広告代理店の大手ってどんな企業？電通・博報堂・ADKを徹底比較！

広告代理店は、毎年就活生に人気の高い就職先です。特に電通、博報堂、ADKホールディングスの大手3社は選考倍率が50倍〜300倍と非常に高く、難関です。3社全てを志望している方は多いかもしれませんが、他の就活生と差をつけるためにはそれぞれの企業の強みや選考の特徴を分析しておく必要があります。

今回は、広告代理店の仕事内容や職種、電通、博報堂、ADKのそれぞれの社風や強み、選考の特徴を詳しく解説します。

広告代理店の仕事内容は？

広告代理店はクライアントの企業の広告を代理で企画から制作、各媒体への出稿までを請け負います。

まず、クライアントにヒアリングを行い、その企業の課題を分析します。それをもとにテレビや雑誌、インターネットなど各メディアでのプロモーションを提案し、企画、制作を行います。その手数料が、広告代理店の利益になります。

つまり、広告代理店とは、広告主となるクライアントの企業と、テレビやラジオ、雑誌、新聞、インターネットなどの各媒体の仲介役となります。

広告業界にはどんな職種がある？

①営業

広告代理店の営業職は、広告を出したいと考えている企業に自社が持っている各メディアの広告枠を提案します。各企業の課題をヒアリング・分析し、最も効果的なプロモーションを提案することで、新規のクライアントを獲得します。

どんな媒体を使って、どんな広告を企画・制作をするかは業界によって異なるので、広告営業では常に各業界のトレンドを分析する必要があります。広告代理店の営業職は、様々な業界との接点を持つことができるので、面白さややりがいを感じやすいのが特徴です。

②マーケティング

マーケティング職は、営業が獲得したクライアントの課題や要望を把握し、広告の対象となるサービス・商品の市場調査・分析を行います。クライアントの業界全体のトレンドやサービス・商品の消費量、ターゲット層や競合他社の動向を調査・分析します。その結果をもとに、どんな媒体を使って広告を出すのかを決定します。マーケティング職は、広告戦略における中核の役割です。

③クリエイティブ

広告の制作に関わるクリエイティブディレクターやCMプランナー、グラフィックデザイナー、コピーライターを総称して「クリエイティブ職」と呼びます。

まず、クリエイティブディレクターが、広告の対象となるサービスや商品の概要やクライアントのニーズをヒアリングし、方向性を決定します。方向性が決まったところで、CMプランナーやグラフィックデザイナー、コピーライターなどがクリエイティブディレクターとともに最も効果的に宣伝ができるような広告の企画・戦略を練り、実際に広告を制作します。

広告業界のクリエイティブ職は広告を制作する際のスキルだけではなく、クライアントのニーズを正確に把握し、的確な提案をするコミュニケーションスキルや論理的思考力も求められます。

③広告業界大手3社の特徴

就活生に人気の高い広告代理店大手3社の電通、博報堂DYメディアパートナーズ、ADKホールディングスの社風や強みを比較します。また、インターンシップガイドに寄せられた本選考体験記をもとに、選考の特徴を解説します。

①電通

電通の社風

電通の企業理念は「Good Innovation.」です。新たな価値の創造と変革を導くことを希求し、企業や組織のイノベーションを支えようとする意志を込めています。

なんといっても広告業界No.1の電通は、世界でもトップの知名度と売上を誇ります。若手でも大きな仕事を任せてもらえたり、直接意見できるチャンスが多いことが特徴です。 社風について、「電通は体育会系の人が多い」というイメージを持っている方も多いかもしれません。全体としては上下関係がしっかりしているものの、大企業である分、雰囲気は部署によって異なります。

電通の強み

電通の強みは、グローバル展開です。電通は世界の広告業界での売上が第5位と、国内市場だけではなく世界でも圧倒的な売上高を誇ります。さらに電通は、世界145以上の国と地域に拠点を広げ、海外拠点における従業員数は4万人以上です。海外に拠点を広げることで、今後、人口増加や経済成長が見込まれる国においての成長が期待できます。

電通の選考体験記

2020年卒　総合職
選考フロー
エントリーシート・テストセンター→面接2回→GD→面接1回

ES
〈設問、文字数〉
学生時代に取り組んできたことが合計100％となるように要素を分解してください。
・5つの項目すべてを埋めなくても構いません。
・合計100％になるように数値（正の整数）を入力してください。
[What]電通の何に惹かれたのか 200文字以下
[Why]そのような考えに至った背景やきっかけはどのようなものか 200文字以下
現在のあなたを形成している、人生の3大エピソード（体験）を挙げてください。
世の中の物事や現象で「まだ名前のないもの」を見つけ、 世の中に共感される呼び名をつけてください。また、その内容を説明してください。
呼び名 20文字以下
説明 200文字以下

