就職活動を控える学生の中には、会計事務所に興味がある方もいるでしょう。税理士や会計士の仕事は高収入というイメージがあるため、憧れる方が多い職種です。しかし、AIによる事務作業の代替やグローバル税制への対応など、会計の業界にもさまざまな変化が起きています。
本記事では、会計事務所業界の現状や実際の仕事内容、おすすめの就職活動対策を紹介します。会計事務所への就職に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
- ・将来性はある?会計事務所業界の現状とは
- ├①地方における税理士の高齢化
- ├②AIに事務作業が奪われる?
- └③求められるグローバル対応
- ・会計事務所の仕事内容ってどんなもの?
- ├①補助スタッフ
- ├②記帳代行
- ├③税務申告
- ├④定期監査
- └⑤経営コンサルティング
- ・会計事務所をめざす学生におすすめの就職活動対策!
- ├①業務に役立つ資格を取る
- ├②キャリアプランを明確にする
- └③インターンシップで就業体験をする
- ・【まとめ】会計事務所の仕事を深く理解して就活に臨もう!
将来性はある?会計事務所業界の現状とは
会計事務所での仕事に将来性はあるのか、以下3つのポイントで業界の現状を紹介します。
地方における税理士の高齢化
AIに事務作業が奪われる?
求められるグローバル対応
①地方における税理士の高齢化
とくに地方の会計事務所において、所属する税理士の高齢化が進んでいます。
日本税理士会連合会によると、2022年5月時点の税理士登録者数は79,891人となっており、年々増え続けています。しかし一方で、全体の71.6%が50代以上と急速な高齢化が進んでいるのです。
都市圏を中心とした大手会計事務所では若手税理士が活躍している一方、地方の中小会計事務所では税理士の高齢化や後継者不足といった問題が起きています。AI化やグローバル化といった観点でも大手と中小の対応力には差があるため、今後もますます二極化が進むといえるでしょう。
②AIに事務作業が奪われる?
税理士資格なしで会計事務所に就職する場合、まずは補助スタッフとして事務作業にあたるケースが多いでしょう。しかし、機械的な単純作業は今後AI(人工知能)に代替される可能性が高いです。
定型的な業務だけをこなしていては、会計事務所で生き残っていくのが難しくなります。会計人材として評価されるためには早期に補助スタッフを卒業し、専門知識を身につけてAIには代替できないスキルを磨く必要があるでしょう。
③求められるグローバル対応
企業のグローバル化に伴い、税制面でもグローバル対応を求められるケースが増えています。国際的な会計ルールへの移行や海外子会社との連結決算など、複雑化する会計処理への対応が求められます。
現代では会計ソフトも進化をしており、単純な会計処理だけなら会計事務所に頼る必要がありません。グローバル対応など、専門家の知見が必要な領域でいかに顧客の役に立てるかが問われているといえるでしょう。
会計事務所の仕事内容ってどんなもの?
会計事務所の仕事としては、以下の5つが挙げられます。
補助スタッフ
記帳代行
税務申告
定期監査
経営コンサルティング
①補助スタッフ
税理士資格なしで就職した場合、まずは税理士のサポートを行う補助スタッフとして勤務することになるでしょう。具体的には、以下のような業務を担当します。
顧客の経理事務代行
帳簿類のチェック
書類のファイリング
顧客との日常的なコミュニケーション
事務所での接客対応
基本的には、税理士資格がなくても対応可能な業務を任されます。しかし、会計知識が必要になる業務も含まれるため、簿記2級以上は取得しておくのが望ましいでしょう。
②記帳代行
顧客の帳簿作成を代行する業務です。伝票や仕訳帳、現金出納帳などの各種帳簿を作成・管理します。税理士が業務を請け負い、実際の作業は補助スタッフに依頼するケースが多いです。
③税務申告
各種帳簿をもとに決算書を作成し、税務申告を行います。税務署に対して適切な申告を行うため、日頃の会計処理からフォローしていく必要があります。
④定期監査
顧客の会計処理に問題がないか、定期的に巡回監査を行います。適切な税務申告ができる体制を整えるため、月次や期末に一定期間を設けて会計処理の確認や指導を実施します。
⑤経営コンサルティング
通常の会計処理だけでなく、経営コンサルティングを行っている会計事務所もあります。
会計処理や監査を通じて、会計事務所は顧客の経営・財務状況を的確に把握しています。会計のスペシャリストとして資金調達などの財務面をアドバイスするのはもちろん、M&Aなど経営戦略全般をサポートすることも珍しくありません。
単なる会計の専門家にとどまらず、顧客の事業活動に貢献する会計事務所が求められているといえるでしょう。
会計事務所をめざす学生におすすめの就職活動対策!
