就活生は企業の「平均勤続年数」をどう読むべきか

企業研究を行う上で、長く働ける会社かどうかの指標の1つとして「平均勤続年数」というものが使われます。

一般的には平均勤続年数が長ければホワイト、短ければブラック、などと言われることがありますが、一概にそうとは言えません。他に併せて見るべき指標がありますし、自分がどういう働き方をしたいのかによっても平均勤続年数の解釈は変わってきます。

今回は、就活生向けに「平均勤続年数」の読み取り方について徹底解説します!

就活生は企業の「平均勤続年数」をどう読むべきか
目次

平均勤続年数とは?どうやって調べるの?

平均勤続年数とは何か

平均勤続年数とは、現在その会社に在籍している社員の勤続年数の平均のことです。その会社に入社した人が退社するまでの期間の平均ではないので注意が必要です。

例えば、大半の社員が新卒で入社して定年まで勤める会社であったとしても、最近拡大していて若手社員の割合が多ければ平均勤続年数は短くなり得ます。

(具体例)
簡略化のために、社員数が3人(3年目、6年目、12年目)という会社を想定すると、平均勤続年数は(3+6+12)/3=7年となります。

「長く働ける会社であるかどうか」の指標として捉えられていますが、平均勤続年数の数字だけを見てそれを判断することはできません。

平均勤続年数の調べ方

会社が公式に情報を公開している場合もありますし、有名企業の場合は「社名 平均勤続年数」でGoogle検索すれば就活生や転職希望者向けのサービスなどで情報が見つかる場合が多いです。

公開していない場合は、OB・OG訪問などで質問する手もあります。平均勤続年数が短い場合は、理由も併せて聞くようにしましょう。次章で解説しますが、平均勤続年数が短いか長いかだけでは会社の実態は見えてきません。どんな理由で短いのか、あるいは長いのかを確認しましょう。

「平均勤続年数」が長い業界・企業のランキングを見てみよう

「平均勤続年数」が長い業界ランキング

業界サーチ.comが発表している「業界別 勤続年数ランキング トップ10 (2018 - 2019年)(https://gyokai-search.com/5-kinzoku.html)」を見てみると、平均勤続年数が長い業界は次のようになっています。

1位 電力
2位 電線
3位 時計
4位 重電
5位 二輪車・バイク
6位 OA機器
7位 百貨店
8位 家電
9位 ガラス
10位 ビール

11位以下は、「自動車」「石油」「製粉」「電気通信工事」「ガス」と続きます。全体的にみるとインフラ関連や製造業界が多いようですね。インフラやメーカーは歴史のある大企業が多いので、「平均勤続年数」が長くなるのも納得です。

「平均勤続年数」が長い企業ランキング

プレジデントオンラインが作成した全上場企業の「平均勤続年数ランキング(2019年版)(https://president.jp/articles/-/31578?page=1)」をみると次のようになっています。

1位 三菱製紙(パルプ・紙)
2位 平河ヒューテック(非鉄金属)
2位 東武鉄道(陸運業)
4位 桂川電機(機械)
5位 KNT-CTHD(サービス業)
6位 リーガルコーポレーション(その他製品)
7位 富士通フロンテック(電気機器)
8位 キャノンマーケティングジャパン(卸売業)
9位 松尾電機(電気機器)
9位 本田技研工業(輸送用機器)

1位は三菱製紙で、平均勤続年数は25.4年となっています。ランキング上位の企業は平均年齢が45歳〜50歳までと高い企業が多いです。一般的な企業の平均年齢は35歳〜40歳くらいなので、平均年齢の高さも大きく影響していそうです。

「平均勤続年数」が短い企業ランキング

プレジデントオンラインが作成した上場企業の「平均勤続年数ランキング(2019年版)(https://president.jp/articles/-/31664?page=1)」を見てみると、平均勤続年数のワーストランキングは次のようになっています。

1位 マイネット(情報・通信業)
2位 INEST(卸売業)
3位 GA technologies(不動産業)
4位 シェアリングテクノロジー(情報・通信業)
4位 UUUM(情報・通信業)
4位 メルカリ(情報・通信業)
4位 カオナビ(情報・通信業)
8位 NATTY SWANKY(小売業)
9位 マネーフォワード(情報・通信業)
10位 ラクスル(情報・通信業)
10位 アドベンチャー(サービス業)
10位 Gunossy(サービス業)

