住宅業界は少子高齢化や人口減少など社会問題や経済状況が影響しやすい業界です。住宅業界を目指す就活生は、住宅業界のどんなことに注目すればいいのでしょうか?住宅業界の現状と今後の動向、仕事内容、就活対策などについて解説します。
- ・住宅業界の現状
- ├①新設住宅着工戸数は減少傾向
- └②空き家の増加
- ・住宅業界の今後の動向
- ├①省エネ住宅の開発(ゼロエネルギー住宅)
- ├②既存住宅の活用(ストックビジネス)
- └③海外事業の強化
- ・仕事内容
- ├営業職
- ├技術職(設計)
- └技術職(施工)
- ・住宅業界の主要な企業を紹介
- ├大和ハウス工業
- ├積水ハウス
- ├飯田グループHD
- ├住友林業
- └旭化成ホームズ株式会社
- ・就活対策
- ├自己分析・企業研究
- └インターンシップ
- ・最後に
住宅業界の現状
住宅業界は戸建て住宅の全国のシェア率を圧倒的に占めている企業はありません。大手10社でもシェアは30%くらいです。これは地域の工務店などの存在が大きいためです。
①新設住宅着工戸数は減少傾向
日本は少子高齢化や人口減少の問題が深刻で、住宅業界をはじめとする様々な業界に影響を及ぼしています。住宅業界では世帯数が減少したためか全国の新築の需要が減少傾向にあります。
新設住宅着工戸数はリーマンショックの時期に大幅に減少しその後緩やかに増加していましたが、これから徐々に減少すると予測されています。
②空き家の増加
また空き家が増加していることも課題です。世帯数が減少したことで全国の住宅数が世帯数を上回り、空き家が増え続けています。このまま空き家の撤去・転用が進まない場合、2033年には約2000万戸以上まで増加すると予測されています。
住宅業界の今後の動向
以上のような業界の現状を踏まえて住宅業界の企業がどのような対策を行っていくのかいくつか解説します。新築の需要が減少しているため期待されるのは既存住宅の活用ですが、日本は欧米に比べて中古住宅の流通量が少ないという弱点があります。その対策として政府は中古住宅を売買・改修市場拡大を支援しています。
①省エネ住宅の開発(ゼロエネルギー住宅)
2020年に新省エネ基準が義務化され、今後の新築住宅においてはZEH化したゼロエネルギー住宅を目指しています。ゼロエネルギー住宅とは断熱材や節電機器、太陽光発電設備を取り入れるなどの工夫により電気やガスなどのエネルギー収支を差し引きゼロにする仕組みのことを言います。
しかしゼロエネルギー住宅は一般住宅より割高で地域によっては導入しづらいという問題があります。今後企業はこうした課題を解決する省エネ住宅の開発に力を入れています。
②既存住宅の活用(ストックビジネス)
新築の住宅だけでなく、既存の住宅の活用も重要です。政府は省エネ基準の義務化だけでなく、既存住宅を活用したストックビジネスの市場についても支援しています。
住宅業界の大手でつくられている、優良ストック住宅推進協議会は家の性能や改修履歴を加味した適正な値付けを行い、既存住宅の売買の後押しに力を入れています。
③海外事業の強化
住宅業界の多くのメーカーが海外事業の展開に力を入れています。特に大手の住宅メーカーは東南アジアやオーストラリアに展開を進めています。
仕事内容
住宅メーカーではどのような仕事があるのでしょうか。住宅メーカーの職種は大きく分けて営業職と技術職の2種類に分けることができます。企業によっては転勤を伴わない一般職を総合職と分けていることもあります。
営業職
顧客の要望に合わせて住宅展示場で戸建て住宅を販売したり、不動産を有効活用するための賃貸住宅の提案などを行う仕事です。「家」に関係する相談などを受けます。顧客のニーズに合ったプランの提案をし、設計部門へ引き継ぎを行います。
技術職(設計)
設計は顧客のニーズに合わせて住宅の設計を行います。住宅設計は仕事の幅が広く、間取りの作成からインテリアのコーディネートまで住まいに関わる様々な提案を行います。
技術職(施工)
施工は設計を基に現場での建設を行います。現場の監督として工程管理、品質管理、安全管理を担っています。設計部門や現場の職人との連携が重要な仕事です。
住宅業界の主要な企業を紹介
ここでは住宅業界の主要な企業5社について、企業の概要と特徴をご紹介します。
大和ハウス工業
大和ハウス工業は、CMの印象が強く、知名度も抜群に高いです。近年は売上高や販売戸建数でトップを獲得している企業で本社は大阪にあります。
1959年に日本で初めてプレハブ住宅を開発し注目を集めました。商業施設や物流施設など企業向けの事業も多く、M&Aや海外展開などにも注力しています。
積水ハウス
積水ハウスは、大手プラスチックメーカーである積水化学工業を母体とするハウスメーカーです。知名度も高く、売上、着工数、シェアなどのランキングでも常に上位になっています。
建築はもちろん、不動産や土地活用のコンサルティング、地域開発、賃貸、リフォームなど幅広い事業を手がけています。
飯田グループHD
飯田グループホールディングスは2013年に、一建設、飯田産業、東栄住宅、タクトホーム、アーネストワン、アイディホームの6社が経営統合されてできた共同持株会社です。
戸建分譲に力を入れており、戸建分譲だけで見れば業界でもシェア3割のダントツトップとなっています。
住友林業
「住友林業」という社名からも分かる通り、元は植林事業がベースとなって江戸時代に創業された企業です。
現在は林業よりも、住宅事業や不動産事業が主力事業となっています。その他にも、資源環境事業、木材建材事業、老人ホームの運営など生活サービス事業も行っています。
旭化成ホームズ株式会社
旭化成ホームズは、戸建住宅・集合住宅、土地など資産活用のソリューション提供、リフォーム事業という3つの事業分野が柱となっています。
戸建住宅の「ヘーベルハウス」、集合住宅の「へーベルメゾン」、マンション開発の「アトラス」などがよく知られています。
就活対策
住宅業界に就職するためにはどのような就活対策を行えばいいのでしょうか。いくつかの方法を紹介します。
自己分析・企業研究
自己分析と企業研究を行い、企業と自分がマッチングしているか研究することが重要です。よく業界や企業について研究し志望する企業を絞り込みましょう。
インターンシップ
業界・企業研究を効率的に行うにはインターンシップをおすすめします。多くの企業がインターンシップを開催していて、実際に働いている社員の方と話せる機会も多く用意されています。実際の働き方や社風を知れるので積極的にインターンシップに参加してみましょう。
最後に
住宅業界は国内の需要変化に合わせて省エネ住宅の開発や既存住宅の活用など新たなビジネスを展開しています。今後は海外事業の展開も強化されていくでしょう。
志望する企業が今後どのような事業展開をしていくのか、どのような人材を必要としているのかより企業について理解を深めていくことが必要です。
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