「理学部は就職できない」という噂が流れることがあります。そんな理学部の物理学科に在籍する方も「就職は大丈夫なのかな?」「本当に就職が不利なんだろうか?」と不安に感じているのではないでしょうか。
そこで今回は、物理学科の卒業生の就職の状況について解説します。また、物理学科に人気の業界や職種、就職対策などもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
- ・物理学科の就職は難しいって本当?
- ├物理学科は就職で不利ではない!
- ├論理的思考力の高さは就活でも高く評価される
- └根拠をもって説明できる能力も役立つ
- ・物理学科の就職先として人気の業界とは?
- ├メーカー業界
- ├IT業界
- ├金融・コンサル業界
- └教育業界
- ・物理学科の就職先として人気の職種とは?
- ├研究・開発職
- ├システムエンジニア
- └クオンツ
- ・物理学科の学生がしておくべき就職対策
- ├物理学科で学んだことをどうアピールにつなげるか考えておく
- ├プログラミングを勉強しておく
- └インターンシップに参加する
- ・最後に
物理学科の就職は難しいって本当?
物理学科は就職で不利ではない!
理学部が「就職で不利」と言われる最大の理由は、実用性の低い研究をしていると思われ、企業でも戦力になれないと考えられる傾向があるためです。
しかし、大学での専攻と企業の事業内容が一致しないことは、新卒就活ではよくあること。そのため、「理学部だから」「物理学科だから」というだけで、就職が不利になることはありません。
論理的思考力の高さは就活でも高く評価される
物理学は「現象を立証すること」を重視しており、あらゆる現象に対して実験を繰り返し、それをレポートや論文にまとめることが求められます。
実験では得られたデータをもとに、論理的に結果をまとめていきます。決して感情的・主観的に操作してはいけません。このような論理的思考力はどんな企業でも必要とされるスキルであるため、就職活動で上手にアピールできれば高く評価されるでしょう。
根拠をもって説明できる能力も役立つ
物理学科の学生は、自身の研究についてゼミや学会などで発表する機会も多くあります。根拠のない曖昧な説明には容赦なく指摘が入るため、発表機会を経るごとにデータに基づきながら自分の考えを主張するスキルが高まっていきます。このように根拠をもった説明ができる能力も、企業での営業やプレゼンで役立ちます。
物理学科の就職先として人気の業界とは?
メーカー業界
物理学科の就職先としては「メーカー業界」が人気です。大手メーカーは給与面や福利厚生面でも安心感があるのも、人気の理由の1つです。
物理学科では力学・電磁気学・量子力学・統計力学・熱力学などを学びます。電機メーカーや半導体メーカー、医療機器メーカーではこれらの知識をもとに、新たな製品の開発や既存の製品の改善などが行われています。
IT業界
「IT業界」も物理学科の学生に人気の高い就職先の1つです。特に、素粒子の研究室でビッグデータ解析のためのプログラミングに取り組んでいた人には、親しみを持ちやすい業界となっています。
それ以外にも曖昧な表現を許さず、論理的に考えることのできる物理学科の学生にとっては、IT業界でのシステムやネットワークの構築はなじみやすいでしょう。
金融・コンサル業界
意外なことに「金融・コンサル業界」に就職する、物理学科の学生も少なくありません。
物理学科ではデータに基づき、論理的に考え、分析することが求められます。この論理的思考力や分析力は、新たな保険商品を作る「アクチュアリー」、数学・物理学に基づいた投資や金融商品開発に取り組む「クオンツ」、企業の経状況を分析した上で提案を行う「コンサルタント」として生かしやすい能力なのです。
教育業界
物理学科に進学した学生は「物理学が好き!」という人が多いはずです。そのため、物理学科の学生の中には、「もっと多くの人に物理学の面白さを伝えたい!」と考え、理科や物理の教員として活躍する人も少なくありません。
曖昧さのないはっきりした説明ができるのも、教員になった際に役立てやすいスキルです。
就活は何から始めるべき?と迷っているなら
物理学科の就職先として人気の職種とは?
研究・開発職
物理学科に人気の職種としては「研究・開発職」が代表的です。特にメーカーでは、製品の安全性や耐久性を測定する実験や、新たな製品を開発するための研究などが必要です。
実際に製品を使った実験を行う前にデジタル上でシミュレーションを行う業務などでも、物理学の専門知識を生かすことができます。
システムエンジニア
「システムエンジニア」としても、物理学科の学生は活躍しています。システムエンジニアは、クライアントのニーズを丁寧に聴き取った上で、そのニーズに対応できるシステムの設計・開発に取り組む必要があります。
クライアントの発言を具体的な形に落とし込み、根拠に基づいた提案ができる物理学科の学生はシステムエンジニアに向いています。
クオンツ
金融業界への入社を目指す物理学科の学生は「クオンツ」を志望しているケースがほとんど。
クオンツはこれまでの株価や企業の業績など過去の膨大なデータを数値化した上で、数学的理論を使って将来の市場を予測し、分析・予測結果をもとに投資に関する戦略を立て、金融商品の考案や開発を行います。
勘や経験に惑わされず、データに基づいた分析が必要なクオンツは、物理学科の学生に向いています。
物理学科の学生がしておくべき就職対策
物理学科で学んだことをどうアピールにつなげるか考えておく
物理学科で学ぶことは、仕事で直接いかせるような内容でないことが多いです。これが物理学科が就職に不利だと言われる理由のひとつでもあります。
だからといって実際に就職で不利になるとは限りません。大学の専攻と就職先が一致していない人は多いです。
大切なのは、自分の長所や強みをいかにアピールするかです。学んだ内容だけでなく、ロジカルシンキングやプレゼンのスキルなど、これまでの学びで身につけたスキルや強みをどう仕事にいかせるかを考えてみてください。
プログラミングを勉強しておく
物理学科には理系の知識や論理的な思考をいかして、IT系に進みたいと考えている学生も多いです。IT系企業への就職を目指すなら、プログラミングを勉強しておくのがいいでしょう。
物理学科ではプログラミングの授業が少ないため、独学でもいいので基礎的なことを学んでおくと就活でもプラスになります。
インターンシップに参加する
就活対策として物理学科の学生におすすめしたいのが、インターンシップに参加することです。インターンシップにの内容は企業やプログラムにより違いますが、社員の方との座談会があることが多く、仕事や職場について直接質問することができます。
長期インターンシップなら、エンジニアとして実際にサービスやプロダクト開発に関わることができる可能性もあります。
気になる企業や職種があれば、積極的にインターンシップに参加してみてください。
最後に
物理学科の就職は決して不利ではありません。むしろ、物理学科では、あらゆる分野に応用できる知識を学ぶことができるため、幅広い業界・企業で活躍できる可能性を持っているのです。物理学科だからと卑屈にならずに、自分の持つ強みやスキルを理解し、積極的にアピールするようにしましょう。
また、どれだけ「論理的思考力がある」「説明力がある」と言っても、面接でしどろもどろになってしまうと「嘘をついている」と思われ、かえって印象が悪くなってしまいます。面接対策もしっかり取り組んでおきましょう。
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