製粉業界にどんなイメージを持っていますか?聞きなれない業界ですが、パンや麺類、お菓子、天ぷら粉など私たちの「食」を支える大事な業界となっています。業界の現状、職種や仕事内容、面接対策の研究を通して、製粉業界の奥深さに迫りましょう。
- ・製粉業界について
- ├製粉業界とは
- └製粉業界の魅力
- ・製粉業界の現状と今後
- ├製粉業界の現状
- └製粉業界の今後と課題
- ・製粉業界の主要企業である大手4社を紹介
- ├日清製粉グループ本社
- ├日本製粉
- ├昭和産業
- └日東富士製粉
- ・職種と仕事内容
- ├営業
- ├製品開発
- ├生産技術
- └品質管理/物流
- ・就活対策
- ├業界分析をする
- ├企業分析をする
- └インターンシップに参加する
- ・最後に
製粉業界について
製粉業界とは
名前の通り、「粉製品」を取り扱う業界です。一見すると小麦粉自体の製造ばかりを行うようですが、小麦粉から様々な粉を開発しています。
ホットケーキミックスや唐揚げ粉、お好み焼き、天ぷら粉、と組み合わせ次第で非常に幅広い商品が展開されます。加えて、小麦から作られる麺類やパン類などの製造を行う企業もあります。このように製粉企業はBtoBにもBtoCにもなり得る、「食」を形成する業界です。
製粉業界の魅力
小麦粉はパンやパスタ、うどん、お菓子などの原料として欠かせないものです。小麦粉が使われた食品を、毎日口にしている人も多いでしょう。人々の食生活に大きな影響を与える原料に関わる仕事は、市場規模も非常に大きくやりがいが感じられるでしょう。
近年の製粉業界企業は、製粉だけでなくさまざまな事業に力を注いでいます。特定のニーズに特化した新商品研究や、健康に配慮した商品開発、中食・外食への進出なども盛んです。幅広い分野にビジネスを拡大させられる可能性を持っていることも業界の魅力の一つです。
製粉業界の現状と今後
製粉業界の現状
現状、日本では小麦の消費のほとんどを輸入に依存しています。具体的には、政府が管轄する輸入した原料小麦を、日本の製粉企業が調達して、業務用の原材料や消費者向けの加工品を製造する形になっています。
つまり、製品である小麦粉や加工された粉製品の販売自体は、自由な市場で行われているということになります。
製粉業界の今後と課題
ただ、近年では原料だけでなく、加工品の輸入も増加している傾向が見られます。国際協定や関税など、業界を取り巻く情勢に左右される特徴があることからも、海外の動向に合わせて事業展開していく必要があります。
製粉業界は原料である小麦の価格に影響を受けやすい業界です。天候だけでなく、景気にも影響を受けやすい業界なので、どれだけ売り上げを安定させられるかが課題となっています。
製粉業界の主要企業である大手4社を紹介
現在、製粉業界は大手4社が寡占しています。占有率順に、日清製粉(日清製粉グループ本社)、日本製粉、昭和産業、日東富士製粉となっています。
これら4社の生産量は全体の約7割を占めており、特に上位2社だけでも全体の6割以上のシェアを握っています。今後の動向についても、業界最大手の日清製粉と明治時代創業の老舗企業である日本製粉は大きな存在感を示すでしょう。
日清製粉グループ本社
業界シェア44%の、製粉業界のトップ企業です。日清製粉株式会社、日清フーズ、日清ペットフードなどの企業を傘下に持ちます。
商品では、小麦粉の「フラワー」、マ・マーのパスタ、青の洞窟のパスタソースシリーズなどが有名です。その他に、冷凍食品やサプリメントなども手がけています。
日本製粉
業界シェア26%で、製粉業界の二番手の企業です。「NIPPN」のロゴを目にしたことがある人も多いでしょう。
商品はオーマイのパスタやパスタソースが有名です。冷凍食品事業、お弁当やお惣菜などの中食事業、健康食品事業やバイオ事業など幅広い事業展開で業界を牽引しています。
昭和産業
製粉事業だけでなく、油脂事業、糖質事業、家庭用食品事業、不動産事業など幅広い事業内容となっています。
「和ホットケーキミックス」「レンジでチンする唐揚げ粉」など、さまざまなニーズに応える個性的な商品が多いのが特徴的です。
日東富士製粉
