新卒採用における母集団形成の方法と考え方
新卒採用における母集団形成について
新卒採用を行っているのに、なかなか応募者が集まらない、または応募人数は集められても内定まで進んでくれる学生の数が予想を下回ることに悩んでいる採用担当の方も多いのではないでしょうか。
ここでは、新卒採用における母集団形成の課題と解決法、母集団形成の手法とそのメリット・デメリットを紹介します。
- ・母集団形成とは?
- ├新卒採用の傾向
- └母集団形成の課題
- ・質の良い母集団形成のポイント
- ├「どのような学生を確保するのか」を決める
- ├「何月までに」を決める
- └母集団形成目標「何人」を決める
- ・知名度が低い企業が人数を集めるための母集団形成のポイント
- ├多くの人に興味を持ってもらえる機会をつくる
- ├企業の魅力を学生に伝える
- └求人やイベント掲載時、学生を惹きつける強いワードを入れる
- ・母集団形成の手法とメリット・デメリット
- └採用広報
- └求人広告
- └求人サイト(リクナビなど)
- └求人検索サイト(Indeedなど)
- └採用動画
- ├SNSでの情報発信・ソーシャルリクルーティング
- └オウンドメディア
- └採用ブログ
- ├WEB説明会
- └イベント
- └合同説明会
- └大学訪問・学内説明会
- └インターンシップ
- └採用イベント
- └インターンシップガイドでのイベント掲載
- ・最後に
母集団形成とは?
新卒採用において"母集団形成"とは、自社に興味関心を抱く学生を集めることを言います。ここでの母集団とは、新卒採用の採用候補者であり、実際に会社に入ってくれる学生の源となります。
新卒採用の傾向
新卒採用は、量から質を求める傾向に変化しつつあります。以前は、新卒採用において、最終的に必要な人数の50~100倍の母集団を形成する必要があるとされていました。たとえば、20人必要なら、1000人の母集団を形成しなければなりません。そのため、まずは1000人の会社説明会参加を目指す必要がありました。
しかし近年、母集団人数を多くするよりも、母集団の質を高くするアプローチが注目されています。企業とスキルや志向がマッチした学生にアプローチをすることで、母集団の質を高めることができます。
質の高い母集団を形成した方が、新卒採用にかかるコストも安くなります。具体的には、合同説明会などで「採用候補」数を大量に集めるより、数は少なくても、企業へ高い興味があり、企業側が欲しい適切な能力をもつ学生の母集団を集める方が採用効率が優れています。よって、母集団形成も量よりも質を求める企業が多くなってきています。
また、新卒採用を行う媒体にも変化が生じています。リクナビを筆頭としたオウンドメディア、合同説明会や学内説明会のみならず、自社発信のSNSやYoutubeでの採用動画にも力を入れる企業が増えています。学生が普段から試聴しているメディアでの発信はより学生がアクセスしやすいこともあり、企業側からも学生への歩み寄りがしやすいことが理由としてあげられるでしょう。
母集団形成の課題
母集団形成は重要とひとことにいっても、様々な課題が含まれています。
まず、質の高い母集団を形成することが重要です。企業が求める学生像(ターゲット)に沿った学生とマッチングできるか、また、内定まで進んでくれる学生とマッチングできるかは母集団形成の最大の課題と言えるでしょう。
企業側が求める人数が内定まで進んでくれる学生を加味した必要人数まで母集団を集めるという課題も挙げられます。
これらの課題は主に「質の良い母集団形成」と「企業に合った採用活動・イベントの取捨選択」によって解決することができます。
質の良い母集団形成のポイント
「どのような学生を確保するのか」と採用目標到達の期限「何月までに」そして、「何人集めるか」を決めるのがポイントです。この3つをざっくりと設定し細かく詰めていきましょう。
「どのような学生を確保するのか」を決める
まず、採用する目的・背景を明確にしましょう。それをもとに、どのような人を採用すればいいのかを明確にします。企業の達成したい目的に合わせて、具体的にどのくらいのスキルの学生を何人、未経験の学生を何人、何に長けた学生を何人と決めていくとスムーズに進みます。
採用の目的や理念から、学生に求めるものへと視点を落としていくことによって、求める人物像(ペルソナ)を定義でき、ターゲットを絞って新卒採用を行えるようになります。
よりざっくりとした学生像の絞り方もあります。大人数を採用する企業の場合は、ざっくりと学生を絞っていく方が良いでしょう。
