近い将来、地球の資源は枯渇してしまうと言われています。そんな中、中古自動車部品に目をつけ、徹底的なマーケティングを駆使し、カーディーラーとのマッチングビジネスを行っているのが株式会社パーツワンです。「自分で考えを持って行動できる人を育てる」という同社のインターンには、単に「車が好きだから」ではなく、「自分を試したい!成長したい!」という人が集まってくると言います。資源枯渇に立ち向かう同社のビジネスや、インターンの内容について、代表の長倉さんにお話を伺いました。
新しい経済価値「サーキュラーエコノミー」を中古自動車部品の流通で実現する
―まずは、詳しい事業内容について教えてください。
はい、当社は少々珍しいビジネスを行っていますので、先に業界の背景からご説明しますね。世界的に人口が増え続けている中で、このままいくと地球の資源は確実に枯渇します。モノを作る時点から、使用後のリサイクルを視野に入れておくことが大切です。それが、今注目されている「サーキュラーエコノミー(循環型社会)」ですね。端的に言えば、「無駄を富に変える」という考え方です。ヨーロッパではすでに主流となっていますが、日本はまだ走り出したばかり。私たちはここに目をつけ、日本全国の自動車リサイクル工場で眠っている部品とカーディーラーを結びつけるビジネスをしています。
―「部品とカーディーラーを結びつける」、ここについて具体的にお聞かせください。
日本では年間約500万台の新車が販売されていますが、これは同時に、500万台の中古車も生まれるということになります。中古車の一部は新たなオーナーの元へ販売されますが、大部分は車としては再利用できず、解体工場に運ばれます。それでも、車としての価値がなくなってしまっただけであり、部品としては宝の山なんです。
一方、カーディーラーと呼ばれる自動車販売業者では車の修理も行っており、その都度部品が必要になります。これまではカーディーラー側が提携の自動車リサイクル工場と連絡を取り合っていましたが、自動車リサイクル工場の数が少ない首都圏では競争率が高く、また部品の選択肢も限られます。ここに私たちが入ることによって、全国の自動車リサイクル工場にある部品の中から、もっとも適したものがカーディーラーさんに渡り、車体に組み込まれてオーナーの元に届きます。
―このビジネスを始めたきっかけはなんだったんでしょうか?
20代前半の頃は車が好きでしょっちゅう乗っていました。その分修理する機会も多く…そのための中古パーツを自分で買いに行っていたんです。当時はお金もなくて(笑)。それが原体験になっているかもしれません。30代の時に働いていた商社が環境事業を展開しており、私は日本全国から不要になった車を集めて、自動車リサイクル工場に振り分ける仕事をしていました。ところが2年ほどで事業部が解散することになってしまったんです。私はこのビジネスが社会に必要だと感じていたので、このタイミングで個人事業主としてスタートしました。
―長倉さんと同じように、車好きな方が集まってきそうな事業ですよね。
実は、そうでもないんです。入社時点で車が好きだった人、車に詳しい人はほとんどいませんでした。もちろんそういった方も大歓迎ですが、当社の仕事で大切なのはオーナーとディーラーのニーズをより深く、より正確に掴むこと。例えば、北海道のディーラーを経由して「◯◯という車種のドアをください」という連絡があったとします。北海道であれば車通勤が中心ですので、ほぼ毎日使われるものだと予想できます。さらには積雪の中に含まれる砂利によって、車体の下の方はかなり傷んでいるかもしれません。そうなると多少見た目が悪くても安いものの方が喜ばれるはずですので、そういうドアがないか解体事業所に問い合わせます。これが、オーナーのニーズを掴む際の思考プロセスです。
一方ディーラー側にも「できる限り状態の良いものを使いたい」など、それぞれこだわりがあります。言葉で聞けなくても、そのディーラーの立地だったり、店内にカフェを設置していたり、キッズコーナーをアピールしていたり、といった情報から、こだわりを掴んでいくのです。オーナーのニーズとディーラーのニーズ、双方を加味しなければなりません。そういう意味では、単に車種の知識があるだけの人よりも、相手と仲良くなることが上手な人や、相手の話から多くのことを読み取れる人の方が適していると思います。
―営業の基礎的なスキルも身につきますね。学生のうちに経験しておけば、ビジネスマンとしての地盤を作れそうです。
多くの会社には営業のためのトークスクリプト(台本)があり、「こう言われたらこう答える」というマニュアルが決まっています。当社には、そういったトークスクリプトは一切ありません。考え方や戦術の部分はしっかりお教えしますが、そのあとは各々の考えのもと、取り組んでもらっています。この考え方は他の会社に行っても生きるはずです。
これからの日本は、「もったいない文化」を輸出する時代
―これからのビジョンについて教えてください。
