インターンシップで給料はもらえる?アルバイトとの違いや扶養、確定申告の有無を解説

インターンシップとは就業体験のことを指し、法律で定められている「労働」と見なされる場合には給料が発生します。給料をもらいながらも、スキルやビジネスマナーを身につけられるのがメリットですが、扶養や確定申告などに注意が必要です。

本記事では、給料ありのインターンシップとアルバイトの違いや、業種別の相場例、選び方などをご紹介します。

目次

インターンシップで給料はもらえるのか?

インターンシップには、給料がもらえるものともらえないものの両方が存在します。ここでは、給料がもらえる条件や給料ありのインターンシップの例をご紹介します。

給料の有無は内容で決まる

インターンシップで給料がもらえるかは、プログラムの内容によって変わってきます。具体的には、労働基準法で定められる「労働者性」が認められると給料が発生します。厚生労働省は、インターンシップにおける学生の労働者性について以下のように定めています。

☑ 見学や体験的な要素が少ない。
☑ 使用者から業務に関わる指揮命令をうけている。
☑ 学生が直接の生産活動に従事し、それによる利益・効果が当該事業所に帰属する。
☑ 学生に対して、実態として何らかの報酬が支払われている。

つまり、実務を行うようなインターンシップの場合には、給料がもらえるということです。特に社員と同じように企業に貢献することが求められる長期のインターンシップでは、実務が発生するため、アルバイトと同じように給料が発生することが多く見受けられます。

給料なしのインターンシップでも違法ではない

給料が発生しないインターンシップでも、プログラム内で実務を行っていないのであれば違法ではありません。

特に政府が定義する「タイプ3:汎用型能力・専門活用型」のインターンシップは無給が基本とされており、給料がもらえないことの方が多いといえます。

タイプ3のインターンシップとは、参加日数の半分以上は職場で就業体験をするもののことです。あくまで企業側と学生側で適性や能力のマッチ度を体感するもののため、基本的には給料が発生しません。

参照:文部科学省 厚生労働省 経済産業省 「インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る取組の推進に当たっての基本的考え方」
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000949684.pdf

ただし、何かしら会社の利益に繋がるような内容なのにもかかわらず、無給であったり、地域の最低賃金を下回ったりする場合には、違法なプログラムである可能性があります。もしこのようなインターンシップに遭遇したときには、すぐに大学や周りの大人に相談しておくと安心です。

給料ありのインターンシップの業種例と相場

給料がもらえるインターンシップでは、アルバイト以上に報酬がもらえる場合もあり、実績によってはインセンティブが発生することもあります。相場は1,000円〜2,000円程度で、給与体系も時給や日給、成果報酬型など、職種によって相場もさまざまです。

ここでは、インターンシップガイドで実際に募集を行っているインターンシップの例をご紹介します。

IT・インターネット・モバイル・通信
□職種
 プログラミング講師・教材開発・イベント支援
 開発エンジニア
□給与
 時給1,150円〜
□勤務期間・時間
 ・平日週2,3日〜
 ・10時〜22時の間で3h以上
 ・完全フルリモート

テレビ・マスコミ・広告・出版・芸能
□職種
 アシスタントプロジェクトマネージャー
 アシスタントプランナー
□給与
 時給1,113円〜
□勤務期間・時間
 ・週2回×8時間勤務
 ・期間設定なし

金融・証券・保険・クレジット・リース
□職種
 M&Aファイナンシャルアドバイザリー
□給与
 時給1,200円 ~
□勤務期間・時間
 ・平日(10:00~18:00)
 ・週12時間〜
 ・6ヶ月〜

コンサル・シンクタンク
□職種
 データアナリスト
 マーケティングコンサルタント
 ITエンジニア
□給与
 時給1,113円 ~ 1,500円
□勤務期間・時間
 ・平日、最低週3回
 ・週24時間〜
 ・3ヶ月〜

Webマーケティング
□職種
 SNS広告マーケター
□給与
 時給900円 ~ 3,000円
□勤務期間・時間
 ・平日9:00~18:00でフレックスタイム制
 ・勤務時間自由

全体的に週2〜3回ほどの勤務が求められており、3ヶ月以上は続けることが条件となっています。インターンシップガイドでは、細かな条件を設定して給料ありのインターンシップを探すことができるため、ぜひこの機会に活用してみてください。

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給料がもらえるインターンシップとアルバイトの違い

給料がもらえるインターンシップとアルバイトは、どちらも労働を行うことで報酬をもらっているため、法律上の取り扱いは同じです。しかし、目的や仕事内容に違いがあります。

