グループディスカッションで学生を見極める評価基準の例



学生のキャラクターや考え方、チームでの振る舞い方を知るのに有効な、グループディスカッション。新卒採用で導入しているのはいいものの、その結果を採用の判断に使いこなせていない企業も少なくありません。そこで今回は、新卒採用のグループディスカッションについて、学生を見極める評価の基準とポイントについてご紹介します。



目次

グループディスカッションの型

課題に対し解決策を提案する

グループディスカッションで最もメジャーなやり方は、学生を4~5人程度のグループに分けて、一つの課題に対して解決策を出してもらうというもの。「売り上げが下がってきた店舗を立て直すのに、どんな施策を打つか?」「現場のモチベーションを上げるために、どんな制度を作ればいいか?」などの課題を与え、学生は出された課題の解決策をグループのメンバーと協力して導き出します。

実際の仕事で起こりうる課題を出したり、経営的な視点から取り組む必要のある課題など学生に求める能力に応じて課題を柔軟に考えると良いでしょう。

最後には、グループごとに発表の時間を設けましょう。目の前の課題をどのように捉え、その解決のためにどのような施策を考えたのかを理論立てて、分かりやすく説明してもらいます。プレゼン形式にすると発表における学生の主体性や能力を測れて効果的でしょう。パソコンを使った業務を想定して、PowerPointなどを利用してもらうのも良いです。


2択のテーマでディベートをする

学生の立場を二つに分けて、それぞれの立場から意見や主張をディベートしてもらう方法もあります。例えば「新店舗は23区内に出すか、郊外に出すか」「○○という条件の時、これまで取引している業者からの仕入れを続けるか、新しい業者を利用するか」など、正解が決まっておらず双方にメリット・デメリットがあるような二択を与えます。

グループ内で学生の立場が二分するように調整し議論させます。学生が適切にマナーを守って議論を行うことができるか、会話や主張の論理性があるかなどを見ることができます。

白熱しすぎて適切な議論を行うことができなくなる可能性もあるので、このような場合は進行役の担当者がうまく声がけをして調整する必要などが出てきます。


一つのテーマについてアイデアを出し合う

学生にテーマを一つ与えて、全体で討論をさせるやり方もあります。「新しいターゲットをとりこむのに、どんなPRが効果的か?」などのテーマについて発散的にアイディアを出させる方法です。最終的には一つの結論にまとめるよう誘導するのが無難ですが、色々な案を出すに留めておいても構いません。

ただアイデアを出させるだけというよりは、近くに座っている人と話し合ってもらったり、一度出てきた他人のアイデアについて意見を聞いたりなど、様々な方法で議論を進めていくのが良いでしょう


グループディスカッションで学生を見極めるための5つの評価基準

根拠に基づいた発言をしているか

「~だと思う」「~という気がする」という根拠のない憶測や意見はビジネスの現場では要とされません。「~だから~すべき」「~というデータから~ということがわかる」など、事実に基づいた議論が大前提です。

グループディスカッションでは、学生の発言の内容や話し方について耳を傾けながら、事実・根拠に基づいた議論をしているかをチェックします。学生の知識量は評価の対象にはせず、その知識に基づいて思考しているかを見るよう心がけましょう。


他人の意見を聞く柔軟性があるか

チームプレーが必要とされる職場では、相手の意見に耳を傾ける能力が必要です。学生同士が話をしている中で、相手の話を聞いて理解しようとしているかをチェックしましょう。

人が話しているのをさえぎって自分が話したり、相手の発言を丸ごと否定したりする学生は入社してからも同じような行動をする可能性があります。一度相手を受け入れてから、論理的に反論する分には問題ありません。言葉のニュアンスやちょっとした言い方に、相手を見下したり自分の我を通そうとしたりといった気持ちが出ていないかも確認しておくと良いでしょう。


議論に対し前向きに取り組んでいるか

必ずしもいつでもポジティブであることが正解ではありませんが、ずっと黙っていたりネガティブな発言ばかりする人がいるとチームの士気は下がってしまいます。ディスカッションのなかで、学生が課題や議論に対し前向きに取り組んでいるかどうかも評価の重要なポイントです。

誰かのアイディアを否定するだけで代替案を出さなかったり、重箱の隅をつつくような発言ばかりする学生はあまり評価できません。一方で、スキルや能力がまだ足りずとも積極的な姿勢が見られる学生は、入社後に本人や教育環境次第で大きく成長する可能性があります。入社後の姿をイメージしながら、学生のグループワークに対する姿勢を評価するよう心がけましょう。


