リファラル採用のメリット、デメリットとは

国内の求人倍率は2019年頃まで年々増加し売り手市場となっていましたが、コロナウイルス流行をきっかけに大きく低下しました。公共職業安定所(ハローワーク)における令和2年平成29年度の有効求人倍率は1.181.54倍で、前年の1.60倍を下回る結果となっています。

引用元:一般職業紹介状況(平成30年3月分及び平成29年度分)について|厚生労働省


そんな変化の激しい「採用」市場において、人材を採用する事が高コストでリスクの伴うものになったように感じる採用担当者の方も多いでしょう。

このような状況もあり、これまで人材を採用する手法として、ハローワーク・有料求人サイト・冊子・自社求人サイトなどが中心となっていましたが、昨今では「リファラル採用」という手法が注目を集めています。ここでは、「リファラル採用とはどのようなものか」「導入の際のメリット・デメリット」について解説します。



目次

リファラル採用とは

リファラル(referral)は、英語で「紹介、推薦」といった意味を持ち、企業の採用活動においては「既存社員からの人材紹介」という手法にあたります。友人・知人や親類を直接紹介してもらうことにより、予めある程度の人柄やスキルが分かり、ゼロから採用を進めるよりも効率よくコストをかけずに採用することができます。また、既存の従業員からの紹介ということで、一定の信頼がある人材のみ出会うことができる点も大きな魅力です。


リファラル採用のメリット

採用コストの削減

人材を採用するにあたりハローワークを通しての採用が厳しいと感じた時に、まず思い浮かぶのが有料求人媒体でしょう。テレビCMや駅・看板などの公共広告を多く打っている有名媒体は利用者数も多く、スマートフォンでの検索もしやすいため求職者が最も身近に感じられる手段となっています。

しかし、求人媒体に広告を掲載するにはかなりのコストが発生します。様々なプランがありますが、一つの求人ページを作成するのに50万円以上の費用が発生することも珍しくはありません。また、人材紹介会社を介した場合は、採用する人材のスキル・役職に伴った報酬を支払う必要があるため、こちらも多くのコストがかかります。

リファラル採用は「自社の社員を通しての採用」になるので、採用に伴う支払いはゼロまたは紹介した社員への報奨金のみとなります。広告代理店や人材紹介会社とのやりとりに要する時間の削減にもなるため、他の採用手段よりも多くのコストを削減することができます。


効率良く採用活動ができる

求人広告を出稿した場合、「Web応募→面接予約→来社→採用」という手順を踏むことになりますが、ステージごとに応募者は減少していきます。例えば、Webで応募した応募者すべてに連絡がつく訳ではなく、面接予約をした全員が来社する訳ではないということです。

もちろん募集条件により異なりますが、一つ進むごとに50%の応募者が減ると考えると、1人採用するためには8人の応募が必要となりますし、2人ですと16人の応募が必要になります。

リファラル採用の場合は、手順が「紹介→面接→採用」と少なくなり、知り合いからの紹介ということから、来社率が向上します。従業員の直接の知り合いのため、スキルや人柄、社風になじめるかなどを一般的な面接よりも深く知ることができます。その結果、一般的な採用よりもマッチング率が大きく上がり、内定事態や早期退職のリスクも下げることができるのです


離職率が低い

離職の大きな理由の一つである「人間関係への不満」が、リファラル採用では軽減できる可能性があります。入社してくる社員にとって、知り合いが社内にいる、更に仕事を紹介してくれるだけの信頼関係が出来上がっているという事は新しい職場では心強いものです。

「マッチング率の高さ」も離職率の改善に貢献します。「思っていた仕事内容と違った」「合わなかった」というミスマッチが原因で早期に辞めてしまうという人材も少なくなるでしょう。


転職市場にいない優秀な人材に出会える

リファラル採用では、紹介によってまだ本格的に転職活動を行なっていない人材や転職サービス・求人媒体を利用していない人材に出会うことができます。転職市場にはいない、普通の採用活動では出会うことができないような様々な人材と出会うことができるのもリファラル採用の大きな魅力の一つです。


リファラル採用のデメリット、注意点

社員の採用に対する理解が必要

普通の採用活動では、主に採用を行う人事と面接を行う面接担当者が採用方針や求めている人材像について理解していれば良いのですが、リファラル採用を行う際は新しい人材を紹介してくれる社内の従業員も自社の採用について理解しておく必要があります

従業員の採用ターゲットについての理解が浅い場合、検討違いの人材ばかり紹介されてしまい採用効率が悪くなってしまいますので、事前に求めている人材についてしっかりと共有しましょう


不採用の際は人間関係に配慮する

リファラル採用で紹介された人材は、必ず採用しなければならない訳ではありません。しかし、紹介される側は採用を前提に考えていることも多く、リファラル採用を進める場合はこの点を紹介者(社員)へしっかりと説明しておく必要があります。

リファラル採用に限らず選考の際は不備や失礼の無いよう注意が必要ですが、従業員の直接の紹介であるリファラル採用においてはその後の人間関係に関わるため、より一層の注意が必要であることを覚えておきましょう。


報奨金制度を設ける場合は要注意

派遣会社の登録などで広く採用されている手法に報奨金制度があります。「紹介した人が採用になった場合、謝礼として○円支給される」というものですが、本来人材紹介は厚生労働省の許可が必要であり、高額な報酬は違法な人材紹介にあたるとされてしまう場合があります

社内で報酬金を設定する場合は、高くても数万円程度に留めるなど一般的な人材会社紹介料より低く設定するべきです。報奨金が安いという声が上がらないようこの点も事前に従業員に説明しておくと良いでしょう。


リファラル採用を始める際のポイント

他の採用手法と組み合わせて行う

リファラル採用では社員全員が積極的に人材を紹介してくれることは稀で、人事側から積極的に人材へアプローチすることができません。そのため、基本的に他の採用手法と組み合わせて採用を行うのが一般的です。就活サイト/転職サイトや人材紹介サービス、イベントへの出典など多角的なアプローチで人材との出会いを増やしましょう。


社内に制度を定着させる

現状の求職倍率を実感できていない社員もいるかもしれません。ハローワークや有料求人媒体で充分と考える方も多いでしょう。

リファラル採用を成功させるためには、そういった従業員を含め、社員全員が採用担当が持っている認識を理解する必要があります。積極的にリファラル採用に取り組む社員が多ければ多いほど採用の間口は広がっていくので、採用についての認識共有は非常に重要となります。


スピード感を持って行う

採用活動の全てにおいて言えることですが、求職者への連絡はスピード感を持って行う必要があります。折角採用することを決めても、「他社の採用が決まったから」という理由で断られる場合も少なくありあせん。

特にリファラル採用では、紹介した従業員と採用担当者の両方が連絡を取ることもあり、どちらがどこまで連絡をするのかなどで混乱を招く恐れがあるので要注意です。紹介されるまでは紹介者任せにしていた連絡なども、紹介された後はリファラル採用の担当者が責任を持って連絡を取るようにするなど対策をしましょう。


まとめ

年々上がる求人倍率に伴いこれまでと同じ採用活動を行っているだけでは人材を見つけることが厳しくなっています。とはいえ、これまでのやり方を止める訳ではなく追加の策として、少しでも採用の間口を広くすることが重要です。この機会に是非、リファラル採用の導入を検討してみてください。


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