「どのくらいのスキルの人が欲しいのか」「どういったことに向いている学生が欲しいのか」を企業理念や社風から絞っていき、ざっくりと求める人物像を決めていきましょう。現在は、性格診断なども発達してきているため、企業が求める学生像に沿った学生を選びやすくなっています。
「何月までに」を決める
まず、ターゲットとする学生のスケジュールを知る必要があります。情報系の学生が取りたい場合や文系の経済に長けた学生が取りたい場合など、ターゲットとする学生像(ペルソナ)によって、就活のスケジュールは異なります。採用目標時期と求める学生像のスケジュールを踏まえた計画を逆算してたてていきましょう。
母集団形成目標「何人」を決める
目標人数を決める際には、母集団積み上げ方式がおすすめです。母集団積み上げ方式とは、段階的に母数を積み上げていく考え方です。たとえば、その年の希望採用人数から、内定を出すのは、採用予定人数の何倍。さらに面接するのはその何倍、結局会社説明会ではおおよそこれくらいの人数を集める必要がある…といったように計算をしていきます。
前年までもあまり退職率や採用事態者数が毎年あまり変化がなかった場合に有効です。前年度の採用実績をもとに母集団形成目標を決めます。上に挙げた考え方を組み合わせた以下の計算方法があります。
必要な母集団=採用目標人数÷内定承諾率÷内定率
ダイレクトリクルーティングを行う場合は、母集団形成目標を少なくすることができます。前年度の採用実績等を踏まえて見積もります。
参考文献:Web Designing 2018年8月号
https://onl.la/gUeRxtu
知名度が低い企業が人数を集めるための母集団形成のポイント
多くの人に興味を持ってもらえる機会をつくる
もっともメジャーなのは、多くの企業が一堂に集結する合同説明会に参加することです。学生は様々な企業を短い期間で効率よく知ることができ、企業比較が捗るため、学生に人気の就活イベントとなっています。説明会で魅力を伝えることができれば、企業に意欲的な学生の集まった質の良い母集団が形成できる確率が高くなります。
自社でインターン・イベントを開催する企業も増えています。ただ会社概要を説明するだけでなく、グループワークや仕事体験など、学生の就職活動の助けとなる内容を織り込むのが良いでしょう。より深く企業のことを知ってもらえる長期インターンを開催するのもおすすめです。
企業の魅力を学生に伝える
たとえばベンチャー企業なら「アットホーム」「裁量の大きい仕事」、技術の高い中小企業なら「どこにもできない技術を持っている」など、学生を惹きつけるセールスポイントを推していきましょう。また、フレックスタイム制の導入や企業の体制が柔軟であるといった、大手企業との差もきちんと発信していくことが重要です。
求人やイベント掲載時、学生を惹きつける強いワードを入れる
就活に役立つ経験が出来るイベントは学生に人気があり、サイトでのクリック率も高くなります。人気イベントの具体的な例としては次のようなものがあります。
・ESづくりに活かせる体験ができる
・グループワークの練習ができる
・グループディスカッションからフィードバックまで一連の流れが体験できる
知名度の低い企業は、学生に人気のあるプログラムを入れたイベントを企画し、サイトに掲載する際は以下のワードををいくつか入れると良いでしょう。
例:「自己分析、他己分析ができる」、「グループワーク、グループディスカッションを経験できる」、「社員の方からフィードバックがもらえる」、「人事目線で」、「直接お話しできる、座談会」、「就活セミナー」、「職種別の仕事体験」など
母集団形成の手法とメリット・デメリット
採用広報
求人広告
求人サイト(リクナビなど)や求人検索エンジン(Indeed)等のWeb媒体やタウンワーク等の紙媒体に求人の条件を載せた広告を掲載する方法。Web媒体が中心になっている。
求人サイト(リクナビなど)
・メリット
費用が比較的安め、継続的な手間がかからない。エンゲージメントや成果が分かりやすい。
・デメリット
採用の成果は関係なく、求人掲載期間によって費用が発生するため、費用対効果が良いとは限らない。長い期間と効果のデータが必要になってくる可能性がある。
絞り込み検索などで表示されない可能性がある
求人検索サイト(Indeedなど)
無料から求人広告を掲載でき、コスト面で優れる
成果報酬型(求人をクリックした数に応じて課金)であるため、成果に合わせてコストをかけることができる
採用動画
動画を活用した会社概要説明や、ユニークな企画の動画をYoutube等の動画投稿サイトや自社HPで公開する方法。