目的

アルバイトといえばお金を稼ぐことを目的とすることが多いですが、インターンシップではスキルアップ・社風の理解・就職など、キャリア形成を主な目的としています。長期インターンをアルバイトの代わりにする場合もありますが、収入だけが目的という方は少ないでしょう。

将来の方向性を見てみると、アルバイトとインターンシップではゴールとしている部分が異なるケースが多いことがわかります。

仕事内容

特に長期インターンは、実践力の向上を目的として取り組まれているインターンシップです。そのため、アルバイトよりも責任ある仕事を任されることが多く、マニュアルにないような業務でも主体的に動くことが求められます。

プログラム内容によっては、社会人にならないとなかなか経験できないような業務まで担当できることもあり、アルバイトでは経験できない貴重な時間を過ごせます。

給料がもらえるインターンシップのメリット・デメリット

ここでは、給料がもらえるインターンシップに参加するメリットとデメリットをご紹介します。

メリット

給料ありのインターンのメリットは、給料をもらいながら知識やスキルを身につけられる点です。社員と一緒に業務を行うことになるため、専門的なスキルはもちろんのこと、ビジネスマナーやコミュニケーションスキルなども身につけることができます。

インターンシップによっては、初心者の状態から社会人レベルまで教えてもらえるところもあるので、自身の希望にあわせて選んでみましょう。責任ある仕事を任せてもらえることも多く、アルバイトではできない貴重な経験を積めます。これらの経験は就活で有利になるだけでなく、就職後にも役立つ場面は多いでしょう。

実際に働くことで企業や職場について理解が深まり、自身の適性について知る機会にもなります。大学1年生から受け入れてもらえる企業もあるため、積極的に参加してみましょう。

デメリット

給料がもらえるということは、それだけ責任も重くなります。働いて給料をもらうからには、企業への貢献を求められます。

就業体験だけのインターンシップなら気楽に参加できますが、給料がもらえるインターンシップは実務が伴うため、それなりの覚悟を持って参加することが大切です。

また、給料ありのインターンは、ほとんどが参加期間1ヶ月以上の長期インターンです。1日◯時間以上、週に◯日以上などの条件があることも多くあります。学業や就活、アルバイト、ゼミなど他のスケジュールとの両立が必要になってきます。

給料がもらえるインターンシップの選び方

給料がもらえるインターンシップを選ぶ際には、以下の4つのポイントに注目するのがおすすめです。

業界・業種

志望する業界や業種が明確にある場合には、それに関連しているインターンシップを選びましょう。

その業界や業種に適性があるかは実際に働いてみないとわからないことも多いため、まずはトライしてみるという気持ちが大切です。特に興味のない業界や業種であったとしても、実務の中で楽しさを見出せる場合もあります。

給料

インターンシップには、様々な給与体系が存在します。最も一般的なのは時給制ですが、その他にも日給・月給・成果報酬型などもあるため、自分の条件に合うものを選んでみましょう。

1点注意しておきたいのが、インターン生であっても最低賃金制度が適用される点です。後述しますが、時給換算で地域が定める最低賃金に満たない場合はブラックインターンの可能性が高いため、応募しないようにしましょう。

勤務場所

特に長期インターンシップは学業と並行して参加する場合が多いため、あまりに遠い勤務場所は候補から外しておくのがおすすめです。大学や自宅の近くのインターンシップを選びましょう。

ただ近年ではオンライン化が進んでおり、フルリモートで参加できるインターンシップもあります。自身が望む条件に合わせて選びましょう。

勤務時間・日数

インターンシップによって、求められる勤務時間や日数は大きく変わってきます。週5日のフルタイムを求められる場合もあれば、週1回以上の勤務でOKの場合もあり、シフト制やフレックスタイム制など取り入れられている制度もさまざまです。

自身のスケジュールを鑑みて、無理なく続けられるインターンシップを選びましょう。ほとんどの場合は1ヶ月以上の長期にわたって参加する必要があるため、状況に合わせて相談できる条件だと安心です。

給料がもらえるインターンシップで注意すべきこと

給料がもらえるインターンシップには、「アルバイトではできない貴重な経験を積める」「就活で有利になる」などの魅力的なメリットがありますが、参加する際には特に注意しておきたいこともあります。

法律が絡む部分もあるため、参加する前に必ず確認しておきましょう。

ブラック企業のインターンには注意しよう

インターンシップのなかには、インターンシップという名目で、学生の労働力を無給もしくは安価な報酬で利用しようとする企業もあるので注意が必要です。

法的に明らかに労働とみなされる内容なのにもかかわらず、一向に給料が支払われない場合は、大学の窓口などで相談してみると良いでしょう。

その他にも無茶な営業を任されたり、学びの機会がなかったりと、やりがいだけ搾取されていくインターンシップも存在します。応募前の段階で気づけるのが理想ではありますが、もし気づかずに参加してしまった場合は、周囲に相談した上で早めに辞退を申し出ましょう。

