キャリアセンタースタッフによる最近の学生事情



キャリアセンターには、毎日たくさんの学生が訪れ、添削や相談・資料の閲覧などの様々なサービスを利用していきます。
その中で見えてきた最近の学生事情について、特徴的なものを挙げてお伝えしていきます。

キャリアセンター

「自己実現」より「社会貢献」

一昔前は「○○になりたい」などという夢に向かって、行動し結果を残すことが「かっこいい」とされてきました。
大学生の就職活動においても、そのような傾向は強く、自分が「業界の人」になるために頑張ったという「就職活動の形」が多く見られました。

もちろん今でも、夢を追い続け、自分のなりたいものを目指して頑張る学生さんも一定数います。
しかし、今多くなっているのは「社会貢献をしたい」という希望です。自分が働くことで、自分の食べていけるお金を稼ぐだけではダメで何かしらの形で「社会貢献」ができる仕事をすることが、彼ら彼女らのステータスになっています。

その傾向の要因として高校までの教育があげられます。
相談に来た大学生から聞いた話によると、学校の総合的な学習の時間などで発展途上国や障害者、被災地などの支援や地球環境問題を題材にし、それらの調べ学習や発表を行っていることが多いようです。
そのため、「〇〇業界の人」というステータスを得ることやお金を稼ぐことよりも「社会に貢献すること」の方が価値が高いという認識が身についている、と考えられます。
それを理由に、企業選びをする際に主となる事業にではなく,CSR活動に惹かれて選考を受けることを決めたり、 社会の評価基準も「お金を持っている」ことよりも「どれだけ社会に貢献できたか」にシフトしており、このような考え方にも大学生が影響を受けているのではないかと感じています。

条件で気になるのは「お給料」よりも「福利厚生」と「勤務地」

最近の学生は大学を選ぶときも「安」「近」「少」の傾向があると言われています。
これは保護者の年収が減る中、学費が「安」く、自宅から通える「近」い場所で、受験料もあまりかからないように「少」なめの数しか大学を受けないという傾向のことです。

企業選びにも、大学選びの「安」「近」「少」のような傾向があり、グローバルな企業の総合職に入り海外で勤務するというよりも、現在住んでいるところから通えたり、一人暮らしをするとしても実家の「近」くの企業を選びがちです。
大学生活を一人暮らしで過ごした学生に関しては「実家に戻りたい」という要望が非常に多い、というが現状です。

雇用条件の面では、たくさんお金を稼ぎたいというよりも、給料は「安」くてもいいので、「休み」が取りやすかったり、住宅手当があるなどの福利厚生が充実している企業を好む傾向があります。
これは、彼らが自分の趣味などに使える「自分の自由にできる時間」を何よりも優先にする傾向から来ていると考えられます。
アニメやゲームなどが趣味の学生も多く、自宅にてスマホ等で楽しめる動画鑑賞をしたりする時間が、彼らの「癒し」となっているのです。
また音楽フェスに積極的に参加する学生も多く、「好きなものにお金を惜しまず使う」傾向が強くなっています。

その代わりに、車や洋服・旅行など昔の大学生がお金をかけていた部分にはあまりお金をかけないのが実態です。
旅行に行くとしても、近場の温泉にイツメン(いつものメンツ)でということが多いようです。
そういった彼らの生態を見ると、「福利厚生」と「勤務地」を優先する傾向にあることも理解ができます。

「褒められたい」より「気にかけられたい」

先ほどのイツメン(いつものメンツ)と過ごすことが多い大学生の生態から察するに、10年・20年前の大学生よりも通常触れ合う人数は確実に「少なく」なっており、自分のキャラクターが固定化し、安心感のある狭いコミュニティーの中で生きているというのが、今の大学生の実態なのではないかと考えられます。
つまり彼らは特定の人から「気にかけられる」ことはあっても、あまり触れ合わない人から「気にかけられる」という経験は あまりないと言えるでしょう。

「褒められる」と嬉しそうにするというのは、人間誰しも傾向としてありますが、今の大学生は「気にかけられる」ととても嬉しそうにします。
ですから、「前も来たよね」「この前のあの悩みはどうした?」の 問いかけや「あれからどうしていますか」などのメールなど 自分が覚えられていると感じたときや、 「面接が終わったら報告しにきてね」などの ずっと覚えているからまた待っているという姿勢を相手から感じた 際などは非常に喜んでくれます。
昔は近所のおじさんやおばさんが行っていたことでしょうが、そのようなコミュニティーがない彼ら彼女らにとっては、 このようなコミュニケーションが非常に新鮮で温かく感じられるのではないでしょうか。
大人の私たちには少し、「しつこい」と感じられるようなコミュニケーションも彼らには「優しさ」に思えるようです。

アルバイト・サークル・資格取得の勉強など意外と忙しい今の大学生

昔は「モラトリアム」などといわれて、授業は「代返」、余りある時間を使いバイトに明け暮れ、そのお金で旅行に行き、好きなサークルで恋愛を楽しんだりというのが、定番の大学生の時間の使い方でしたが、今はまったく様変わりしています。

まずはアルバイト。
ブラックバイトなどと話題になっているようにシフトを沢山入れられて、断れなかったり、バイト先でセクハラやストーカーにあうなど、大学生のアルバイトは空いた時間に適当にやるものではなくなっています。
アルバイトで経験が長くなると、社員がいないときに社員の代わりを担う「時間帯責任者」に任命されるなど、更に責任が重くなります。
これでは大学の授業どころではなくなってしまいます。

また「サークル・部活」なども大会に出るようなものになると時間の拘束がありますし、スポーツや音楽などの種類によっては多額の部費や活動費を捻出しなければならないものもあり、金銭的精神的な負担を感じている学生も少なくありません。
しかし、辛くても辞めるなどとは言い出せず思い悩んでいる学生も多くいるのが現状です。

最後に

世の中の動きとともに、景気の良かった時代に比べると学生たちの生活は、明るいだけの楽しい時代とまではいきません。 ですから、今の学生はかなりリアリストですし、多くを望みません。
それを「大志がない」「内向き」と言ってしまうのは簡単ですが むしろシビアな場面を体験してきた学生だからこそ、出来ることがあるのではないかと感じています。

そのように考えると、大人側はそんな学生さんたちに「描いてもいい夢や目標の話」を多くすることが大切なのではないかと思います。
その夢や目標が自分の勤める企業の夢や目標と合致して、働けることの楽しさを感じることができたら、学生さんたちは非常に安心し、社会人として急激に伸びていくのではないかと考えています。


この記事を書いた人
歌うカウンセラーホーリー
歌うカウンセラーホーリー
キャリア&メンタルカウンセラー。国家資格キャリアコンサルタント・産業カウンセラ
ー・CDAの資格をフル活用し、主に若年者支援を専門としている。なかでも大学生の支援
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