企業の採用コンセプトの作り方と具体例



今年から新たに人材採用を始めることにした場合や、長年新規採用をしていなかったが再度採用を再開する場合、まず採用コンセプトを考えなければとお悩みの人事の方も多いと思います。

まず何から始めればいいのか、そもそも何を考えるべきなのかも難しいところです。そこで、実際の企業の具体例をもとに、採用コンセプトを作る上での考え方について解説します。



目次
  • 採用コンセプトとは
  • ├採用コンセプトとは何か
  • ├採用メッセージとの違い
  • └採用コンセプトの必要性
  • 採用コンセプトの作り方
  • ├自社の経営理念と経営方針を再確認
  • ├中長期的な経営戦略とリンクした人材像を決める
  • ├求める人材像が魅力的に感じるコンセプト作り
  • └採用コンセプトを共有する
  • 採用コンセプトを作る際の注意点
  • ├「作りっぱなし」には要注意
  • ├採用コンセプトは企業のイメージに直結する
  • └他社との差別化された魅力をアピールする
  • 採用コンセプトの事例
  • ├サイバーエージェント「双方向性」
  • └アサヒビール「チャレンジ」
  • 最後に

採用コンセプトとは

採用コンセプトの作り方について見ていく前に、採用コンセプトとはどのようなものか、定義や他の似た言葉との違いについて解説していきます。


採用コンセプトとは何か

採用コンセプトとは、採用活動を行う上で重要な自社の採用方針やテーマのことを指します。採用コンセプトは自社の採用活動の軸となるものなので、人事の責任者や経営陣を含めて慎重に検討する必要があります。


採用メッセージとの違い

採用コンセプトと似た言葉に「採用メッセージ」というものがあります。採用コンセプトは自社の理念や組織風土などを起点に採用全体の方針として策定するもので、採用メッセージは採用コンセプトを求職者に分かりやすく伝えるためにメッセージ性を持たせたものです。他にも「採用キャッチコピー」という言葉がありますが、こちらは採用メッセージとほぼ同義で使われることが多いです。


採用コンセプトの必要性

「採用コンセプトは本当に必要なのか?」「採用コンセプトが無くても採用活動はできるのでは?」と疑問に思う方もいるかも知れません。採用コンセプトは自社の企業方針や経営計画を元に必要となる人材を獲得するために、採用の基本方針を端的な言葉でまとめたものです。

採用コンセプトがあることで、社内の採用関係者や経営陣の意識を統一することができる他、採用コンセプトを元に採用メッセージや採用キャッチコピーを作成することで、求めている人材がどのような人物かを求職者に分かりやすくアピールすることができます


採用コンセプトの作り方

採用コンセプトについてどのようなものか理解いただけたでしょうか。ここからは、実際に採用コンセプトを作る際の手順について、どのように策定していけば良いかを分かりやすく解説していきます。


自社の経営理念と経営方針を再確認

採用コンセプトを作り始める前に、まずは自社の経営理念や経営方針について再確認しましょう。採用を行う上で、自社が「どのような状況にあるのか」「どの方向を向いているのか」「どのような戦略で進めていくのか」を把握することはとても重要です。

このような自社の現状・方針について理解した上で、今後どういった人材が必要となるのかを決めるため、採用に関わる担当者はそういった社内の重要な情報を徹底的に調べて理解しておく必要があるのです。


中長期的な経営戦略とリンクした人材像を決める

「どのような人材が欲しいのか」は、採用担当者が個人的に決めるものではなく、人事の責任者によって社内の経営陣と共に会社の中期的な経営戦略とリンクする形で決められるべきです

経営戦略と人材戦略はリンクするということを肝に銘じておきましょう。例えば、「今後3年間の中期経営計画では、会社としてグローバル化を積極的に進めていきたい」という経営計画があるのであれば、今後採用する人材は「英語で海外と交渉できる言語力があること」など、具体的に人材のスキルや能力を設定していく必要があります。

このように自社の経営戦略に合わせて、今後必要となる人材像をなるべく具体的に決めていきましょう。関係者が色々と考えすぎて本来の人材像とずれてしまっている場合もあるので、一度人材像が決まったら再度、メンバー内や社内の第三者と一緒に見直していくと良いでしょう。


求める人材像が魅力的に感じるコンセプト作り

求める人材像が決まったら、その人材像と自社の特徴や強みを踏まえた採用コンセプトを決めていきます。求める人材が魅力的な会社だと思うようなコンセプトであると共に、自社の方向性や他社にはない強みが伝わるものだと良いでしょう。

