メンター制度のメリットとデメリット|導入のポイントや注意点



新入社員や中途社員などの新人を迎えるにあたり、OJTの教育方法のひとつとして、メンター制度があります。

メンター制度の導入にはメリットとデメリットがあります。自社での導入を検討する際にはこのメリットとデメリットをよく吟味し、導入を決めることが大切です。


メンター制度導入のメリット・ポイント
目次

メンター制度とは

メンター制度とは、配属先の先輩社員が新入社員を実際の業務の過程でサポートする制度です。メンター担当として、常に寄り添う立場の先輩をひとりつけることで、新入社員がわからないことや不安に思ったことなどを相談しやすい環境を整えることができます。

メンター担当者がその新入社員の業務理解の進捗管理を行うことにより、重複した指導をすることがなく、スムーズに即戦力となるよう指導することができます。


メンター制度のメリット


新人の離職を防ぐことができる

新入社員は右も左もわからず人間関係も築けていません。不安なことや確認したいこと、業務上の質問があっても誰に聞いて良いのかわからないことがあります。周囲が忙しそうにしていると、質問をすること自体を遠慮してしまうケースも多いです。

そんな新入社員に「メンター担当者」を付けることで「この人に聞けばいいんだ」と質問しやすい環境を用意してあげることができます。質問しやすいのはもちろん、悩みを抱えていても早い段階で相談でき、「一人で悩みを抱えて誰にも相談できずに早期退職してしまった」ということを防ぐことができます


メンター担当者も成長することが期待できる

メンター制度を導入するとメンター担当者となった従業員の成長も期待できます。入社2~3年目の若手社員も「教える」ことにより業務知識が定着します。

メンター担当となった若手社員は新入社員に聞かれて「分からない」と答えづらいため、担当者自身も一生懸命勉強しようという学習意欲の増加に繋がります。さらに、年齢が近い立場の新入社員の存在は若手社員にとっても大きな刺激となるはずです。


チェックやフィードバックができるので新人の成長が早い

新入社員がいつでもメンター社員への質問ができることで、随時「このやり方であっているか」などのチェックやフィードバックを受けられます。出来ていることと出来ていないことを明確にすることで、新人が早く成長し、早期に即戦力の人材へと導くことも可能です。


メンター制度導入のデメリット


メンターの負担が大きい・人手不足の企業では導入が難しい

新人の教育をメンター1名に任せることで重複した指導をせずに進捗管理がしやすい反面、メンター担当者への負担が大きくなるという問題が発生します。そもそも人手不足の企業では、新人1名に対しメンター1名をつけること自体が難しい場合もあるでしょう

例え新入社員が1名だったとしても、社員全員が自分の業務で手一杯の状態では、通常業務に加えさらに新入社員の指導やフォローまではとても手が回らないということもあるはずです。


メンターとの相性や教え方によってばらつきが出る

メンターと新入社員の相性が悪い場合には、メンター制度の導入が逆効果となってしまう場合もあります。複数の新入社員がいる場合、メンター担当者自身のスキルや教え方の上手さなどのばらつきによって、新人の成長速度に影響を与えてしまうことも懸念されます

事前にメンター担当者に指導方法の研修などをすることで、こうした影響を軽減できることがあります。しかし、メンター担当者になることに前向きな社員とそうでない社員がいることもあるため、相性や指導スキルのばらつきは解消しづらい問題となっています。


メンター以外の人間が関わりづらい

新入社員1名に対しメンター担当者をつけることで、指導する人間が決まっている安心感がある一方、メンター以外の社員が新人に対し「わからなくて困っているようだけど指導してもよいのか?」指導することを躊躇したり、「あの新人はメンター担当者が指導するものだから」と放置してしまったりすることがあります

新入社員自身もメンター担当者不在の際に他の社員に聞いて良いものか迷ってしまうこともあり、人間関係の構築に支障をきたす場合もあります。事前にメンター以外の人間がどこまで指導に関わるのかなどの線引きをしっかりと決めておくと良いでしょう。


メンター制度を導入する際のポイントと注意点


メンターに対する評価制度を整える

メンター制度導入の際には、新人社員の評価だけでなく教育を担当するメンターの評価を行うことができる制度を整える必要があります。メンターは自分の業務時間を割いて新人の研修を行うため、その活動を評価されるような仕組みが無ければ新人教育へのモチベーションの低下などに繋がってしまいます。

さらに評価制度をしっかりと整えることで、メンターのマネジメント能力や教育スキルなどを見ることができます。メンターとしてどのように会社に貢献しているのか、メンターを担当することでどういった能力を身につけてほしいかなどを見ながら、適正な評価を行うことができるよう心がけましょう。


メンターへ事前に研修を行う

マネジメントや指導の経験が豊富なベテラン社員はともかく、そういった経験があまりない若手社員がメンターとなる際には、事前にしっかりとした研修を行うことが良いでしょう。社員によっては指導を行うこと自体が苦手であったり、メンター制度の目的をあまり理解していなかったりする可能性があります。

メンター制度を行う目的・メンターとしての心構え・指導を行う範囲やルール・指導にあたってのポイントや注意事項・指導を行う新人についての情報・メンターとメンティーの評価制度などを、メンターとして新人の教育を始めてから起こるかもしれないトラブルを避けるためにも事前にしっかりとした研修を行いましょう


メンターとメンティーの相性が悪かった場合はどうするか

メンター制度を導入してから起こる問題として、メンターとメンティーの相性が悪くメンター(もしくはメンティー)を変更して欲しいという要望が上がってくる可能性があります。こういった問題が発生することを想定し、予めメンター/メンティーの変更についてのルールを決めておきましょう

「メンティーからメンター変更の申請があってから一度メンティーと相談し、人事責任者が承諾した場合はメンターを変更する」などの取り決めを設定して、メンター研修などの段階で事前に共有を行うことによって、大きなトラブルへと発展したり人間関係が悪化したりということを未然に防ぐことが可能です。


最後に

メンター制度導入についてはメリットを上手に享受しつつも、デメリットを軽減するためには「会社の社員全員で新人を育てる」という前提が欠かせません。そういった考えを浸透させることができれば、メンター制度の導入により新人と会社の双方にとってメリットのあるOJTが実施できるでしょう。


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