文系と理系では専攻の違いはもちろんのこと、就活においても違いが出てきます。文系は自由応募での就活がメインとなります。これに対して理系では研究職や技術職志向のキャリアが多く、かつ大学の教育課程でも研究に重きを置いているので、理系特有の就活スタイルとなります。今回はそんな文系・理系の就活での違いを徹底解説します。
- ・文系就活の特徴とは?
- ├自由応募が基本
- └専門性のアピールが資格などに限定される
- ・理系就活の特徴とは?
- ├学校推薦の存在
- ├技術面接・スペシャリスト選考の存在
- ├大学院進学も進路として選べ、修士が選考条件になることもある
- └研究が忙しくて時間がない反面、研究そのものが武器になる
- ・就活は理系の方が有利って本当?
- ├就職率はほぼ同じ
- ├選考ルートが違うだけ
- ├時間的余裕があるのは文系の強み
- └募集職種が限られる理系・選択肢の多い文系
- ・文系学生の就活のポイント
- ├熱意や人間性をアピールする
- ├企業とのマッチングを意識する
- └インターンシップに参加する
- ・理系学生の就活のポイント
- ├就活の準備は早くから始める
- ├研究結果をわかりやすく説明できるようにしておく
- └インターンシップに参加する
- ・あなたの専攻や志向に合った就活を
文系就活の特徴とは?
文系学生の就活は基本的に自由応募が原則となっており、基本的には専門性ではなくポテンシャルで判断されます。
自由応募が基本
文系就活の特徴としては、基本的には理系のような推薦制度は存在せず、自由応募が基本となっています。その分、エントリーシートの書類選考から面接に至るまでの選考フローが長く、かつ面接回数も多くなっています。
理系に比べると数多くの選考フローを踏まなければなりません。就活が思うようにいかなかった場合に院へ進むという進路もありえますが、理系と比べて院進学のアドバンテージはあまり大きくありません。
専門性のアピールが資格などに限定される
文系就職の場合、オープン採用(職種を選ばない採用)になることが多く、なおかつ文系での専門も公認会計士や税理士といった狭き門での資格でしかアピールができないので、専門性のアピールがしにくいと言えるでしょう。
学業に専念せず、ゼミにも形だけ参加していた学生にとっては自分の学業での専門性はアピールしにくいです。理系に比べたらその積み重ねはあまり大きくないと見なされてしまうでしょう。
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理系就活の特徴とは?
理系の教育課程は、研究がメインとなります。研究の分野を活かした理系ならではの就活もできるようになっているのが、理系就活の大きな特徴です。文系との違いを見てみましょう。
学校推薦の存在
理系学生には学校推薦という理系特有の就活制度があります。学校推薦は文字通り、研究室と大学からの推薦をもらい、企業の研究部門や特定部門の選考を受けるというものです。
企業によって学校推薦枠が定められています。例えばある企業の研究開発部門では5人の大学院生に対して学校推薦枠を設けており、A,B,C,D,E大学からそれぞれ1人を採用するというような形を取ります。
企業によって制度やフローは違うものの、学内での選考を突破して学校推薦をもらった候補者にとってはその後のプロセスが少なく効率的に就活を進めることができます。しかし、学内での選抜を通過していてもその後の選考フローで企業側からNGが出るケースもあります。学校推薦がそのまま内定へ直結するわけではないので、注意が必要です。
更に、内定をもらった場合は通常のように複数社で比較することができず、企業と大学との関係を重視して学校推薦の企業へ行かねばならないという制約も存在します。このような覚悟も求められるのが学校推薦の特徴です。
実際には、理系でも自由応募で就活している生徒が約半数を占めています。また、初めから学校推薦のみで就職活動を実施している学生はほとんどおらず、自由応募と並行して就活をしている学生が多いです。
技術面接・スペシャリスト選考の存在
理系特有の選考として、アピール技術のレベルを見極めるために、研究開発部門との面談が設定されることがあります。技術面接と呼ばれており、研究テーマや論文のテーマについてプレゼンして面接官の研究部門社員と質疑応答を行うというものです。
専攻テーマがどれだけ志望企業にマッチングしているのか、自分のテーマが企業にどんな点で活きるのかをアピールする場となります。それゆえに、研究内容と論文テーマがどれだけとがっており、かつ企業の研究活動にダイレクトに活きるかが見られています。
大学院進学も進路として選べ、修士が選考条件になることもある
理系学生の場合、学部生で就活が上手くいかなかった場合、大学院に進んで更に専門性を高めて就活に臨むことができます。
文部科学省の学校基本調査(平成28年度)によれば、学部卒業後に院へ進学する学生は30%ほどとなっており、半数近くが就職する傾向にあります。大学院へ進学することによって高度な研究ができることはもちろん、修士課程を修了していないと受け入れを行わない企業もあるので、専門性の高い職種への就職を見据えて進学する学生も多いです。
特に特殊技術を用いているメーカーでは研究歴が長くないと適応できないという背景もあるので、部門によっては修士過程卒業を選考の最低条件としている企業もあります。
研究が忙しくて時間がない反面、研究そのものが武器になる
理系学生は学生生活の主眼がほぼ研究(実験、観察、レポート、研究、ディスカッション)に注力されています。
専門分野によって違いはあるものの、文系学部に比べると研究が占める比率は大きくなってしまい、サークル活動やアルバイトといった課外活動に対して注力できる時間は少なくなる傾向にあります。それゆえに、就活においてよく記載されるアルバイト活動、サークル活動、学生団体活動がなかったとしても研究テーマそのもので評価されるので、問題はないです。
専攻外の文系職を志望したとしても理由がしっかりとしていれば、文系でないからといって就活で不利になるということはありません。理系学生は理系学生の強さをアピールすればよいだけです。
就活は理系の方が有利って本当?