〈留意したポイント、アドバイスなど〉
電通らしい質問に関しては、誰もが思いつかないもの、学生らしいものを意識して書いた。

筆記試験
〈受験方法〉
テストセンターにて受験
〈内容や難易度〉
spi3 難易度は商社などと比較すると高くない。

グループディスカッション
〈内容や進め方〉
東京オリンピックをさらに良くするには。 社員さんが実際に考えていることを参考にして、学生で話し合った。
〈留意したポイント、アドバイスなど〉
多く発言することが重要だと思った。質については、自分で測ることが出来ないので、とにかく話すことを意識した。

一次面接
〈質問内容や進め方〉
エントリーシートをその場で見られて、 そこで気になったことを質問される。
〈留意したポイント、アドバイスなど〉
コミュニケーションを意識した。あちらは、私に興味がなさそうな感じで疲れていたので、面白い話をした。

二次面接
〈質問内容や進め方〉
自己紹介の後、ESに沿って質問をされる。耐久性はあるかなどは何度も聞かれた。
〈留意したポイント、アドバイスなど〉
あちらは、電通にマッチしているかを常に考えていた。そのため、自分のどこがマッチしているかを再三考えながら答えた。

三次面接(最終面接)
〈質問内容や進め方〉
自己紹介の後、順に志望動機などを聞かれた。時間がないため、深堀はされない。
〈留意したポイント、アドバイスなど〉
ここで落ちることはほとんどないため、気楽な気持ちで挑んでいたが、油断は一切しないことが重要だと思った。

この企業の選考全体を通して
〈企業研究をどのように行いましたか？〉
インターンシップに参加した。ホームページで、電通が何をしているのかを読み込んだ。 〈選考で重視していたと思われる点は何ですか？〉
デジタル人材であること。私が理系人材として、採用された所以である。

〈この内定先の社員や内定者にはどんな人が多いと思いますか？〉
様々な人が多いが、明るい人が多い。広告代理店のイメージ通りだった。
〈おすすめの選考対策、アドバイスがあれば教えてください。〉
インターンシップに参加することが重要だと思った。電通といえば、広告代理店のイメージがあるが、実際の仕事は多岐に渡り、さらに何をしているか分かりにくいため。

②博報堂

博報堂の社風

博報堂は電通のエネルギッシュさに比べると落ち着いた知的な雰囲気で、上下関係もあまり厳しくありません。若手にもどんどん仕事を任せる気風があり、若手が自分からアイデアを発信する機会が与えられます。社員は穏やかでありながらも個性のある人が多く、お互いの個性を尊重する風潮があります。

グループの経営理念には「顧客に対して、常に最善のサービスを提供し、ビジネス価値の向上に貢献する」とあるように、「クライアント第一」の風潮が強く、仕事には常に正確さが求められます。

博報堂の強み

博報堂の強みは、インターネット広告での成長です。博報堂は現在、インターネット広告において、1位のサイバーエージェントに続いて2位の売上を誇ります。広告業界全体の動向として、テレビや雑誌に比べてインターネット広告へ注力する企業が増えているため、今後もインターネット広告の分野において成長が期待できます。

博報堂の選考体験記

2022年卒　職種未定
選考フロー
ES→WEBテスト→面接→グルディス→個人課題&最終面接

ES
〈設問〉
自己分析シートの提出
〈留意したポイント・アドバイスなど〉
自分らしさを追求・着飾らない

筆記試験
〈受験方法〉
SPI
〈難易度やレベル〉
SPIレベル

グループディスカッション
〈内容や進め方〉
事前に流れが伝えられ、その後当日にテーマ発表、その後は普通のグルディス
〈留意したポイント・アドバイスなど〉
とにかく人を観察し、自分らしさを出すことを意識した

一次面接
〈質問内容や進め方〉
ESで書いた自己分析シートの深堀り、オンラインでの開催
〈留意したポイント・アドバイスなど〉
いかに自己分析シートの内容を話せるか深掘り・練習した

二次面接（最終面接）
〈質問内容や進め方〉
待機室に案内→呼ばれて個室での面接
内容は最終面接らしい質問と自己分析シートの深掘り
〈留意したポイント・アドバイスなど〉
「自分らしさ」をあらゆる角度から追求した