日東製粉株式会社と富士製粉株式会社が合併して誕生したのが、日東富士製粉です。製粉事業と合わせて、ケンタッキーフライドチキンや牛角などと提携して外食事業も行っています。
家庭用には小麦粉やホットケーキミックスがあり、業務用の小麦粉ミックスなども種類が豊富です。
職種と仕事内容
どのような職種があるのか、それぞれの仕事内容を見ていきます。
営業
製粉業界における営業職の主な仕事は、製粉を用いた飲食チェーン店を展開する企業や個人商店への営業です。クライアントは大企業のみならず、町のパン屋やお菓子屋、製麺屋と様々です。
地方の中小企業製粉は、お客様専用粉の売り上げに大きく頼っている場合もあるため、営業を通じた人脈から得る、新しい市場の情報が大事になることもあるでしょう。
製品開発
製品開発職は商品の開発を行います。大きく分けて家庭用と業務用の2領域を取り扱います。
家庭用製品は粉関連のもの、パスタ、乾麺、冷凍食品が挙げられます。小麦粉・ドライイースト・ホットケーキミックス・天ぷら粉や即席パスタ、うどんやそばなど、私たちが普段から小売店で目にするものです。
業務用製品は粉関連、機能素材が中心になります。家庭用の粉とは異なり、接着剤的な役割を持つ粉を開発することもあるため、専門的な知識は必須です。
生産技術
生産技術職の仕事は、生産体制の構築です。実際に製粉が行われる工場の仕組みづくりを担います。また、設備の点検・修理も大切な業務の一つに含まれます。
製粉の工程が滞ってしまっては企業の全体の運営に関わるため、責任は重大です。機械好きにはたまらない仕事ではないでしょうか。
品質管理/物流
品質管理、物流は製品が出来上がった後の最終段階です。どちらの業務も顧客への出荷後までを考えます。
品質管理職は、主に品質チェックを行います。製品が合格基準を満たしているか、不良品が見つかれば原因はどこにあるのか、日々分析し続けるのです。
物流は経路・温度・湿度などを考慮して、お客様へ一番良い状態で商品を届けられるかを考えます。日常的な輸送記録が、効率的な運搬へと役立てられます。
就活対策
製粉業界を志望する学生が行うべき就活対策を見ていきましょう。
業界分析をする
まず始めにすべきことは、業界分析です。製粉業界は簡単に括れば、粉を扱う分野とまとめることができます。しかしその中でも時代と共に、中食・外食市場やペットフード市場への参入というように、事業構造も変化してきているのです。
似通った特徴を持つ食品業界についても調べておくと良いでしょう。「食に関わる仕事がしたい」という学生は、食品業界ではなく敢えて製粉業界を志望する上で、業界の違いを理解しておく必要があります。
企業分析をする
製粉業界を目指すなら、企業分析が欠かせません。なぜなら、製粉業界では企業によって特色があるからです。例えば、日清製粉は“加工”に重きを置く要素が強いが、ある中小企業は個人経営店に対して“素材”の取引をメインに行なっていたりと事業の色が異なります。
先述した通り、製粉業界は主要4社が寡占していることからも、地方の企業を選んだ場合「なぜこの会社を選んだのか」という点が要になるでしょう。入社後のミスマッチを防ぐためにも、企業分析をしっかりしておきましょう。
インターンシップに参加する
製粉業界を志望するなら、製粉企業のインターンシップに参加することをお勧めします。企業のホームページや、インターネットから得る情報だけでは分からない部分があるからです。
実際の現場を訪れたからこそ感じる業界の面白さであったり、企業の雰囲気、第一線で働く社員から聞くやりがいなど、新しい発見があるかもしれません。採用選考の面接やESでも、インターンシップの体験をもとに話しやすくなるという効果もあります。
最後に
一旦踏み込んでみると、個性的で興味深い側面を持った業界であることを感じられたのではないでしょうか。 製粉業界は安定した業界と言われています。一方で、少子高齢化や、食品の値上げの影響による国内需要の低下も懸念されています。将来性や業界動向に注視しつつ、業界内についての理解を深めてみてください。
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