「欲しい人材が自分の会社に入社したくなるためには、どういった場所にどのような表現でアピールすればいいのか?」「どうすればより多くの人材と出会うことができ、自社を魅力的に感じてもらえるのか?」を検討することでより多くの求職者に興味をもってもらうことができます。


採用コンセプトを共有する

採用コンセプトが決まったら、まずは社内に積極的に共有しましょう。従業員が採用の方針について理解しておくことで、社員面談・選考面接・OBOG訪問などの場面で適切な情報提供を行うことができます。

採用広報を行うタイミングではホームページなどで求職者や学生に積極的に採用コンセプトをアピールしましょう。採用コンセプトと合わせて、採用メッセージを打ち出すと効果的です。可能であれば、情報収集のために既に公開されている競合他社の採用コンセプトも見ておくようにしましょう。


採用コンセプトを作る際の注意点

採用コンセプトは採用活動を行う上での土台となる重要なものです。採用コンセプトが社内の従業員や求職者に誤解を与えてしまうと採用活動全体に影響が出てしまうので、採用コンセプトを作る際はこれから紹介する3つのポイントに注意するようにしましょう。


「作りっぱなし」には要注意

採用コンセプトでよくある失敗として、採用コンセプトを策定したまま放置されてしまっているケースが挙げられます。とても良い採用コンセプトが出来上がったが、関係者が作ったことに満足してしまい、その後の採用活動や採用広報に上手く活かせず「作りっぱなし」となってしまう状態です。

採用コンセプトは採用活動の方針となるものなので、採用活動中は採用コンセプトを忘れるようなことがあってはいけません。採用コンセプトを元に採用計画や採用メッセージなど、その後の重要な採用活動に繋げていくよう心がけましょう。


採用コンセプトは企業のイメージに直結する

採用コンセプトは企業のイメージそのものに直結します。採用コンセプトが自社のイメージと違うようなものであったり、学生や求職者の誤解を招くようなモノであっては企業そのものの信頼を落としかねません。求職活動中の求職者にとっては採用コンセプトがその企業の顔になるといっても過言ではないので、慎重に審議しましょう。


他社との差別化された魅力をアピールする

優秀な人材であればあるほど、より魅力的な会社を選んで入社します。内定が決まった後も採用ホームページの情報や選考時の印象などで、複数ある会社からどの会社へ行くかを慎重に選ぶでしょう。採用コンセプトの段階から、他社に負けない自社ならではの強みや特徴を整理して、求職者が競合他社よりも自社を魅力的に感じられるよう設計しましょう


採用コンセプトの事例

最後に、採用コンセプトの具体例を見ていきたいと思います。誰もが知っている有名企業の良いコンセプト事例を2つご紹介するので、実際の企業イメージや事業戦略などと照らし合わせて参考にしてしてみてください。


サイバーエージェント「双方向性」

インターネットコンテンツやスマートフォンアプリなどで発展を遂げているサイバーエージェントは、近年「AbemaTV」というインターネット上で視聴できるテレビコンテンツに力を入れています。今後数年間の事業の柱として、より多くの視聴者に魅力的だと思ってもらえる番組の制作や、動画内での収益となる広告の制作を行う人材を採用すべく採用コンセプトを設定しています。

スマホ世代である学生に対して積極的な情報公開と魅力の開示を行いつつ、最も重視しているのは動画配信サービスの魅力でありポイントでもある「双方向性」です。事業紹介や先輩社員の仕事内容を動画で配信することはもちろん、会社説明会やインターンシップの様子も動画で配信しています。リアルタイムで学生からの質問に動画を通じて答えることで「動画を通じた双方向性コミュニケーション」に興味があり、またその能力に長けた学生を集めることができます


アサヒビール「チャレンジ」

アサヒビールは1987年のスーパードライのヒット以降、ライバルであったキリンから首位を奪還しトップシェアを確保しました。しかし、それ以降入社してくる人材は「トップシェアの会社に就職したい」というな安定志向の人材ばかりだったそうで、会社全体として抜本的な改革が求められていました。

そこでアサヒビールは、リスクを恐れずに常識にも捉われることなく新しいことにチャレンジできる、これまでの成功体験すらも否定できるような人材を求めました。現在でも採用ページには「MISSIONにチャレンジせよ!」というコンテンツがあったり、日本だけでなく海外にも展開していくことのできる柔軟な発想力をもった人材を求めていることがわかります。


最後に

採用コンセプトを決めることなく採用活動を開始してしまうと、想像以上に判断基準に迷う場面が多いことに気づくでしょう。採用ページのコンテンツや会社説明会の内容、面接時にどの部分に着目して合否を判断するのか、全ては採用コンセプトに基づいています。採用活動の最初には、まず採用コンセプトを固めることから始めましょう。


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