニケーション能力は仕事をするうえで必須なので、就活を成功に導くためには欠かせない能力です。
大学院生が就活で意識すべきこと
学部卒でも大学院卒でもするべきことは同じ
学部卒の就活でも、企業研究をしっかり行いその会社で自分は何ができるかをしっかりアピールしましょうという話をしますが、まさにこれです。
その企業で何が求められているのか、自分はどうしてその会社を選んだのか、自分はその会社で何ができるのかをしっかり研究し、それを面接でしっかりアピールすることができれば文系大学院卒であろうと学部卒であろうと内定をもらえるのです。
周りの雰囲気に流されないこと
学部卒の場合は周りにも就活生が多いので自然に対策をするようになりますが、大学院卒の場合、その周囲の絶対数が少ないため基準が分からなくなりがちです。そのためか学部生に比べて自己分析、企業研究が足りない大学院生が多いようです。
なるべく早い時期から自分なりに企業研究などを開始して、余裕をもったスケジュールで就活をすすめるようにしましょう。
学部生時代や高校時代の話ばかりをしない
大学院でやることは研究とかが多くなるので、専門分野の話ばかりにしないよう学部生時代の話をしようとする人もいると思います。ですが院生時代の話をまったくしないと、「大学院で何もしてこなかったから大学院の話をしないのかな?」などとマイナスの印象をもたれてしまうことがあります。自分が院生時代にやったことも積極的にアピールするようにしましょう。ただし、専門用語を使うときは面接官が分かるように説明するよう心がけましょう。
文系大学院生が内定をもらうためのポイント
ではどうしたら内定をもらうことができるのでしょうか?
新人として会社に入るという意識をもつ
一次審査の面接などは就活生の緊張を解くため、大卒の人と同じくらいの年齢の社員が面接官として抜擢されるケースもあります。知り合いの採用担当者曰く、「年下だと思ってナメてかかる大学院生や中途採用の人もいるんだよね~。でもそんな人は会社では絶対うまくやっていけないからすぐ落とす(笑)」ということでした。
たとえ年下だとしても、先輩は先輩です。近年では年功序列という考え方も崩れており、企業側も年齢をあまり気にしなくなっています。その一方で幅広い年齢の人とうまくやっていけるかどうかが重要になってきており、面接でも見られています。年齢に関係なく社会人として自分は新人であるという意識をきちんともち、学ぶ姿勢であることをアピールしましょう。
自己分析をきちんと行う
「どうして大学院へ行ったのですか?」「志望動機は?」など必ず聞かれる質問にはきちんと答えられるようにしておきましょう。この質問で目的意識をもって大学院に進んだのかがわかるので、事前に答えを考えておくことが重要です。自分の強み、仕事に対する意欲、人生のキャリアプランをきちんと納得できるように説明することで学部生との違いを見せつけましょう。
専門知識に固執しすぎない
面接官は、学生が自分の会社で役に立ってくれそうか、あるいはどのような仕事をする人になりそうかを見ています。直接関係のない知識だけを自慢しても採用には繋がりません。
面接で聞かれれば専門分野の話をする機会もあると思いますが、簡単に高校生でも分かるように説明します。
大学院生ならではの強みをアピールする
経験の豊富さをアピール
学部生と比べて不利な点もありますが、逆に大学院生だからこその強みもあるはずです。学部生よりも年齢が高いのであれば、その分経験も豊富なのでアピールできることも多いでしょう。
知識だけでなく、研究を通じて学んだことや身につけたスキルをまとめておくようにします。研究チームでリーダー経験などがあれば、それもアピールしましょう。
自分の強みをいかせる業界・仕事を選ぶ
研究で得た専門知識を実際の仕事とどう結び付けられるかどうかが、就活成功のポイントになります。業界研究や企業研究をしっかりと行い、自分の研究や知識がいかせる業界や仕事を見つけましょう。
研究と直接関係がなさそうな分野でも構いません。幅広い視野で、自分の知識や強みをいかせる仕事はないか探してみてください。
専門の研究をしたからこその強み
文系の大学院で専門の研究をすると、「数値分析力」「問題発見力」「問題解決力」「説明能力」などが自然と身につきます。こうした能力を仕事と結び付けてアピールできるよう、準備をしていきましょう。
最後に
理系と違い文系では、専門に学んだ研究を活かせる仕事が少ないかもしれません。
とはいえ、文系大学院では非常に大切なことを学べます。それは、「自分で仮説を立てて実現する方法を考え、検証する。そして結果を考察し、何をすべきかを考える」ということです。これはどの業界でも大切にされていることです。
きちんとした企業研究を行い、そこで自分がどのように活躍できるのかをアピールできれば、行きたい企業から内定をもらうこともできるはずです。インターンシップに行けば、企業での働き方を知ることができたり、就活でアピールできる経験をすることができます。興味のある業界や企業のインターンシップがあれば、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。
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