新卒スカウトメール作成の基本【人事担当者向け】



スカウト型のWebサービスとは、企業の人事担当者が学生のプロフィールを読み、直接メッセージを送ることができるサービスです。学生の就職活動のスタイルが多様化する中、このようなサービスは増えてきています。
では、スカウトひとつで学生に「この会社、おもしろそう!」「会社見学に行ってみようかな」と思わせるには、人事担当者はどのようなことに気をつければよいのでしょうか?
学生が応募したくなるスカウトの基本とコツを紹介します。

スカウトメール
目次

スカウト文面を考える前にやっておくべきこと

サービスによって、スカウトの仕組みやデザインは異なります。意外とできていない人事担当者が多いのが、サービスの仕組みを理解すること。
利用するサービスが決まったら、スカウト文面を考える前に、ユーザー(学生)になり切ったつもりで利用方法を体験しておきましょう。

具体的に押さえておくべき点は3つです。

スカウトの通知から応募までの流れを理解する

細かいですが、学生がスカウトを受け取った際に表示される情報や、受信から開封、応募までの操作方法や難易度について、把握しておきましょう。
文面を考える際に、とくにアクションの難易度が高い部分(例えば、IDを入力してログインする必要がある等)については、「面倒だけれどログインして確認したい!」と思わせるような動機づけの工夫が必要です。流れは大きく3つに分けられます。

・スカウトの通知
スマホアプリでの通知なのか?
メールで「あなた宛てのスカウトが届きました」という通知があるのか?
通知の際、企業名のみ記載されるのか、それともスカウトの件名まで表示されるのか?

・スカウト全文の見方
サービスにログインしてからスカウトを見る必要があるのか?
受信したメールでスカウトが見られるのか?
もしくは一部分だけ見ることができ、続きはログインする必要があるのか?

・応募方法
メッセージに返信をする形式か?
ボタンひとつで応募ができるのか?

編集するべき情報と文字数を把握する

件名、本文、署名、企業情報、画像など、学生が目に触れる順番通りに確認しておきましょう。とくにほとんどのサービスで学生が最初に触れることになる件名や本文の冒頭は、第一印象のカギを握る大事な部分です。サービスによっては、画像が印象を左右することもあります。

学生が受信できるスカウト通数を把握する

学生が受信できるスカウトの通数に制限のあるサービスと、そうでないサービスがあります。ある場合は長いスカウト文でもしっかり読んでくれる可能性は高いですが、ない場合は、より簡潔に、あるいは冒頭で興味を惹くキーワードを入れるなどの工夫が必要です。
これを踏まえ、文章のボリュームを調整しましょう。

スカウト文面作成のコツ

サービスの仕組みを理解できれば下準備は完了です。それではスカウト文面作成のコツを紹介します。重要なポイントは、「学生視点」「特別感」「アクションのしやすさ」の3つです。ついやってしまいがちなNG例とともに見ていきましょう。

「学生視点」が基本

当たり前のようですが、学生の立場になって、「もらったら嬉しいスカウト」を書くことが重要です。頭ではわかっていても、意外とできていないスカウトは多いです。

・NG例その1:ビッグワードばかりで、自社の特徴が分かりづらい
「風通しのよい会社です」「若手にも裁量権があります」「社員のライフワークバランスを重要視しています」など、どこの会社でも当てはまりそうな言葉には充分注意しましょう。
学生は就職活動中、このようなビッグワードに毎日のように触れており、結局どの会社も同じように見えてしまうケースも少なくありません。
このような説明をする際には、必ず具体例を付ける、他社と比較したデータを入れるなどの補足をしましょう。

改善例)
「社員同士はニックネームで呼び合い、『ミーティングでの発言は若手社員から』というローカルルールが定着しているくらい風通しの良い会社です。」
「ライフワークバランスを重要視しており、社員には〇〇休暇を〇日、〇〇休暇を〇日支給しているのに加え、昨年より、〇〇業界ではいち早くリモートワークを導入した会社です。」

・NG例その2:自社の特徴の押し売り
ビッグワードを具体化するだけでは不充分です。ありがちな失敗例は、「業界No.1のシェアをもつ会社です」「若手社員もリーダーとして活躍しています」といったような、自社の特徴を並べただけの説明で終わってしまうケース。
それ自体は悪い情報ではありません。しかしながら、その特徴が対象学生の性格や志向にいかに合っているかを説明しなくては、「だから何?」ということになりかねません。学生のプロフィールやアピール情報と紐付けて書くことで、なぜその学生にスカウトを送ったのかが伝わりやすくなります。