就職率はほぼ同じ
研究内容の専門性が高い分、「就活は理系の方が有利なんじゃないか」と思われる人も多いのではないでしょうか?厚生労働省・文部科学省が行った調査によると、平成28年度の就職率は文系が97.3%、理系が98.7%でした。
最終的な就職率で見てみると理系が優位ではあったものの、その差はわずかなものです。「理系だから就職に有利」ということはなさそうですね。
選考ルートが違うだけ
理系学生には推薦枠があるので、推薦で選考を受ければ、通常よりも少ない選考過程で内定までたどり着けるのは事実です。
推薦枠でなくても理系の就活では、面接回数が文系に比べて少なくなる傾向があります。その分早く内定が出ることになるので、「理系は就職で有利だ」というイメージがついているのかもしれませんね。
時間的余裕があるのは文系の強み
研究に時間を費やさなければならないため、理系学生は就活に十分な時間をさくことができません。ゼミや研究などにそれほど時間をとられない文系学生は、企業研究や自己分析にたっぷり時間をかけることができます。
募集職種が限られる理系・選択肢の多い文系
理系学生は専門知識や研究成果をアピールしやすい反面、応募できる業界や職種が研究に関連のある分野に限られてしまいます。
文系学生は学部や専攻にそれほど縛られることがありません。選択肢の多さという点から見れば、文系学生の方が有利だと言えるでしょう。
文系学生の就活のポイント
熱意や人間性をアピールする
文系学生の就職は理系学生の就職と違い、研究内容や専門性が重視されることは少ないです。文系学生は就活において学部や専攻内容よりも、人間性や熱意などが重視される傾向があります。
ES(エントリーシート)や面接では、どれだけ熱意・やる気があるかをアピールすることを重視してください。就活では、協調性やコミュニケーション能力の高さをアピールするのも効果的です。
企業とのマッチングを意識する
就活で内定を獲得するには、企業とのマッチングを意識することが重要です。就活ではその学生がどれだけ優秀かということよりも、企業にマッチするか・企業の求める人物像と一致するかを見られていることが多いからです。
そのためにも企業研究は時間をかけてじっくりと行う必要があります。できるだけ早い時期から自己分析や企業分析、インターンへの参加などを始めるといいでしょう。
インターンシップに参加する
理系学生に比べて、文系学生は業界や職種の選択肢が多いです。選択肢が多い分、自分にマッチする企業や仕事を見つける際に迷いも多くなります。自分に合う企業や職種を見つけるには企業のインターンシップに参加するのがおすすめです。
インターンシップに参加すると社内や働いている人の雰囲気がよくわかるので、入社後のミスマッチを防ぐことができます。仕事体験ができるインターンシップなら、その仕事が自分に向いているかどうかを見極めるチャンスになるでしょう。
ホームページや説明会の情報だけではわからないことも多いので、できるだけたくさんのインターンシップに参加して、自分に合う企業を探してみてください。
理系学生の就活のポイント
就活の準備は早くから始める
理系学生は研究に多くの時間を費やさなければならないため、就活に割ける時間に限りがあります。そのため理系学生はできるだけ早い時期から就活の準備を始めるといいでしょう。
企業研究や自己分析は就活の時期に関係なくいつからでもできますし、じっくりと時間をかければそれだけ内定獲得の可能性も高まります。企業研究・自己分析・筆記試験対策の勉強などは早い時期からスタートしておくと、余裕を持って就活できるはずです。
研究結果をわかりやすく説明できるようにしておく
理系学生は就活のES(エントリーシート)や面接で、研究内容について聞かれることが多いです。専門知識がない人でも研究内容が理解できるように、わかりやすく説明するための準備しておくといいでしょう。
企業の担当者が学生に研究内容を聞くのは、専門知識があるかどうかだけでなく、「プレゼン力」「説明能力」「コミュニケーション能力」などをチェックするためでもあります。わかりやすい図解や資料を作成するなどするのもいいでしょう。
インターンシップに参加する
インターンシップに参加すると、業界や企業についての理解が深まるため、業界研究や企業研究の質が高まります。
実際に企業での仕事が体験できるので、志望動機の作成のも役立ちます。研究で忙しい理系学生は、インターンシップに参加することで効率的に就活を行うことができるでしょう。
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あなたの専攻や志向に合った就活を
さて、ここまで文系と理系の就活の違いを見てきましたが、重要なのは「自分がどんなキャリアパスを描いていきたいか」「そのキャリアパスを描くためにはどのような企業を選べばよいのか」が鮮明になっていることです。
やりたいことが明確になっていれば、文系・理系の差はあまり関係なありません。自分の設定した目標に対してどれだけ効果的な準備ができるかによって、就活の成否が決まると言ってもよいでしょう。
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