キャリアカウンセラーから見た、今と昔の学生の違い

今の学生と昔の学生は、人数も傾向も驚くほど違います。
まず大学生は20年前よりも倍に増え、全体の30%から60%になったというだけでも大きな違いがあります。
採用を行う企業は、学生の変化に対応しなければなりません。現役のキャリアカウンセラーから見た、大学生のリアルを覗いてみてください!

違い

大人数の集団で行動しない

昔は大学生といえばサークルや飲み会。
たくさんの人数で集まって、飲んで、カラオケをしてなど大賑わいでした。
しかし、スポーツ系の部活は別として、今の学生はまず大人数で行動するところをあまり見かけません。
大体多くても5~6人、少ないと2~3人、京大で食堂に一人席が設けられたように、もちろん一人で行動している学生も多く見られます。

元々彼ら彼女らは核家族で育っている割合が多く、また兄弟も多くて2~3人までで、一人っ子もそこそこいるので、親以外の誰かと大人数で一緒にいる経験が少なめです。
また学校も部活動等が大人数でなければ、部活やクラスの仲良しメンバー何人かで行動しています。
大学に入ると、クラスというものがないところも多くあるので、より今までよりも少ない人数で行動することが多くなるのだと予想されます。

昔であれば「友達は多いほうがよい」と、一生懸命友達の人数を増やしたりもしたのでしょうが、今の学生はリアルで繋がっていなくてもSNSやインターネット上でのつながりも持っているので、リアルな友達の人数はさほど気にしなくなっているでしょうし、「友達は多いほうがいい」という概念も薄れていて「話を無理やり合わせるのであれば、一緒にいなくてもいい」という感覚の方が市民権を得ているように見えます。

他に考えられる要因としては、大学生はあまり「お酒」を飲まなくなっています。
普段日常で「ほぼお酒を飲まない」大学生は45%であるという結果も出ています。
そうなってくると、飲み会も必然的に少ないということになり、大人数で集まる機会もまた減るという現象が起きているようですね。
このようなことが、「飲み会は業務内ですか」という新人の発言にも繋がっているのだと考えられます。
大人数にも飲み会にも慣れておらず、その上特に飲みたくもないお酒を飲まなくてはならないのであれば、楽しくもないわけですし、業務ならいくけどという結論に繋がるのではないかと理解することができます。

「恋愛」に重きをおかない

大学生と言えば「恋」という、大人たちの常識は今の大学生には通じません。
大学生の4割にしか恋人はいないのです。
ということは残り6割は一人です。

ただし、注目すべきはこの割合ではありません。
昔の大学生にも、もちろん恋人がいない学生もいました。
ただその学生たちは何とか恋人を作ろうと一生懸命、合コンをやったり、友達に紹介してもらったりしていましたね。
事実、私の通っていた大学では1年生の夏までに彼氏ができないと「化石」と呼ばれるという噂が回り、必死に彼氏を作る努力をしたものでした(笑)

しかし、今の学生は彼氏や彼女がいなくても、まったく「焦り」がないのです。
さらに、「彼氏(彼女)は作らないの?」と聞いてみても「友達といる方が気楽だから、特にいらない」などという返答が返ってきます。
どうも、彼氏や彼女がいると、自分の時間や友達と会う時間が少なくなるのが嫌なようなのです。
ということは大学生の優先順位は「自分の時間≧友達との時間>彼氏彼女との時間」 ということになっているようです。
このような状況ですから、大学生より先の未来に<結婚>や<出産><家族>を持つというような未来予想図を思い描けず、そのために 就職活動に意欲的になれないということも考えられると分析できます。

「親」を大切にする

先ほどの続きのような話にもなるのですが、今の大学生は「親」を非常に大事にします。
親と同居している実家から大学に通っている学生も多くなったからかもしれませんが、親ととてもよく話をし、相談にのってもらい、就職の際もそれは続きます。
挙句の果てに親に履歴書やエントリーシートを添削してもらう学生や、面接練習をしてもらう学生までいます。
プライベートでも一緒に買い物にいったり、旅行に出かけたりと非常に距離が近いのです。
これは決して悪いことではありませんが、20を過ぎた大人と親の関係とすると少し距離が近すぎる気がしてしまいます。
先ほどの話との絡みでいうと、今の学生は自分を理解してくれる近い存在の友達を大切にします。
その中に「親」が含まれているのではないかと考えられるのです。

ここからはカウンセリングの世界の「家族療法」という分野の話にも繋がってきますが成長した大人であれば、関係する人との間に適切な【境界】を持っていなくてはなりません。
その境界があいまいであると、そのあいまいである関係性の人間から非常に大きな影響を受けます。
今の大学生の親子関係はまさにその状態です。
ずっと幼い頃の親子関係を続けている以上、大学生が「自分なりの主張」をすることができないのです。
そして親は「この子には特に主張がないのだから、自分たちが助け舟を出さなければ」と就職活動にも関与してくるのです。
そんな親が一般企業に就職が決まった後に「やはり公務員を受けて」と言ってきたり、地方に転勤する可能性があるとその仕事に就くことを阻止しようとします。
そんな相談を受けると本当に忍びない気持ちになります。

失敗を避けたがる

上記のような現状を抱えた大学生たちは、当然のように「失敗すること」を避けたがります。
自由にさせてくれるのであれば、自分の思ったように動き、ダメもとでがんばることもできるのですが、親の希望なども考慮したりすると安定的で画一的な就職活動を余儀なくされ、特に自分のやりたいことでもなかったりすると、より失敗などしてまで挑戦したくなくなるのです。

ここ数年、就活サイトで学生一人当たりが企業にエントリーする数が年々減り4年前、一人につき80社以上であったのが今は40社を切る状況となっています。
もちろんこれは、就職の状況が前よりも良くなり、そこまでの数をエントリーしなくてもよいという楽観的な側面も含んでいますが、それ以外の背景として大学生が「どうせダメなところにエントリーしない」、「あんまり行きたくないところにはエントリーしない」という思考になったのではないかとも考えられるのです。

書類や筆記が通らなかったり、面接に「たった1回」落ちただけで、もうやる気をなくしてしまう学生もたくさんいます。
今まで、親の言うとおり受かりそうな高校や大学を受検し、失敗するという経験をしたことがない学生も多く、企業から「お祈り」される ことは学生達にとっては初めての辛い経験なのかもしれません。

最後に

以上大人には少しショッキングな昔と今の学生の違いだったかもしれません。
しかし企業にとってプラスな面もあると思います。昔の学生よりも大手志向の学生は減りましたし、親や周りの人を大事にするということは会社に入った際も、周りと上手くいけば周りを大切にする素質があるということです。
また恋愛に現を抜かしてもいないし純粋ですから、ひとつひとつ丁寧に教えれば真面目に仕事をする可能性があります。
失敗できないと感じているのであれば、計画的に行うことを伝授することでミスを少なくすることもできるでしょう。
そのような今の学生の利点を十分に企業内で発揮してもらう仕組みづくりがとても重要になってきます。 このしくみ作りができた企業は、新人の活躍する活気ある企業として業績を伸ばし、生き残ることができるのではないかと考えます。


この記事を書いた人
歌うカウンセラーホーリー
歌うカウンセラーホーリー
キャリア&メンタルカウンセラー。国家資格キャリアコンサルタント・産業カウンセラ
ー・CDAの資格をフル活用し、主に若年者支援を専門としている。なかでも大学生の支援
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