住居や車、スマホの液晶、工業製品の内部など、身近なところから見えないところまで、幅広く使われているガラス製品を製造・販売するガラスメーカー。
日本の大手ガラスメーカーは世界的に大きなシェアを持っているため、グローバルに活躍したい学生や研究分野を活かしたい理系学生から安定した人気を誇ります。
ここでは、就活に欠かせない業界研究に役立つガラス業界の現状や動向、ガラス業界における効果的な就活対策について解説します。
- ・ガラス業界の現状と動向
- ├ガラス業界
- ├国内需要の鈍化と価格競争が懸案事項
- └高付加価値ガラスの開発と海外展開が活発に
- ・ガラス業界の売上高ランキング
- ├国内のガラス業界の売上高ランキング
- └世界のガラス業界の売上高ランキング
- ・日本の代表的なガラスメーカー
- ├AGC(旧旭硝子株式会社)
- ├日本板硝子
- └HOYA
- ・ガラス業界の職種
- ├研究・開発
- ├製造
- └営業
- ・ガラス業界で求められる人材は?
- ├高い英語力や海外経験がある人
- ├行動力・挑戦心がある人
- └コミュニケーション能力が高い人
- ・最後に
ガラス業界の現状と動向
ガラス業界
ガラスメーカーは、シリカやソーダ灰、石灰石など天然の原料を加工してガラスを製造し、住宅業界や自動車業界などの製造業に販売しています。
ガラスが使われているのは、住宅や自動車の窓ガラス、テレビ、スマートフォンなど。日常的に利用するものばかりで、私たちの暮らしに欠かせない素材の一つです。
2010年以降は、東日本大震災からの復興による建築、東京オリンピック、パラリンピック関連建造物の建築ラッシュにより建築用ガラスの需要が高い状態が続いていました。スマホや薄型液晶テレビ用の液晶ガラスの需要も高く、業界全体が好調な状態でした。
国内需要の鈍化と価格競争が懸案事項
スマホをはじめとしたデジタル機器の普及がひと段落し、震災による特需やオリンピックによる建築ラッシュも落ち着いた今、国内市場に起爆剤となるものは見当たりません。
むしろ、今後の人口減少から、建築物や自動車の販売数が下落し、それにともないガラスの需要も少なくなることが予想されます。
また、これまでは日本のガラスに比べて品質が劣るとされてきた中国や韓国企業の低価格なガラスが、品質を高めたことで日本国内でのシェアを伸ばしつつあります。今後も海外企業のガラスが国内シェアを浸食することが予想されるため、国内市場は厳しい見通しとなっています。
高付加価値ガラスの開発と海外展開が活発に
そんななか、各社「高付加価値ガラス」の開発に注力しています。優れた断熱性で冷暖房の効率を高める「エコガラス」、通信に必要な各種電波を通しやすく、今後、自動運転システムを搭載した車への利用も期待される「電波透過型ガラス」、鉄筋に代わるコンクリート補強材として使われる「ガラス繊維」などを開発し、生き残りを賭けています。
国内市場の鈍化を予測し、自動車の需要が高まる新興国や、建築ラッシュが続く国に工場を新たに設営したり、増産したりするなど、海外でのシェア拡大に向けた動きもより活発になっています。
ガラス業界の売上高ランキング
国内のガラス業界の売上高ランキング
日本国内のガラス業界の売上高によるランキングは次のようになっています。
1位 旭硝子
2位 日本板硝子
3位 HOYA
4位 日本電気硝子
5位 セントラル硝子
国内でのシェアランキングについても、上記の売上高ランキングと同じ順位になっています。
世界のガラス業界の売上高ランキング
海外のガラスメーカーも含めた、世界での売上高ランキングもご紹介します。
1位 サンゴバン(フランス)
2位 PPG(アメリカ)
3位 旭硝子(日本)
4位 コーニング(アメリカ)
5位 日本板硝子(日本)
6位以下には中国や韓国のガラスメーカーもランクインしており、アジアのガラスメーカーが急成長を見せています。
日本の代表的なガラスメーカー
世界的にも大きなシェアを誇る優良なガラスメーカーの多い日本。なかでも、高い業績を誇る国内トップ3のガラスメーカーについて詳しく紹介します。
AGC(旧旭硝子株式会社)
