「数学科だと就職できない」「数学科は就活で不利になる」という噂を聞いたことがあるかもしれません。「数学科で学びたいけれど、就職が不安だから辞めておこうかな」と進路選択に迷ったり、「就職のことなんて考えずに数学科に進学してしまった!どうしよう」と焦っている方もいるのではないでしょうか。
果たして本当に数学科の就職は難しいのでしょうか?今回は、まず数学科の就職は難しいのかどうかを解説いたします。また、数学科の卒業生に人気の業界や職種・仕事、就活で役立つ資格などについてもご紹介しますので、ぜひご覧ください。
- ・数学科の就職は難しいって本当?
- ├数学科が就活で不利になることはない
- └数学科は就活スケジュールが調整しやすいので有利
- ・数学科の卒業生の就職先として人気の業界とは?
- ├保険・金融業界
- ├製造業界
- ├Web業界・IT業界
- └教育業界
- ・数学科の卒業生が就職している職種とは?
- ├アクチュアリー
- └公務員
- ・数学科の学生におすすめの就職対策
- ├学科推薦を活用する
- ├資格を取得する
- └インターンシップに参加する
- ・最後に
数学科の就職は難しいって本当?
数学科が就活で不利になることはない
「数学科で学んだことは実用性がないので就職が難しい」と言われることがありますが、実際には数学科という理由で就職が難しくなることはありません。
どんな企業でも経営状態を確認するために、経理や簿記の知識が求められます。また、商品の研究・開発や営業目標の決定、在庫の管理など、企業で「数字」を扱う場面は多くあります。そのため、数学の知識を持っていることは、むしろ企業に対するアピール材料となりうるのです。
数学科は就活スケジュールが調整しやすいので有利
理系の学部に所属している学生は就活と並行して、卒論作成のための実験や研究活動に時間をかける必要があります。そのため、理系学生にとっていかに就活に使える時間を生み出すかは大きな課題となります。
しかし、数学科は卒論提出が不要な研究室が多いため、就活スケジュールを調整しやすく、企業研究や自己分析、インターンや面接対策にもしっかりと時間を確保できます。時間を上手に使えば、他の理系学生より就活を有利に進めることができるのです。
数学科の卒業生の就職先として人気の業界とは?
保険・金融業界
数学科の卒業生の就職先としては「保険・金融業界」が人気です。保険・金融業界の仕事では、数学を扱う上で必要となる論理的思考力や問題解決能力を生かすことができます。
保険・金融業界では、数学的な専門知識を活用して保険商品を開発する「アクチュアリー」や、投資を行う「クオンツ」と呼ばれる専門職として活躍する人が多いです。
製造業界
数学科の卒業生は「製造業界」でも数多く活躍しています。製造業界では、製造ルートの効率化やコスト削減に取り組むために論理的思考力が必須です。
より良い製品を開発する際には、微分積分や線形代数の知識を活用する場面も少なくありません。そのため、数学科で得られた知識を存分に生かすことができるのです。
Web業界・IT業界
数学科の就職先としては「Web業界」や「IT業界」も人気です。特に、WEB業界では検索エンジンを開発する際に数学の知識を活用します。
Web業界でもIT業界でも、より便利で効率的なシステム構築のためには、利用者の不満や要望を理解して対応できる問題解決能力や、理想とするシステムを設計できる論理的思考力が必要です。これらの能力は数学科の卒業生が強みとしているものです。
教育業界
数学科に進学した学生は「数学が好き」という人がほとんど。そのため、「数学の素晴らしさや面白さを広めたい」と考える学生の中には、専門科目と並行して教職科目の単位を取得し、中学や高校の数学教師として働く人もいます。
「数学は苦手」という中学生や高校生は少なくないため、分かりやすく数学を教えられる技術があれば、人気塾講師として活躍することも可能です。
就活は何から始めるべき?と迷っているなら
数学科の卒業生が就職している職種とは?
アクチュアリー
保険・金融業界に進む数学科卒業生にとって「アクチュアリー」は憧れの職種です。アクチュアリーとは、統計学・金融工学などの数理的知識を生かして、生命保険や損害保険の商品を設計したり、企業年金や退職金の制度設計や定期的な検証を行ったりといった仕事に取り組みます。
アクチュアリーになるには、日本アクチュアリー会による資格試験の合格とプロフェッショナリズム研修の受講が必須で、取得までに平均8年かかると言われる難関資格となっています。その分、年収も1000万を超えるケースが少なくありません。
公務員
数学科の卒業生は、数学を専門とする「技術系公務員」として活躍する人もいます。キャリア官僚になるために、国家公務員総合職試験の合格を目指す方もいれば、1つの土地で長く安定した働くために地方公務員を希望する方もいます。
どちらにしても、国や自治体、あるいはそれらに属する研究機関で、数学の知識を生かして各種データの収集や統計処理などの仕事に取り組みます。
数学科の学生におすすめの就職対策
学科推薦を活用する
学科推薦とは、学科に採用枠が設けられている企業への応募で利用できる応募方法です。その学科の学生が優先的に採用されるため、書類選考や筆記試験などが免除されるケースもあります。
しかし数はそれほど多くないので応募できる企業が限られること、内定が決まった場合に事態できないなどのデメリットがあることを理解しておきましょう。
学科推薦は短期間で就職を決めることができるため、学生に人気です。自分の大学の数学科にはどんな推薦枠があるか、早い時期から調べておくといいでしょう。
資格を取得する
基本的に大学の数学科で学ぶことで取得できる資格は、「高等学校教諭一種免許(数学)」と「中学校教諭一種免許(数学)」の二つの教諭免許です。言うまでもありませんが、教員を目指すなら取得を目指しましょう。
数学科の学生に人気の職種「アクチュアリー」も資格が必要ですが、取得までに数年かかる難関資格で働きながら勉強して取得する人がほとんどです。しかしアクチュアリーの資格取得を目指して学生のうちから勉強をはじめておくと熱意のアピールにはなります。
外資の金融系やIT企業などを目指すなら、TOEICを取得しておくのがいいでしょう。今後もあらゆる業界で企業のグローバル化は進むことが予測され、英語力があることは就活でもプラスになることが多いです。
インターンシップに参加する
金融系企業、IT企業、メーカーでは多くの企業がインターンシップを実施しています。数学科の学生に人気の職種である、アクチュアリーやクオンツを目指す学生向けののインターンシップもあります。
自分に合っているか適性を見極めたり、企業との相性を知るにはインターンシップに参加して体験してみるのが一番です。
職種ごとに学部・学科が限定されているインターン募集もありますが、学部を問わないインターン募集もたくさんあります。興味があある業界・職種のインターンには積極的に参加して、選択肢の幅を広げてください。
インターンの応募日程を確認しよう
最後に
数学科では、数学の専門知識・論理的思考力・問題解決能力などを習得することができます。これらは企業で働く上でも必要となるスキルであるため、効果的にアピールできれば、就職活動も有利に進められるはずです。
自分のスキルや強みをどのようにアピールするかをよく考えておきましょう。論理的思考力や問題解決能力は面接やグループディスカッションでの受け答えからもチェックされます。ぜひ言動や振る舞いにも注意を向けてみてくださいね。
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