新人研修のカリキュラムの組み方
新卒で入ってきた社員を、大学生から社会人にマインドを切り替えるには、適切な新人研修をすることが大切です。しかし、具体的にいったいどういった研修を行えばいいのでしょうか。
- ・新人研修の目的
- ├社会人のいろはを理解させる
- └会社と現場について理解させる
- ・新人研修の内容
- ├社会人のいろはを理解させるための新人研修の内容
- └会社と現場について理解させるための新人研修の内容
- ・新人研修カリキュラム作成のポイント
- ├理解しやすい研修スケジュールを心掛ける
- ├座学だけでなくアウトプットさせる
- └目標設定や振り返りの時間を用意する
- ・近年の新入社員の傾向
- ├受け身のためやる気が見えにくい
- ├指摘されることに慣れていない
- └成長やスキルアップに積極的
- ・最後に
新人研修の目的
社会人のいろはを理解させる
新卒入社したばかりの新入社員は入社前まで学生だった人ばかりです。社会人の常識や企業に勤める上で必要な責任感や時間管理などを入社時に身につけている学生は少ないでしょう。
新人研修では、新入社員がこれらの社会人として必要な知識や考え方を身につけ、いち早く社内で活躍できる人材となるために社会人のいろはを理解してもらうよう 研修を行います。
会社と現場について理解させる
新入社員には、企業理念や事業内容などの会社についての正しい理解を深めると共に、社内ルールや業務の進め方などの仕事を行う上で必要となる知識をしっかりと理解してもらう必要があります。
新入社員が自身の役割を認識して働くことができるよう、現場でどのような業務を行うのかはもちろん、事業全体としての目標からそれぞれの仕事がどのように会社に貢献しているのかなどを理解してもらい新入社員の目標意識の向上を図ることができます。
新人研修の内容
社会人のいろはを理解させるための新人研修の内容
・ビジネスマナーの基本
どの業界・職種でも共通して必要なビジネスマナー。まずはここからしっかりと研修していきましょう。とにもかくにも大切なのが、「挨拶」です。学生でも挨拶くらいできるだろうと思いがちですが、学生によっては挨拶の際に声が小さくなってしまったりします。
身だしなみについても研修します。ヘアスタイルやスーツについて、清潔感のある見た目をキープするように指導しましょう。制服やスーツではなく私服で勤務する場合は、具体的な例を出しながら、どんな服装をすべきか細かく伝えてください。
名刺交換は、今まで一度もしたことがないという学生がほとんどです。名刺は相手より先に出す、受ける時は相手の名前やロゴに指をかけない、「ちょうだいいたします、よろしくお願いします」と一言そえるなど、実際に交換しながら練習するとベターです。
・ロジカルシンキング
社会人として仕事をする以上、「なんとなく」「勘で」動くわけにはいきません。何か問題に直面した時は論理的に原因を分析し、適切な解決策を導き出す必要があります。そこで身に着けたいのが、ロジカルシンキングです。
研修ではツリー構造を学んだり、フレームワークを実践的に使ったりします。ここで考え方のクセをつけて、現場に出てから実際的な問題解決に取り組むときに、こうしたツールを利用できるようにするのが目的です。
・リーダーシップ
新卒で入ったばかりだとチームを引っ張るリーダー的役割はしばらく割り当てず、メンバーとしての活動がメインとなります。しかしながら、初期の段階からリーダーシップを学んでおくというのはとても重要です。
リーダーシップを伸ばすことで、仕事への積極性を高めます。当事者意識が低いと「自分は言われたことだけやっていればいい」という受け身の姿勢になりがちですが、リーダーシップを高めることで「自分がみんなを引っ張っていくなら、どうするか」という主体的な思考を伸ばせるのです。
会社と現場について理解させるための新人研修の内容
・勤怠などの基本業務
職種に関係なく、全新入社員が理解すべきところから教えていきましょう。たとえば勤怠のつけ方や、会議室の予約の仕方、休みの申請の規定などについてです。配布するPCや携帯の使い方もあわせて教えていきます。
新人のうちは他の社員宛の電話をうけることも多いので、言付を伝えるのに特定のソフトやメモを使っているならそれについても伝えます。その他、鍵の管理や備品の使い方なども研修で一気に教えましょう。
・ビジョンやミッション
実務的なこととは別に、企業そのものについて改めて理解を深めるのも新人研修の要です。企業の目指すべきビジョンはどこにあるのか、そこに到達するまでにどんなミッションをクリアしていけばいいのかを共有してください。
就活の時点で企業研究の一環として把握していても、内定~入社までの間に頭から抜け落ちていることもあるもの。改めてビジョンやミッションを意識するカリキュラムを取り入れることで、新入社員のモチベーションも上がります。