IT系企業や情報・通信業の企業が多いですが、こちらのランキング上位の企業は平均年齢が29歳〜30歳の企業が多く、平均年齢の低さも影響していると考えられます。企業の創設から時間が立っていないベンチャー企業が多く、それも影響しているでしょう。

「平均勤続年数」だけでは判断できない

今回は平均勤続年数が長い企業と短い企業を紹介しましたが、平均勤続年数が短いからといって、やめる人が多いブラック企業であるというわけではありません。

企業のフェーズや平均年齢など様々な要因が影響するものなので、平均勤続年数だけで企業を判断するのは得策ではないでしょう。

ここからは「平均勤続年数」と一緒に見るべき項目など解説していきます。企業の平均勤続年数データを正しく見ることができれば、就活や企業選びに役立つはずです。

平均勤続年数が短いとブラック?他に見るべき指標とは

平均勤続年数は企業のことを知る指標の1つですが、他の情報と合わせないとその数字の意味することは理解できません。平均勤続年数と一緒に見るべき指標として次のようなものが挙げられます。

企業の年齢

企業の年齢が若ければ当然平均勤続年数は短くなります。例えば10年前に創業して急成長したベンチャー企業であれば、その社員の勤続年数は最長で10年ですから、平均勤続年数が2〜3年程度になることも普通です。しかし、もしかするとその企業の経営はすでに安定しており現在勤めている社員の多くは今後長く勤めるかもしれません。

このように、最近できたばかりの企業については平均勤続年数が短くなるのが当然であり、昔から存在する企業と平均勤続年数を単純に比較して長く働ける会社であるかどうかを判断するのは無理があります。

企業規模のこれまでの推移

昔からある企業でも最近成長して新卒をたくさん採用したという場合は若手社員が多く平均勤続年数は短くなりますし、逆にここ数年業績が悪くて新卒採用を減らしていれば平均勤続年数は長くなります。

このケースだと平均勤続年数が短いことは会社が成長していることを意味し、平均勤続年数が長いことは会社が衰退していることを意味します。企業規模や売上がこれまでどのように推移しているかという情報にも着目しましょう。

企業の離職率

これは1年や3年など一定期間に離職した人の割合を指し、先述の企業の年齢や規模の推移の影響をあまり受けずに「どれくらいの人が辞めているか」の指標になります。やめずに長く働く人が多い会社に入りたいなら、離職率が低い会社を狙うのが良いでしょう。

起業や転職志向の社員が多いか、主な転職先や転職理由

ベンチャー企業や外資系企業に多いのですが、初めから長く勤めるつもりはなく起業や転職してキャリアアップしようという志向の社員が一定数いるという企業もあります。こういう企業は平均勤続年数は短くなりますが、長く働きたい人にとって長く働きにくいとは限りません。

優良と言われる大手企業の中にも、社員の企業や転職を好ましいこととして捉えて推奨しており、かつ長く働く社員も大事にするような会社もあります。この場合はネガティブに捉える必要はありませんね。 退社している人がリストラや激務などで長く働けなくて退社しているのか、キャリアアップなどポジティブな理由で退社しているのかをOB・OG訪問などで質問してみるのも良いでしょう。

結婚して辞める人が多いかどうか

一般的に女性の方が結婚して退社する割合が多いので、女性比率が高ければ平均勤続年数は短くなる傾向にあります。本人の希望で退社しているケースが多ければ、平均勤続年数が短くても気にする必要はありません。

企業間の平均勤続年数や離職率を比較するとき、女性比率や寿退社が多いかどうかも調べてみると良いでしょう。

平均勤続年数が長い企業、短い企業の特徴

あなたは1つの企業で長く働きたいと思っていますか。それとも、転職も視野に入れて働こうと考えていますか。また、どんな雰囲気、制度の会社で働きたいと考えていますか。どんな企業が良いかというのは一概にはいえず、あなたがどんな働き方をしたいかによって変わってくるのです。平均勤続年数の長い企業、短い企業のそれぞれの特徴を見てみましょう。