会計事務所への就職をめざすなら、以下3つの対策に取り組むのがおすすめです。就職活動本番までの期間に応じて、適切な対策を進めましょう。
業務に役立つ資格を取る
キャリアプランを明確にする
インターンシップで就業体験をする
①業務に役立つ資格を取る
会計事務所で活躍したいなら、できれば学生のうちに業務に役立つ資格を取得しておきましょう。具体的には以下のような資格が挙げられます。
<業務に直結する資格>
税理士
税理士(科目合格)
簿記1級
簿記2級
<あればプラスになる資格>
ファイナンシャルプランナー
マイクロソフト・オフィス・スペシャリスト
TOEICや英検
優先順位としてもっとも高いのは税理士資格です。「税務相談」にあたる業務は資格保持者しか対応できないため、就職後のキャリアに大きくプラスとなるでしょう。税理士試験では、科目合格という制度があります。5科目すべてに合格できていなくても、一部科目に合格していれば選考で優位に立てるはずです。
帳簿や会計システムを扱うという観点では、簿記の資格取得も効果的です。1級を取得するのがベストですが、2級でも基礎的な会計知識の証明にはなるでしょう。ファイナンシャルプランナーもお金に関連する資格ではありますが、業務に直結する部分が少ないため、簿記と比べれば優先順位は下がります。
補助スタッフ業務ではワードやエクセルの使用機会が多いため、マイクロソフト・オフィス・スペシャリストの資格があれば事務処理能力の高さをアピールできるでしょう。グローバル化の流れに沿った人材として、TOEICや英検などで英語力をアピールするのもプラスになります。
就職活動が本格化する前に取得可能な資格があれば、ぜひチャレンジしておきましょう。
②キャリアプランを明確にする
会計事務所に就職したあと、どのようなキャリアを築くか事前に設計しておきましょう。税理士資格を持っていない場合、たとえば以下のようなキャリアプランが考えられます。
中小の税理士事務所に就職する
補助スタッフとして一定の信頼を得る
勤務しながら税理士資格を取得する
税理士として経験を積む
大手会計事務所に転職する
働きながら税理士資格を取得するのは簡単ではありませんが、実際に合格して税理士としてのキャリアをスタートさせる方は存在します。
勉強と仕事を両立できる環境が大切であるため、希望している会計事務所における在籍税理士数や税理士合格者数をチェックしておくとよいでしょう。受験直前は業務量を調整してもらえるなど、資格取得を後押ししてくれる事務所であれば税理士合格が近づきます。
経験を積めば、より良い待遇で大きなスケールの仕事ができる大手会計事務所への転職も可能になるでしょう。
③インターンシップで就業体験をする
会計事務所での業務に興味があるなら、インターンシップに参加してみましょう。実際の職場を体験することで、抱いているイメージとのギャップが解消されます。
会計事務所で働く意欲が高まれば、資格勉強のモチベーションにつながるほか、志望動機や自己PRもより魅力的な書き方ができるでしょう。イメージと違った場合でも他の業界に切り替えられるきっかけになるため、早めにインターンシップを経験しておくのがおすすめです。
会計事務所におけるインターンシップの事例としては、以下のようなものがあります。
監査業務の体験(1日)
会計処理の体験・グループワーク(1日)
先輩社員との交流・グループワーク(2日間)
会計処理・監査の体験(4日間)
経理業務の補助(長期)
1日でも現場での業務を体験していれば、志望動機や自己PRも書きやすくなるはずです。実際にインターンシップ参加という行動を起こしている点も、高評価につながるでしょう。
【まとめ】会計事務所の仕事を深く理解して就活に臨もう!
本記事では、会計事務所への就職を希望する学生の方向けに、業界の現状や仕事内容、おすすめの就職活動対策を紹介しました。税理士の高齢化やAIの台頭、求められるグローバル化など、会計事務所を取り巻く現状を理解したうえで就職活動に取り組みましょう。
ほかの業界とまだ迷っているという方も、インターンシップを利用して会計事務所の業務を一度体験してみてはいかがでしょうか。いきなり就職するのはリスクが高いため、インターンシップをうまく活用して自分にマッチする職場を見つけてみてください。
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