・OJT研修
新人研修の仕上げとしてOJTをすることが多いでしょう。on the job training という名前の通り、実際の仕事をしながら学んでいく手法です。この時大切なのが、OJTを受け持つ先輩社員へのフォローです。通常業務をこなしながら新人の育成をするのは、かなり負担が大きいもの。こまめに先輩社員の状況を確認し、他にまわせる部分は一時的にまわすのも一手です。
また、誰がトレーナーになるかによって新人のスキルにバラつきが出がちというデメリットがあります。OJTに入る前にトレーナーを集め、どんなことをどのくらいのスピードで、どのように教えていくかを確認しておきましょう。
新人研修カリキュラム作成のポイント
理解しやすい研修スケジュールを心掛ける
新人研修カリキュラムの作成の際に最初に気をつけるべきことは、新入社員が理解しやすいような研修スケジュールを作成することです。
社会人になって右も左も分からない新入社員ですから、いきなり専門用語やビジネススキルが必要な実践業務をさせたり一日に様々な種類の研修を詰め込むと、研修中に十分な理解ができません。
まずは会社のビジョン・ミッションや事業内容などの全体理解をしてもらった上で、社会人マナーやビジネススキルの習得、現場でのアウトプットを実践するなど新人社員の立場になった上で理解しやすい内容とスケジュールを組むよう心がけましょう。
座学だけでなくアウトプットさせる
新人研修でありがちな失敗の一つが、座学ばかりで勉強会のような研修になってしまうことです。効率良く会社や仕事について学んでもらうためにも、インプットとアウトプットのバランスがとれた研修を組みましょう。
現場で働く際に必要となるスキルを、研修段階で少しでも身につけてもらえるよう工夫しましょう。実際の業務に即したグループワークや業務シミュレーションなどを通して、研修中に学んだ内容をアウトプットできるよう研修を設計することが重要です。
目標設定や振り返りの時間を用意する
新入社員が実際に研修で学んだことを振り返ることができるよう、目標設定や振り返りの時間を用意するようにしましょう。現場に配属された際にも、自身で目標を設定して振り返る習慣というのはとても重要です。
社会人になったばかりの頃は自分自身のパフォーマンスについて理解しきれていません。新入社員が目標設定の習慣をつけ、定期的に自身の行動を振り返ることができるよう、新人研修で数回は振り返りの時間を用意しておくと良いでしょう。
近年の新入社員の傾向
受け身のためやる気が見えにくい
現場の社員が新卒に対してよく抱く感想が、「最近の若い人たちはやる気がない」というものです。たしかに本当にやる気がない人もいますが、やる気を外に見せることが苦手な場合が多いです。社会人になりこれから仕事をするぞと気合が入っていても、それを外に出す術がわからなかったり、やる気をわざわざ他の人に見せる必要性を感じていなかったりします。
受け身の姿勢が根付いているためにやる気がないように見えてしまう人も多いです。上の世代からすると、言われたことをやっているだけなんてやる気がないと思いがちですが、本人たちは手を抜いたり楽をしようとしているわけではありません。ですから、「自分から動かないなんてやる気がない」と断定しないように気をつけましょう。
指摘されることに慣れていない
かつては日本でも体罰が当たり前という時代もありましたが、状況は大きく変わっています。最近では小学校でも叱らない先生が増えており、中学高校ではなおさらです。そのため、最近の新入社員は人から怒られたり何かを指摘されることに慣れていません。
自分が入社したころ先輩に厳しく指導されたからと強い口調で指摘したりすると、こちらが思ったよりも深いダメージを受けてしまうこともあります。怒鳴ったりしても逆効果なので、ミスに対しては冷静に指摘するようにしましょう。
成長やスキルアップに積極的
一昔前は、安定した企業に就職し穏やかに暮らしたいと考える若者が多い傾向がありました。しかし最近では、意欲的にスキルアップし、経験を積んでより社会で活躍できる人材になりたいと考える積極的な若者が増えてきています。
学生起業や独立をすることにも積極的で、自ら会社を設立して社長を目指すという人も少なくありません。子供の将来なりたい職業ランキングで社長やエンジニア、YouTuberが上位に入ってきていることからも、こういった傾向は強くなっていくと考えられます。
積極的に学ぶ姿勢のある新入社員のモチベーションを上手に活かして新人研修を進めることができれば、社内で活躍できる人材を育成できるでしょう。
最後に
今回は、新人研修のカリキュラムについてご紹介しました。社会人として知っておくべき内容と、自社について学ぶ内容の二つにわけ、系統立てて研修をしていきましょう。
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