平均勤続年数が長い企業の特徴

長く働いている人が多いのだから、長く働きやすい会社であるというのはほぼ間違いなく言えます。具体的には、

・経営が長い間安定している
・長く働くほど賃金が上がっていく
・極端な激務ということはない
・待遇が悪くない

といった良い面があると考えられます。1つの企業で長く働くなら、これらは大きなメリットになるでしょう。

悪い見方をするなら、

・良い条件で他社に転職できるようなスキルがつかない
・年功序列が厳しく、若手は意見を言いにくい
・年配社員が多いため管理職候補が詰まっていて出世しにくい

といったことが考えられます。転職も視野に入れてどんどんキャリアアップしたい、若いうちから活躍して出世したい、という人にはこれらはデメリットとなるかもしれません。

平均勤続年数が短い企業の特徴

平均勤続年数が短い企業によくある特徴を挙げるなら、上記の裏返しとなりますが、

・経営が安定していない(急成長中ということもあり得る)
・激務などで離職率が高い
・年功序列があまりなく実力主義
・転職しやすいスキルがつく(IT業界などは全体的にこの傾向)
・若手社員が多いため風通しが良く、結果を出せば出世しやすい

といったことが考えられます。もちろん上記はよくある特徴を挙げただけなので、当てはまらないこともあるでしょう。一般論ですが、若いうちから出世したい人にはこのような環境も合っているかもしれません。

平均勤続年数にとらわれず自分に合った企業を選ぶには

企業選びの軸を決めておこう

企業選びの指標にはさまざまなものがあります。平均勤続年数だけでなく、企業理念、社風、給与、福利厚生、職場環境、残業時間なども参考にする人が多いでしょう。

すべての条件が揃った理想的な企業は少ないですし、条件が揃っていたとしても自分に合うとは限りません。

企業選びで大切なのは自分が一番大切にしたい「軸」を決めておくことです。仕事内容なのか、成長できる環境なのか、雰囲気の良さなのか。いくつかの条件を選んで優先順位をつけておくことで企業選びがスムーズになります。

正しいデータの見方を学ぼう

企業選びの際には、会社四季報など企業のデータがまとまった資料を参考にするのもおすすめです。専門的な知識がないと難しいと感じる項目もありますが、これを機に正しいデータの見方を学ぶのもいいでしょう。

財務状況などから企業の経営状況を把握できるようになると、将来仕事でも役立てることができますし、投資でも役立つ知識が身につけられます。

OB・OG訪問をしよう

ネット上の噂や口コミなどは信憑性にかけ、あてにならないことも多いです。正しい情報を得るには、面倒でも会社を訪問したり、社員の方と直接話ができる方法で情報を収集するのがいいでしょう。

気になる企業がある場合は、積極的にOB・OG訪問を行うのがおすすめです。OB・OG訪問なら、気になっていることを社員の方に直接聞けますし、データからは読み取れない情報も得られます。

部署や職種によって雰囲気や働き方が違う企業も多いので、志望度の高い企業なら、複数の人に話を聞いてみるのがいいでしょう。

インターンで企業の雰囲気を覗いてみよう

実際に企業がどのような雰囲気であるかを知るには、インターンシップに参加するのが1番です。大学4年生になる頃には大学生向けの会社説明会も多く開かれますが、1〜3年生のうちはあまり説明会は開かれません。そこで、インターンシップへの参加がおすすめです。

インターンシップとは企業で実際に仕事を体験できる制度で、多くの企業にて実施されています。数ヶ月にわたり実際に仕事をして給料をもらえるような長期インターンシップもあれば、1日〜数週間程度で気軽に参加して企業の雰囲気を知ることができる短期インターンシップもあります。

どちらも学年を問わず参加できるものが多くありますので、平均勤続年数などの数字だけではわからない企業の中身をもっと知りたいと思ったら、インターンシップに参加してみてはいかがでしょうか。企業のことを知るだけでなく、就活に有利になるなどのメリットもあります。

まとめ

・平均勤続年数とは、現在その会社に在籍している社員の勤続年数の平均のこと
・会社の公式情報やネット検索で調べられる情報などでチェックしよう
・企業の年齢や規模の推移、退職者の理由など別の指標と合わせてチェックしよう
・自分が将来どんな働き方をしたいかと照らし合わせながら平均勤続年数を読み取ろう

いかがでしたか。平均勤続年数は企業を知る上で重要な情報ですが、一概に平均勤続年数の数字だけで企業の価値を判断せずに、他の指標や自分の志向とも合わせて読み取るようにしましょう。数字だけでわからないことは、OB・OG訪問や会社説明会で質問してみるのが一番です。

自分がどう働きたいかを考えながら企業研究を進めて、自分に合った企業を見つけましょう。企業を知るためにインターンシップに参加してみるのもいいでしょう。

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