東京の人材コンサルティング企業としてヘッドハンティングを行う会社の中で、唯一、web・IT業界に特化している、ブライエッジ株式会社。企業が抱える課題の7割は、「人」に関することだと言われている中で、「人」にとことん向き合い「仕事を求める人」、「人を求める企業」の課題解決に真剣に、真摯に取り組んでいます。なぜこの世界に飛び込み、そして創業したのか。インターンシップガイド編集部が、代表の諸田さんにお話を伺いました。
井の中の蛙、気づかされた大学時代。
―諸田さんの大学時代は、どんな学生でしたか?
高校卒業後の進路を考えたときに、大学でこれと言ってやりたいことがなかったため進学する道を選ばず、得意なことを仕事にしようと美容師になりました。しかし、2年程働いたときに「美容師の世界は、オーナーにならないと稼ぎ辛いのではないか」と思い、起業するということに興味を持ったので、経営を学びたくて大学に行ったんです。ただ、振り返ると大学に入ってとにかくアルバイトに没頭していた思い出の方が大きいですね。高校生の時からそうでしたが、働くのが楽しくて、大学での勉強よりもそちらにばかり一生懸命でした。美容師のときも、早朝から深夜まで働くことが毎日でしたし、仕事を楽しむというのは、この頃が今の自分の基礎になったかもしれません。
―アルバイト以外で、諸田さんに影響を与えた出来事はありますか?
はい、就職活動で真剣に取り組む学生に出会ったときですね。当時アルバイト漬けの日々で多少のお金もあって、車を買ったり、遊びに出かけたり、好きなことはやれていたと思うので、充実した人生を送れているって自信はあったんです。
しかし、大学2~3年ぐらいのときに、誰という特定の人ではないんですが、就職活動に真面目に取り組んでいる同じ学生を見て、自分自身がどれだけアホなことしてきたんだろうって気づかされました。私がアルバイトをしたり好きなように遊んでいる間に、彼らはいろいろな企業の情報収集をしていたり、就職活動に対してとても真剣に取り組んでいました。彼らより年齢では2年も自分が出遅れてしまっているのに、このままではまずいという危機感を改めて感じました。
―これまでにない気づきを、同じ大学生から得たんですね。
自己成長の為に数万円を支払って、社会人向けの教育研修とかに参加していたのが、もう私にとっては衝撃的でした。そこまでやっている人達がいるなんて、想像以上だった。自分の世界しか知らない、井の中の蛙だったんですよね。直接なにかを教えてもらったわけではないですが、将来のことをあまり考えずに好き勝手楽しんできた自分が変わるきっかけをもらいました。そこからは、私もアルバイトで得たお金をはたいて、社会人向けの教育研修などに積極的に参加するようになりました。参加するたびに、自分の出来なさを思い知り、働くことを意識して懸命に活動する学生たちを尊敬するようになったんです。これをきっかけに、「人」に対する興味が湧いてきました。
自分も変わったように、なにか人に与えることを。
―「人」のどういったところに魅かれたんでしょうか?
「人が変わる瞬間」ですね。私自身、同じ大学生から気づきをもらって変わることができた。だから、変わるきっかけを与えてもらったように、人が変わる瞬間に関われないかと思い、就職活動では人材業界を見てまわりました。
就活を終えて、人材紹介業でインターン生から始まり、のちに社員となりました。レイヤーの高いエグゼクティブと呼ばれている人たち向けに仕事をしていました。その後、当時の上司が会社を立ち上げて、26歳の時にそこに参画しました。その会社ではヘッドハンティングを行い、サーチ型の人材紹介の市場に対して以前の人材紹介の手法とはまた違う重要性を感じ、それが起業の軸になりました。
―ヘッドハンティングの面白みとはなんでしょうか?