高い技術力と世界的にも大きなシェアを持ち、日本では断トツトップの業績を誇るAGC。液晶ガラスでは世界第2位のシェアを誇りますが、近年では中国や韓国の企業に押され気味なため、「先進機能ガラス」の開発により差別化を図っています。
「薄く、軽く、そして強い」という特殊ガラスの特長を活かし、スマートフォンやタブレット端末など電子機器用カバーガラス、太陽電池用ガラス基板、タッチパネル用ガラス基板などの開発に注力しています。
海外工場の増設や、海外のガラス企業買収などの動きも活発で、世界的な展開がますます進みそうです。
日本板硝子
建築用ガラス、自動車用ガラス、高機能ガラスという、ガラスに特化した3つの事業を展開している日本板硝子。
AGCに次ぐ国内No.2のシェアを誇り、AGCと同じく世界的に展開しています。近年は業績悪化に苦しみ、2016年には過去最高の赤字を出すものの、その後は回復傾向にあります。
顧客への付加価値を高める「VAガラスカンパニー」として変革を遂げようとしており、今後の成長が期待されます。
HOYA
光学レンズメーカーとしてスタートしたHOYA。メガネやコンタクトレンズを開発するヘルスケア事業、医療用内視鏡や腹腔鏡手術器具を手がけるメディカル事業、デジタル機器に欠かせないエレクトロニクス事業など、多角的に展開しています。
半導体チップの製造工程に欠かせないマスクブランクスという製品では、世界シェアNO.1を誇っています。
今後は、ヘルスケア事業、メディカル事業を含むライフケア分野へ積極的に投資し、成長していく方針です。
ガラス業界の職種
研究・開発
ガラス製品の研究や開発を行います。近年はガラス需要が伸び悩んでいるため、付加価値のある製品や、新しいガラス製品の開発が期待されています。
大学でガラス素材に関わる研究をしている理系学生は、専門知識を存分にいかして活躍することができるでしょう。
製造
ガラスの製造工程の管理を担当します。製造設備の設営やメンテナンスをしたり、製造のコストや効率を考えてシステムを最適化したりします。
「割れやすい」というガラスの特質上、製造や輸送にも細心の注意を払う必要があり、製品の品質維持に関わる重要な仕事を担うことになります。
営業
自社で開発・製造したガラスを、さまざまなメーカーに販売するのが営業の仕事です。多くのガラスメーカーは販路を海外にへと広げているため、国内だけでなく、海外のメーカーに売り込むことも考えられます。
海外の新興国をターゲットにするビジネスが増えることも予測されるので、英語力や海外経験があると、活躍の場も広がるでしょう。
クライアントと良好な関係を築き、ニーズをヒアリングする必要もあります。各業界の展望なども考慮して今後の課題を敏感にキャッチし、新商品の企画などをしていくことも求められます。
ガラス業界で求められる人材は?
ガラス業界で求められるのはどんな人材なのでしょう?アピールするといいポイントをご紹介します。
高い英語力や海外経験がある人
今や多くの業界で世界的な展開が進んでいるため、ガラス業界に限らず英語力はあるに越したことはありません。ガラス業界でも大手をはじめ海外に拠点を持っている企業は多く、海外転勤の可能性があります。
国内勤務であっても、海外企業との打ち合わせなどの機会があることも考えられます。そのため、ビジネスシーンで使えるレベルの英語力があれば、大きなアピールポイントとなります。
行動力・挑戦心がある人
海外企業との競争や、海外への進出のため、新たな価値を持つ商品を開発したり、全く異なる分野へチャレンジしたりする機会が訪れることも予想されます。
そんな時にも物怖じせず、自分が先頭に立ってやってみようという、挑戦心・行動力があることを上手くアピールできるとよいでしょう。
コミュニケーション能力が高い人
仕事において何か達成するときは、自分が主体となり周りの人を巻き込む必要があります。そんな時欠かせないのがコミュニケーション能力です。
人付き合いが特別上手だったり、面白い話ができたりする必要はありませんが、自分の考えや思っていることを人前で堂々と話せるように訓練しておく必要があります。
最後に
業界研究や企業研究をしっかり行い、考えられる対策には積極的に取り組み、後悔のない就活にしましょう。
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