大学生なら誰でも一度は耳にする「インターン」ですが、「インターンの正式名称は?」「インターンという言葉の意味は?」と聞かれたときに自信をもって答えられる方は少ないのではないでしょうか。
そこで今回は就活生が知っておきたい基本情報として、インターンの正式名称や意味・語源を詳しく解説します。
- ・インターンの正式名称は?
- ・インターンの語源や歴史
- ├アメリカの「コーオプ教育」が始まり
- ├日本には1997年頃普及
- └「教育」と「採用」の両方が目的の場へ
- ・まとめ
- ・参考資料
インターンの正式名称は?
インターンの正式名称は「インターンシップ(Internship)」で、「就業体験」「仕事の経験を積む期間」という意味を持つ英単語です。日本語では「インターン」も「インターンシップ」も就業体験の意味で使われていますが、実は英語の「インターン(intern)」は、実習生や研修生を意味する言葉です。
もともとinternは「一定の区域内に入れる/閉じ込める」という意味を持っており、「職場の中に入る」というイメージから実習生や研修生を指す言葉としてインターンが用いられるようになりました。日本語では「インターン」だけではインターンシップのことか、インターンシップに参加する学生のことか判別しづらいため、後者を「インターン生」と呼んで区別することがあります。
インターンシップやインターンに関する英語と日本語それぞれの使われ方の違いを下の表にまとめました。
英語 | 日本語 | |
---|---|---|
就業体験 | インターンシップ | インターンシップ/インターン |
実習生 | インターン | インターン生 |
誤解を生むことのないように、本来の意味も理解した上で言葉を使うようにしましょう。この記事では日本語での使用法に合わせて、就業体験の意味で「インターン」という言葉を使っています。
インターンの語源や歴史
ここからはインターンの語源と歴史についてお話しします。
アメリカの「コーオプ教育」が始まり
インターンはアメリカで行われた「コーオプ教育(Cooperative Education/Co-op Education)」から発展したものだと考えられています。コーオプ教育は1906年にシンシナティ大学の工学部長ハーマン・シュナイダーによって考案されました。
当時、工学部の学生は大学で学んだ理論を実践する場がありませんでした。そこでシュナイダーは、地元のメーカーと連携し、学生がこれまで学んできた理論を実践できる就業体験を行ったのです。その後、シンシナティ大学以外の大学もコーオプ教育を導入し始め、コーオプ教育はアメリカ全土へと広まっていきました。現在でも数十万人の学生がコーオプ教育を受けています。
インターンの起源とされるコーオプ教育ですが、インターンが企業による「採用活動」の一種であるのに対し、コーオプ教育は学生のための「教育活動」である点が異なります。インターンでは企業が学生に業務などを教えるのが一般的ですが、コーオプ教育では学生が企業に専門的な知識を教えます。コーオプ教育では学生と企業が対等なビジネスパートナーとなっているのです。
日本には1997年頃普及
バブル崩壊後の1990年代後半、日本ではニートやフリーターの増加が問題となっていました。そこで重視されたのが大学でのキャリア教育の改革です。1997年1月には教育改革プログラム『教育立国を目指して』に基づきインターンが推進され始めました。
1997年9月には文部省・労働省・通商産業省(現在の文部科学省・厚生労働省・経済産業省)の三省合意のもと、「インターンシップの推進に当たっての基本的な考え方」が作成され、インターン推進を後押ししました。1997年より推進されたインターンシップは、現在に至るまで大学生がキャリアを考える大切な機会となっているのです。
「教育」と「採用」の両方が目的の場へ
コーオプ教育という「教育活動」を起源とするインターンですが、企業によってはインターンに参加した学生を選考で優遇するなど「採用活動」としての面を重視しているのは明らかです。
「インターンは教育と採用のどちらを目的として実施するべきか」というテーマは、長年にわたって議論が重ねられています。特に文部科学省はインターンの教育効果を重視し、採用を目的としたインターンシップには否定的な立場を取っています。
その一方で、日本経済団体連合会(経団連)はインターンの期間が短いと教育効果が乏しくなることは理解しつつ、5日未満のインターンを認めているのが現状です。教育と採用との間でせめぎ合いながら、インターンは今日まで続けられています。
まとめ
インターンの正式名称は「インターンシップ(Internship)」で、「就業体験」「仕事の経験を積む期間」を指す英単語が由来となっています。現在のインターンは学生の教育効果を重視するのか、それとも採用活動の一環としての役割を果たすべきなのか、2つの目的がせめぎ合った状態で実施されています。
参考資料
田中寧(2013.3)コーオプ教育の歴史と現状、および、日本における展開とその課題 高等教育フォーラム 第3号 pp9-20.
亀野淳(2021.8) 日本における大学生のインターンシップの歴史的背景や近年の変化とその課題 ―「教育目的」と「就職・採用目的」の視点で 日本労働研究雑誌 No.773
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