労働人口の8割が、求人サイトには登録していないけど、いい話があるならば考えてみたいとか、転職意思が低い、いわゆる潜在層と言われている人たちなんです。求人サイト等に登録している人たちではなく、潜在層の活躍している人たちにアプローチをかけていく。企業経営者のニーズは実際にありますし、アプローチがされていないところに、チャレンジしていくのはやりがいがあると思っています。そして、紹介した方が社内で活躍し、その会社も伸びていくのを見ると、少なからず自分たちも貢献ができていると感じることができます。やはり会社の成長の一端を担う為に、企業経営者のビジョンと真剣に向き合う、そこに面白みがあると思います。
―起業をされるきっかけは他にもあったんでしょうか?
元々学生時代から、起業をしたい気持ちはありました。でもそう思っていながらも結局は、仕事経験がないとか、お金がないとか言い訳していたんです。だから、新卒で普通に就職してサラリーマンの道を選びました。しかし、ある時大学の友人と久々に会ったときに、「そういえば起業はどうなった?」と言われて、思い出させてくれたんです。
そこから、友人と一緒に起業しようという話になり、何もない自分にそう言ってくれるのが嬉しくて、これはきっかけになると思っていました。ところが、ある夏にその友人が水難事故で亡くなってしまうということがありました。人生って時間は有限だとか、一日一生の言葉は頭では理解していたつもりでしたが、結局体現できていない人生を送ってきていたと、気づかされたんです。
―友人の死が、起業を決意する大きなきっかけになったんですね。
一緒に起業しようと話していた友人だったので、彼の死によって、ずっと言い訳して過ごしてきた自分に気づき、もうここで起業しなかったらきっと一生できないし後悔すると思いました。だから、最近のベンチャーの社長さんたちのように成し遂げたいことがあるとか、志を持っていたかというと、そんなかっこいいものではなかったんですよね。どちらかというと、今やらなかったら一生後悔するっていうのと、友人のためにもやりたいっていう想いが強かったという感じです。
100万倍嬉しいのは、社員が喜んでくれること。
―実際に、起業されて嬉しかったことはありますか?
本当に一番嬉しかったのは、社員が「ブライエッジで働いててよかった」と言ってくれたことですね。仕事をしていて嬉しいことはたくさんありますが、その100万倍嬉しかった。(笑)私の座右の銘が「大切なものを大切にできる生き方をする」なのですが、大切な社員が幸せな思いをしてたら、やってきてよかったなって思いますね。
―社員の方たちが大切だという気持ちが伝わってきます。社内のコミュニケーションも活発なのでしょうか?
そうですね。いい意味で壁がないと思っています。それに、毎朝“朝会”というのをやっていて、行動指針にも掲げている「感謝」や「素直」といったような言葉をテーマに、1人1分で話をする時間を作っています。そこには「人」を大切にしている会社なので、感受性が高くあってほしいという思いがあるんです。毎日朝会で話すテーマがあるので、自然とアンテナを張って生活することにつながります。それと、1分の中にプライベートな話も出てくることも多く、社員の状態を感じることができますし、“朝会”はいい取り組みだと思っています。
―最後に、学生のみなさんにメッセージをお願いします。
ぜひ、何でも良いので時間を忘れて好きな事に没頭するという経験をしてほしいですね。自分自身がそこにこだわって何かをやる遂げる時、自分の気づいていないところで成長につながっていると思います。例えばサッカーやボードゲームとかだと、勝敗があるので絶対に勝つためにやっていますよね。何かに集中するとき、熱中しているときは、基本的にできる理由しか考えていないと思うんです。そういった経験が、ビジネスをする上でも重要だと感じます。
人の成長は、「なりたい自分」、「危機感」、「人からどう思われたいか」この3つの点がきっかけになると思っています。もし仮に、没頭できるものがなくても、この3つのどこかに触れるような機会を増やしていってほしいですね。
ブライエッジ 代表者プロフィール
ブライエッジ株式会社 代表取締役 諸田 眞仁
大学在籍時に幹部人材に特化したエグゼクティブを得意とする人材紹介企業に入社。
その後、スカウト・サーチ型の人材コンサルティング企業の立上げをおこない、数多くのエグゼクティブ案件を担い、大手・中小規模問わず、経営者の課題解決に努める。2013年1月にブライエッジ株式会社を創業。
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