話の軸とずれた発言をしていないか

現在、どのような話をしているのかを常にキャッチし、本題に沿った発言をしているかというのも評価の対象となります。議論の内容は次々と移り変わるものですが、その変化についていけない人も少なからずいます。もう話し終わったポイントを後から無意味に掘り返したりする発言が、スムーズなディスカッションの妨げになる場合もあるでしょう。

また、本筋とは関係ないような話題を延々と話すような学生もいるかもしれません。突拍子のないアイディアを出すこと自体はマイナスではありませんが、発言の意図や発言の内容が今話しているテーマにリンクしているかをチェックするようにしましょう


人とは違う発想力を持っているか

学生が独自の考えに基づいて人とは違う意見を出しているかも評価のポイントとなります。実際の職場でも斬新なアイディア一つで議論が大きく進むことがあるように、面白いアイディアを出すことができるというのもビジネスの世界では重要なスキルです。

新しいアイディアを出すのが苦手だからといって評価をマイナスにする訳ではなく、あくまでプラスアルファの要素として、加点対象の評価基準とするのが良いでしょう。それまでの議論を踏まえて独創的なアイディア出しをしながら意見を主張できる人材はとても貴重です。


グループディスカッションで学生を評価する際のポイント

評価基準は事前に伝えない

グループディスカッションでは、学生の純粋な能力や人柄を把握するために、評価項目はあえて伏せたままにすると良いでしょう。事前に評価項目を伝えてしまうと、学生がその評価項目に合わせて行動するようになり、「学生本来の能力や人柄が把握できない」「評価項目ばかりに集中して良い議論が行われない」などの問題が発生する恐れがあります。

グループディスカッションの最後に評価項目を伝えるのは特に問題はないですが、グループディスカッションの実施には社内の関係者に貴重な時間を割いてもらっている場合がほとんどです。その時間を使ってまで評価項目を伝える時間を取る理由があるのかを事前にしっかりと考えましょう。

学生に適切なフィードバックを行うことが学生の成長や自社の採用にプラスに働く場合もあるので、そういった時間を設ける場合はメリットを考えた上でどういった内容にするかを事前に考えておくと良いでしょう。

「役割」を評価する際は要注意

グループディスカッションで役割を設定する際には注意が必要です。グループディスカッションでは、今後自社に必要な人材像から学生本来の能力や自社への適性を判断するための評価基準を設定しています。リーダーや発表者などの重要な役割についたこと自体は評価の対象から外した方が良いでしょう

学生がそれぞれ割り振られた役割に対して、「役割を理解して適切な立ち回りを行なっているか」が評価基準としては適切です。また、「タイムキーパーなのに時間を見れていない」「進行役なのに議論を取り仕切れていない」など、他の学生が役割を果たせずにいる場合の対応なども見ておくと良いでしょう


ディスカッションの「過程」を評価する

グループディスカッションでは、最後に発表を行いMVPを決めるという流れが一般的です。ここでのMVPは最終発表の内容によって決められることがほとんどですが、採用における学生の評価は「結果」よりも「過程」に評価の比重を置きましょう

即戦力が求められる中途採用と異なり、新卒採用では学生が将来的に自社で活躍できる人材となれるかどうかを見極めることが重要です。学生の現在のパフォーマンスよりも、仕事に対する姿勢やチームで議論をする際のスタンスや人柄などの内面的な部分を、グループディスカッションの過程を通じて評価するようにしましょう。


ディスカッション中以外の行動にも注目

グループディスカッションは全体を通して半日から数日ほどかけて行われるケースが多いです。ディスカッションの前の待機時間や途中で入る休憩時間での学生の立ち回りなども評価の際の参考になります

議論の最中と休憩時間の言動にギャップがないかを見ることができたり、積極的にコミュニケーションをとってチームワークを高める行動をしている学生を発見したりすることができます。

学生側は折角の休憩時間に会社の人間にずっと見られるというのは大きなプレッシャーとなるので、あくまでディスカッション以外の時間を評価対象にはせず、評価の際の参考にする程度のスタンスでいると良いでしょう


最後に

今回は、グループディスカッションの評価基準について解説しました。グループディスカッションではチームでの行動や議論が必要なため、一対一で接する個人面接よりも、学生の素の姿を理解しやすいというメリットがあります。まだ取り入れたことがないという採用担当の方は、是非選考過程の一つとして導入を検討してみてください。


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