当社の道のりとしては、3つのフェーズを想定しています。1つめは、今まであまり価値が見出されなかった自動車のリサイクルパーツに対して、価値を生み出し、ディーラーとマッチングするビジネス。2つめは、このビジネスを業界未経験者の組織で成功させ、そのノウハウを集約し、パートナー企業に提供すること。そうすることでこの業界を、経験に関係なく参入・活躍できる業界にしたいと思っています。今すでに、この2つめのフェーズの準備に取り掛かっています。3つめは、国内で蓄積したノウハウを、東南アジアに輸出すること。日本の環境技術や環境に対する考え方は、世界からも注目が集まっています。そういうものを海外に持っていき、その国の環境水準を上げたいと思っています。
―海外も視野に入れていらっしゃるんですね。
これまで日本は、製品を作って海外に売ってきました。特に自動車・家電ですね。そうしてメイドインジャパンは有名になりましたが、今日、生産拠点が中国や東南アジアに移っている産業はすでに少なくありません。これからの日本が力を入れるべきは、文化の輸出です。数年前にも「カワイイ文化」が話題になりましたよね。日本のアーティストがどんどん海外に渡ったり、海外からの観光客が増えたりもしました。そんな「カワイイ文化」の次は、「もったいない文化」の時代だと思っています。特に東南アジアは大きな環境破壊問題、ゴミ問題を抱えていますから。
「仕事とは何なのか」。自分なりの答えを掴めるインターン
―インターン生にも、そういったダイナミズムに触れられるチャンスはあるのでしょうか?
むしろ当社では、すでにフェーズ3までを見越した上での人材育成を行っています。だからこそインターン生にもいろいろな事業を経験してもらい、多くの考え方に触れることで、自らが発信者になれるような材料を提供しています。実は私達の業界では、インターン採用や新卒採用をメインで行っている企業はありません。そんな中で、当社は「どの会社に行っても1人のビジネスマンとして成果を残せる人」の育成に力を入れています。ですから、ここでしか通用しないことは教えていないんです。
―インターン生や新卒のマネジメントに対する、強いこだわりを感じます。
自分で頭を使って、「これをしたらどうなるか」という予測が立てられるようになると、仕事って一気に面白くなるんですよね。社会で求められるのは、「正解に早く近づくこと」だと私は思っています。だから、自分で考えを持って行動できる人は強いんです。何年もかけて1アクションを起こすより、短い期間で何度も試す方が、失敗を積み重ねながらも正解に早く近づけますから。そのために、アウトプットの場はたくさん作るようにしています。
―具体的に、どのような取り組みを行っているんでしょうか。
例えば朝のミーティング時にはテーマを設定し、それについて20分で考察した上で5分間発表をしています。また当社はいくつかのサイトでインターン採用を行っていますが、募集記事を書いているのはインターン生です。さらに3月には、インターン生の発案・運営で、年間予算数百万円の新プロジェクトがスタートしました。
―学生としても、ただ勉強するだけでなく、その先の「働く」を実感できるインターンですね。
はい。少し厳しいかもしれませんが、面接では「うちが君を採用し、給料を払うメリットは何か」を必ず聞いています。すると、「やってみたい」「学びたい」だけで来ていた学生が「仕事として成果を残さなければいけない」とう発想に変わるんです。今、本当に密度の濃いインターンを提供できている会社はそう多くないと思っています。実際当社のインターン生からも、他社で経験したインターンについて「アルバイトと同じことをしていた」「何をしても褒められるだけで、本当のフィードバックがなかった」といった声は多く聞きました。
―長倉さんご自身にとって、「働く」とはなんなのでしょうか?
自分を表現できるもの、でしょうか。働くことを通して人から認められたり、求められたり、仕事を通して得られるこれらの経験は、自分らしさを認識する方法の1つだと思っています。インターンもそうですが、「自分の発信による影響力を試せる」、その面白さは仕事でしか得られないと思っています。
パーツワン 担当者プロフィール
長倉 達也
代表取締役
1973年東京都町田市生まれ。幼少の頃はサッカー中心の生活。高校生の時にバイク・車に興味を持ち、高校卒業後は自動車専門学校に進学する。自分でエンジンを組み立てたりサーキットへ走りに行くなど、好きなことに没頭する学生時代を過ごし、卒業後は自動車鈑金工場に就職。2社目で営業の世界に飛び込み、さらに30代で大手の総合商社への転職を経験する。事業部解散を機に退職し、個人事業主となる。
2009年に株式会社パーツワンを創業。2014年よりインターンシップ制度の導入をスタートし、長期、短期含め500名以上のインターン生に関わる。現在、サーキュラーエコノミーと言う新しい経済価値の推進者として「無駄や遊休資産」に対して価値を見出すビジネスモデルを構築中。
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