「内定承諾書を提出したけど、志望度の高い企業への就活を続けたい」と考える就活生は少なくありません。
「内定承諾書を提出した後も就活を続けることはできるの?」
「内定承諾書の提出後も就活を続ける際に注意すべきポイントはある?」
今回はそんな内定承諾書提出後の就活に関する疑問にお答えします。
- ・内定承諾書を提出しても就活を続けることはできる?
- ├そもそも内定承諾書とは?
- └内定承諾書を提出しても就活は続けられる
- ・内定承諾書の提出後も就活を続ける際の注意点
- ├内定承諾書の提出前に就活を続けたい旨を伝える
- ├内定辞退はできるだけ早く企業に連絡する
- ├誠意をもって謝罪と感謝を伝える
- └企業とのトラブルはキャリアセンターに相談する
- ・まとめ
内定承諾書を提出しても就活を続けることはできる?
そもそも内定承諾書とは?
内定承諾書とは、企業が発行する書類で、内定者に「入社を承諾すること」「正当な理由なく入社を拒否しないこと」「他の企業に就職しないこと」などを誓約させるものとなっています。内定誓約書・入社誓約書・入社承諾書などと呼ばれる場合もあります。
企業は来年度の事業計画をふまえて「今年は何名採用しよう」と事前に決定し、学生に内定を出しています。
しかし学生が次々に内定辞退すると採用人数が不足し、来年度の事業計画に支障をきたします。新たに採用活動をする必要が出てくれば、その分だけ時間や労力が余計にかかります。また、内定者数に合わせて備品や機材などを用意していたのに内定辞退が発生すると、その費用も無駄になってしまいます。
このように内定辞退は企業にとって様々な不利益を生じさせるため、内定辞退を防ぐ手段の1つとして「内定承諾書」を発行する場合があるのです。
内定承諾書を提出しても就活は続けられる
内定承諾書には、一般的な契約書のように内定者による「署名捺印」が求められます。そのため、「一度サインしたら法的な拘束力が生まれるのでは?」と不安になる方もいるでしょう。
実は内定承諾書の提出は「労働契約の締結」として扱われます。「え?労働契約を締結しているなら、もうその企業で働くしかないのかな?」と不安に思うかもしれません。しかし、労働契約を締結しても、民法627条1項によって「労働契約を解約する自由」が保証されています。
民法627条1項の詳しい条文は以下の通りです。
“当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。”
少し難しい表現ですが簡単に言えば、「働く期間を決めない労働契約は、いつでも解約できる。「働くのをやめたい」と言ってから2週間を過ぎれば契約は終了できる」ということです。
つまり、内定承諾書を提出して労働契約が締結したとしても、入社日の2週間以上前に内定辞退を済ませれば契約は終了し、入社する必要もなくなるということです。
そのため、就活を続けて別の企業に就職するとしても、「入社日の2週間以上前」に内定辞退すれば法的には問題ないのです。
内定承諾書の提出後も就活を続ける際の注意点
内定承諾書の提出前に就活を続けたい旨を伝える
内定承諾書の提出を求められたら「承諾を待ってほしい」「後悔のないよう興味のある企業の選考は受けてみたい」など就活を続けたい旨を誠実に伝えましょう。
しかし「内定承諾書を書かないなら内定を取り消す」と脅される場合には、その場ではとりあえず内定承諾書にサインして、こっそりと就活を続ける形になるかもしれません。
内定辞退はできるだけ早く企業に連絡する
内定辞退すると決まったらできるだけ早く企業に連絡しましょう。先ほどもご紹介した通り、企業は内定者の入社に向けて費用や労力をかけて準備しています。連絡が遅くなるほど準備が進み、あなたが入社するためにかけたコストが無駄になってしまうのです。
入社ギリギリになって内定辞退の連絡をした結果、企業に損害賠償訴訟を起こされたケースもあります。不要なトラブルを招かないように早めの連絡を心掛けましょう。
誠意をもって謝罪と感謝を伝える
就活白書2019によると、新卒採用には1人あたり約70万円のコストがかかっています。いくら内定を辞退する権利があるとはいえ、それだけのコストをかけて選んでくれた相手に損失を与えるのですから、人として誠実に対応する必要があります。
内定辞退の連絡の際には誠意をもって謝罪すると共に、自分のために選考の時間・労力をかけてくれた感謝の気持ちを伝えましょう。また、電話だけでは「言った/言わない」のトラブルになることがあるため、電話を済ませた後で内定辞退の意思とお詫びの気持ちを込めたメールも記録として送っておくと安心です。
企業とのトラブルはキャリアセンターに相談する
内定辞退の連絡の際に「内定辞退するなら損害賠償を請求する」「内定辞退するなら会社まで出向いて土下座しろ」「同じ大学の学生は二度と採用しない」などの脅迫を受ける場合があります。
このように企業とのトラブルが発生した場合には、1人で抱え込まずに大学のキャリアセンターに相談しましょう。不安な気持ちに寄り添いながら、適切な対処法などを教えてもらえます。
まとめ
内定承諾書とは、企業が内定者に「入社を承諾すること」「正当な理由なく入社を拒否しないこと」「他の企業に就職しないこと」などを誓約させる書類です。内定承諾書を提出すると「労働契約を締結した」と見なされますが、入社日より2週間以上前であればいつでも内定辞退できるため、就活を続けることができます。
内定承諾書の提出後も就活を続ける場合には以下の4点に注意しましょう。
・内定承諾書を提出する前に就活を続けたい旨を伝える
・内定辞退はできるだけ早く企業に連絡する
・誠意をもって謝罪と感謝を伝える
・企業とのトラブルはキャリアセンターに相談する
新卒での就活は人生で一度きりですから後悔のないように行動してください。
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