最低賃金を調べておこう

日本には最低賃金制度があります。この制度は、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、雇用主はその金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度です。

最低賃金は都道府県ごとに決められています。厚生労働相のホームページにある「令和5年度度地域別最低賃金改定状況」を見てみると、全国平均(加重平均)は1,004円となっています。令和5年10月時点で時給が最も高いのは東京の1,113円、一番低いのは岩手県で893円です。

インターンシップとはいえ、その内容が労働と認められる場合、企業は最低賃金以上の給料を支払わなければなりません。地域の最低賃金は必ず把握しておきましょう。

参照:厚生労働省 「地域別最低賃金の全国一覧」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/index.html

扶養から外れると税金が増えることに注意しよう

「労働者」としてみなされる給料ありのインターンシップでは、収入を得ることになるため、アルバイトと同じく所得税の法律が適用されます。年収が103万円以上になると親の扶養から外れるため、親の税負担が10万円以上増える可能性もあることに注意が必要です。

さらに、年収が130万円以上になると基本的には社会保険料も自分で支払う必要が出てくるので、家族と相談しておきましょう。

インターンシップでも、相談すれば勤務日数を調整してくれることがあります。年末になって手遅れになる前にあらかじめ計算しておくと安心です。

参照:国税庁 「N o,1180 扶養控除」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1180.htm

全国健康保険協会「被扶養者とは?」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320/sb3160/sbb3163/1959-230/

学業や就活と両立できるよう調整しよう

インターンシップに参加するときは、それなりの準備や時間が必要となります。学業や就活と両立できるようスケジュールの調整をしましょう。

インターンシップに力を入れすぎて、学業が疎かになったり、他の就活に影響が生じたりしては意味がありません。勤務時間・勤務場所などを確認し、自身の希望に合うものを選びましょう。

インターンシップの給料で確定申告が必要になるケース

アルバイトでも同じことがいえますが、インターンシップの給料でも確定申告が必要になるケースがあります。確定申告とは、1年間の所得に対してかかる税金を計算し、国に納めるための手続きを行うことです。給料をもらっている以上、所得が発生することになるため、税金関連についても必ず確認しておきましょう。

収入が103万円以上になる

インターンシップやアルバイトで所得を得ていても、親の扶養家族である場合には、親が所得控除を受けられます。しかし、その控除が受けられるのも、年収が103万円以内の扶養家族がいる場合のみです。

もしインターンシップで稼ぎすぎて年収が103万円を超えると、親の扶養から外れ、控除がなくなった分、親の納める税金が増えてしまいます。また、本人にも税を納める義務が発生し、後述する条件を満たしていれば確定申告が必要になります。

ただし、勤労学生控除を利用すれば所得税を27万円控除できるため、自身に発生する税金を抑えることは可能です。住民税はお住まいの地域や前年の所得によって控除額が変わってくるため、お住まいの地域のホームページを調べてみましょう。(控除が行われても、親の税負担は増えたままであることに注意してください)

103万円を超えてしまう場合には、勤労学生控除の利用を検討する他、必ず家族に相談しておきましょう。

参照:国税庁 「No.1175 勤労学生控除」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1175.htm

年末調整をしていない

年末調整とは、会社が従業員の所得税の過不足を精算する制度のことです。通常、年末調整は勤務先で行われるものですが、年途中で退職したなどで年末調整をしていない場合は、個人で確定申告が必要になります。

会社が定めている規定によりますが、11月末〜12月の年末調整の時期に企業に勤めているのであれば、その企業で年末調整を受けることが可能です。この場合には、確定申告は必要ありません。

掛け持ち先で収入が20万円以上になる

インターンシップとアルバイトというように、複数の仕事を掛け持ちしている場合には、年末調整をしない勤め先の年収が20万円以上になると確定申告が必要になります。

年末調整は「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している職場でしか受けられません。仕事を掛け持ちしていたとしても、年末調整は1カ所でしか行えないため、年末調整をしていない勤め先での税金は自身で精算する必要があります。

この場合、合計の年収が103万円を超えていなくても対象になるため、掛け持ちをしている学生は気をつけましょう。

参照:国税庁「No.2520 2か所以上から給与をもらっている人の源泉徴収」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2520.htm

最後に

インターンシップでは、プログラムの内容によっては給料がもらえる場合があります。ただ、参加する際には注意が必要な部分も多いため、よく調べてから行動するようにしましょう。

インターンシップガイドでは、多種多様なインターンシップを数多く掲載しています。興味がある方はぜひ早めに行動し、積極的に参加してみてください。

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