改善例)
「業界No.1のシェアをもつ当社ですので、大手企業からの信頼も厚く、あなたのような責任感の強い方にとっては大きなやりがいを感じられる環境です。」
「当社は若手社員も入社2〜3年でリーダーを任せているため、あなたが培ってきた学生団体○○代表としてのチームマネジメントの経験が活かせるのではと期待しています。」

特別感を出す

学生は就職活動中、一日に数十通〜数百通のメールを受信します。また、利用するサービスも1つということはめったにありません。限られた時間の中で企業を選ぶ際、「自分をよく分かってくれている」と思わせれば、より興味を喚起することができます。
スカウト型のサービスは、マス向けの広告やDMとは違い、学生一人ひとりにアプローチできるのが最大のメリットですので、特別にその学生へオファーしていることが伝わると良いですね。

・NG例その1:二人称がマス向け「〇〇大学の皆様」「〇〇な方は~」
人事担当者の中には、DMのように同じテンプレートで複数の学生にスカウトを送る方もいるかもしれません。しかし、全く同じテンプレートを使い回すと、どうしても「営業職志望の皆様には〜」「〇〇にチャレンジしたい方には〜」といったように、不特定多数の学生に向けたメッセージになってしまい、結局個々には響かない内容になります。スカウト文中の二人称は、「あなた」もしくは「〇〇さん」とし、一対一のコミュニケーションであることをしっかりと意識しましょう。

・NG例その2:応募喚起の工夫がない
「興味がありましたらぜひご応募ください」でも悪くはないですが、せっかく人事担当者が学生のプロフィールを読んだ上で厳選してスカウトを送る学生ならば、何かしらの優遇をしても良いはず。可能な限り、選考PASSや特別に面談やランチなどの特別案内をし、応募喚起をしましょう。

改善例)
「このスカウトを受け取ったあなたには、特別に〈書類選考PASS〉とさせていただきますので、ぜひ一次面接にいらっしゃいませんか?」
「このスカウトを受け取ったあなたには、特別に新卒入社3年以内の若手社員とのランチにご招待いたします。」

アクションのしやすさを考慮する

スカウトを読んだ後、ボタンひとつで応募できるサービスもあれば、スカウトに返信をすることで応募できるサービスもあります。後者の場合、より気軽に返信ができるように工夫しましょう。とくに社会人とのコミュニケーションに慣れていない学生は、メールの返信文の作成段階で躓く人も少なくないため、ある程度の決まった形式があると素早くスムーズに返信ができます。

・NG例:何を返信したらよいのか分かりづらい
「ご返信をお待ちしております。」だけでは不親切です。応募したい場合はどのように返信をしたらよいのか、明確に記載しましょう。

改善例)
「ご応募いただけるようでしたら、選考希望日時(所要時間は1時間程度です)と合わせてご返信をお願い致します。
※返信例:選考を希望します。希望日は〇月〇日〇時〜〇時、〇月〇日〇時〜〇時の間です。」

最後に

スカウト文面が完成したら、再度学生の立場になって確認しましょう。
ポイントをまとめた以下の項目を、チェックリストとしてご活用ください。

最終チェックリスト

・ビッグワードには具体説明があるか?
・自社の特徴の押し売りで終わっていないか?
・二人称は「〇〇な方」「皆様」ではなく、「あなた」「〇〇さん」になっているか?
・特別選考の案内など、応募喚起の工夫はあるか?
・返信しやすいように配慮しているか?
・スカウトの通知~開封~応募の一連の流れに沿って動機づけの工夫が施されているか?

学生の就職活動のスタイルは年々多様化しており、スカウト型のサービスを利用して企業からダイレクトにオファーを受ける学生は珍しくありません。まずは基本を押さえ、学生視点のスカウトを意識し、コミュニケーションをとっていきましょう。


この記事を書いた人
ちなつ
ちなつ 東京都
新卒でIT企業の人事部に配属後、新卒・中途採用および研修を担当。約4年間、採用戦略設計から母集団形成、選考、内定者フォロー、研修までを一貫して経験。採用イベントや選考で年間数百名の学生と接する中で得た知見、就職活動のリアルな情報を発信します。

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