選考全体を通して
〈企業研究をどのように行いましたか？〉
本を読み漁った
〈選考で重視していたと思われる点は何ですか？〉
「自分らしさ」の追求
〈この内定先の社員や内定者にはどんな人が多いと思いますか？〉
個性豊かで粒違いな人
〈おすすめの選考対策、アドバイスがあれば教えてください。〉
自己分析に大きく差が生まれる選考だと感じました。いかに自分の過去を深掘り、今の自分と一貫性を持たせてかつ熱を持って話すかを追求しましょう

ADKの社風

ADKは、広告代理店大手3社の中では特に風通しがよく、自由な社風です。その分、電通・博報堂に比べると仕事に対してはあまりガツガツと競争する雰囲気がなく、社員同士の調和を大切にしています。また、電通・博報堂と同じように若手が活躍するチャンスを与えられる場が多く、社員の自主性を重視しています。

ADKの強み

ADKの強みは、「アニメのアサツー」と言われるように、アニメーションコンテンツの制作です。ADKでは「ドラえもん」や「クレヨンしんちゃん」などの国民的アニメも製作しており、広告代理店の業務だけではなくアニメ制作においても存在感を示しています。

日本のアニメ業界の売上は右肩上がりで、海外からも日本のアニメ制作会社に制作依頼が来ています。近年、アニメは動画配信サービスでのファンの獲得が主流になっているため、今後も成長が期待できます。

ADKホールディングスの選考体験記

2022年卒　総合職
選考フロー
エントリーシート→面接4回→面談(内々定)

ES
〈設問〉
白紙二枚。1.あなたがADKというフィールドで実現してみたい「野望」と、その「野望」に対するアツい思いを教えてください。2.あなたが「○○」の個性を活かして、ADKで成長・活躍していけることを自由にアピールしてください。○○はあらかじめ6種類の性格タイプが設定されており、その中から自分に合った個性を選ぶ。
〈留意したポイント、アドバイスなど〉
読み手の気持ちを考え、レイアウトに気を配ったり、インパクトのある書き方をすることが重要。

一次面接
〈質問内容や進め方〉
はじめは自己紹介から入り、 その深掘りをそれぞれ行う。その後は学生時代に頑張ったことや周りからどんな人だと言われるかなどの質問がされその深掘りが行われた。
〈留意したポイント、アドバイスなど〉
短い時間の中でいかに印象を残せるか。経験の結果よりも過程だったり人柄をアピールすることを重視した。

二次面接
〈質問内容や進め方〉
冒頭の3分を使ってあらかじめ言われていた課題に関するプレゼンを行う。その後はプレゼンに対する深掘りがほとんど。鋭い質問もある。
〈留意したポイント、アドバイスなど〉
OBOG訪問を通してプレゼン内容をブラッシュアップし万全の状態でのぞんだ。

三次面接
〈質問内容や進め方〉
志望動機やなぜADKなのか、学生時代に頑張ったことなど一般的な質問がほとんどだか、特殊な質問もあった。対応力が見られているように思えた。
〈留意したポイント、アドバイスなど〉
これを突破すれば役員面接に進むことができるため、取りこぼしのないように挑んだ。

四次面接(最終面接)
〈質問内容や進め方〉
他社選考の状況や一貫性を問われる質問、ESを元にした質問もあった。
〈留意したポイント、アドバイスなど〉
この面接を突破すれば晴れて内定なので自分の持っているものを全て出し切るつもりで挑んだ。

この企業の選考全体を通して
〈企業研究をどのように行いましたか？〉
OBOG訪問
〈選考で重視していたと思われる点は何ですか？〉
プレゼン形式の面接はこの会社の選考にどれだけ準備の時間を割いてくれるかを判断して志望度を測っているように思えました。
〈この内定先の社員や内定者にはどんな人が多いと思いますか？〉
温かいイメージの人が多い。ロジカルというよりはパッション寄り。とても面倒見が良い素敵な方ばかりでした。
〈おすすめの選考対策、アドバイスがあれば教えてください。〉
OBOG訪問はマスト。書籍を用いて広告代理店のビジネスモデルを理解することも有効です。また、ESを面接時に使うことはあまりなかったので、ES突破だけを考えて作成するのも考え方によってはありだと思います。

【まとめ】広告代理店志望者はインターンシップに参加して企業研究を深めよう！

広告代理店は就活生に人気があるため、インターン選考の倍率も高いです。選考を勝ち抜くには入念な企業研究が必要です。大手の電通、博報堂、ADKは同じ広告代理店でも社風や力を入れている事業内容が異なるので、インターンに参加して、どんな企業なのかを自分で確かめてみることをおすすめします。