・メリット
学生がリーチしやすい。特にYoutubeなどの場合は、学生の目にも触れやすく、再生する前の障壁が低い。
手法に制限がなく、自由に行える。社長が採用面接を逆に受けるなどユニークな動画も多数あり、工夫によっては知名度アップに繋がる。
・デメリット
動画作成を外部に頼むとコストがかかる。新卒採用に直結するとは限らない。
SNSでの情報発信・ソーシャルリクルーティング
「Twitter」「Instagram」「Facebook」といったSNS上で企業のPRをして、採用活動を長期的に行う方法。ソーシャルリクルーティングでは、SNS上で求職者に向けて求人広告を配信する。
・メリット
費用が掛からない。(広告を使用する場合は別途必要)
学生に近い距離で採用活動ができる。
採用活動のやり方に制限がなく、自由にできる。
拡散力がある。
・デメリット
定期的な情報発信を継続していく必要がある。
オウンドメディア
学生に向けて就活や採用に関する情報を発信し、蓄積するWebサイトを運用する方法。
・メリット
SEOに対して上位に表示されれば、見る人が多くなり、会社の知名度も上がる。
・デメリット
継続的な運用をしていく必要がある。新卒採用に直接繋がるわけではない。
採用ブログ
人事ブログともいい、ブログを用いて、会社説明会やインターン、採用情報などを発信していく方法。自社メディアのため、会社の雰囲気や仕事場の様子、人事の本音などあらゆることを発信することができます。
・メリット
求人広告を無料で掲載できる。
企業に興味を持ってくれた学生のみ集まるので、質の高い母集団形成に繋がる。
企業に興味を持った学生がより深く企業のことを知るきっかけとなる。
・デメリット
自社でHPを作成、コンスタントに運営する必要がある。(外注するとコストがかかる)
企業に知名度がなければ、そもそも見てくれる人数が少ない。新卒採用には繋がりにくい。
WEB説明会
zoomやYoutube等のツールを用いて企業説明会を行う方法。
・メリット
zoomなどを使用すれば、比較的コストがかからない。
対面形式よりも学生が気軽に参加しやすい。
一度に多人数が参加できる。
・デメリット
学生が企業自体に興味を持ってくれるきっかけがないと学生が集まらない。
イベント
合同説明会
多くの企業が集結する説明会に参加し、学生との接触の機会を増やす方法。
・メリット
大人数の学生と出会える。
今まで興味がなかった学生にも出会える。
・デメリット
他の手段に比べて大幅にコストが掛かる。
大学訪問・学内説明会
大学に直接交渉して、企業セミナー等を開き、採用活動を行う方法。
・メリット
教授に交渉などもできるため、求める学生像に近い学生を集めることができる。
・デメリット
募集できる対象が少ない。人数を集めることが難しい。
インターンシップ
企業が学生側に職業体験の機会を提供する方法。インターンシップには、グループワークや講義が中心の「短期インターン」と学生が企業の仕事を体験する「長期インターン」がある。
・メリット
インターンシップ内容によっては、企業の知名度に関わらず学生集客が見込める。学生とのマッチングの質が高くなる。
・デメリット
他のイベント、媒体に比べ準備期間と人手が必要になる。
採用イベント
・メリット
学生と近い距離で接することができるため、深く関わることができる。
・デメリット
比較的高いコストが掛かる。学生にとって魅力がなければ人数を集めることが難しい。
インターンシップガイドでのイベント掲載
インターンシップガイドで企業のインターン・イベントを掲載する。
(IG資料請求紹介、イベントが無料で掲載できることをがっつり紹介する)
・メリット
イベントの掲載費用が掛からない。(成果報酬型)
・デメリット
学生を惹きつけるインターン・イベントでなければ、数あるインターン・イベントの中から必ずしも学生が見てくれるとは限らない。
最後に
新卒採用における母集団を形成するためにもっとも重要なのは次の3点です。
1)求める学生像(ペルソナ)を明確にする
2)就職における学生ニーズの調査
3)競合企業の分析
さらに、これまで紹介してきた数ある選択肢の中でどのような手法を選び、どういった結果が出たかを分析し、年度ごとにアップデートして採用活動の精度を上げていくことも重要です。少子化傾向もあり、これからも新卒採用市場は競争が激しくなっていくことが予想されます。ノウハウを蓄積し、企業に合った新卒採用のやり方を確立させていきましょう。
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