コンピテンシー面接と従来面接の違い、メリット・デメリットについて解説
コンピテンシー面接では従来の面接とは異なり、企業の優秀な社員の行動特性をもとにした項目をもとに評価を行います。この記事では、コンピテンシー面接と従来との面接との違い、導入にあたってのメリット・デメリット、具体的なコンピテンシー評価項目の作り方などを紹介しています。記事に目を通すと、自社とのコンピテンシー面接の相性、コンピテンシー面接導入の具体的な進め方を知ることができます。
- ・コンピテンシー面接とは
- ・コンピテンシーのレベル
- ・「コンピテンシー面接」と「従来の面接」の比較
- └通常面接とコンピテンシー面接の比較
- ・コンピテンシー面接のメリット・デメリット
- ├メリット
- └デメリット
- ・コンピテンシー面接の導入方法
- ├企業独自のコンピテンシー評価項目をモデルからつくる
- └コンピテンシー評価項目をもとに質問する
- ・最後に
コンピテンシー面接とは
「コンピテンシー面接」の「コンピテンシー(competency)」とは、英語で能力を意味する言葉です。ビジネス用語では、「その人のスキルや思考性や行動特性」という意味で用いられます。この場合、コンピテンシーとは「高いレベルの業績を生み出す行動特性」として用いられます。
新卒採用において、従来の面接に比べ客観的な目線で評価できる、結果を出せる人材を採れるなど多くのメリットがあるため、新たに導入するべき採用手法の一つとして注目されています。
コンピテンシーのレベル
成果に繋がる行動特性であり、たんなる知識・思考力・偏差値などとは異なります。 そして、この行動特性を5段階に分類したものがコンピテンシーレベルです。以下にあげるのは、一般的に浸透しているコンピテンシーレベルです。
レベル1:受動行動
人から言われたことを真面目にやることができる
レベル2:通常行動
必要最低限のことをやるべき時にやれる(創意工夫や自身の意図がない)
レベル3:能動・主体的行動
規則の中で自分なりの明確な理由や意図をもって最善の選択をすることができ、主体的に行動することができる
レベル4:想像・課題解決行動
主体的な行動とともに自ら課題発見、解決する行動をとることができる。また生み出すことができる PDCAサイクルをまわすことができ
レベル5:パラダイム転換行動
斬新な発想を生み出し、周囲を巻き込む状況を作ることができ、ゼロから価値を生み出すことができる。
*参考文献:コンピテンシー面接マニュアル 弘文堂 川上真史・斎藤亮三著
「コンピテンシー面接」と「従来の面接」の比較
| 通常面接 | コンピテンシー面接 |
評価基準 | ・学歴・経歴など | 5段階のコンピテンシーレベル評価項目 |
評価内容 質問内容 | 経験・自己PR・キャリア | ・経験談や行動の意思決定プロセス |
何をみるか | 総合的に優秀な人材かどうか | 成果を出す行動特性(行動プロセス)をもっているか |
回答の信頼性 | 比較的見抜きにくい | 比較的真偽を見抜きやすい |
通常面接とコンピテンシー面接の比較
従来の面接を行っている企業は、「中途採用であれば経歴」、「新卒採用においては学歴」を重視した人事評価により採用を決定している傾向にあります。しかし「コンピテンシー面接」は、社員をモデルにした評価項目を基準に、応募者の思考性・行動特性、スキルや能力や適性などから「企業が求める人材」の判断が可能なため、学生と企業とのミスマッチ防止に効果的です。
通常の面接では仮に自己PRでリーダーシップを発揮した経験を話した場合、候補者全員がリーダーシップがあると捉えることもできるので、優劣がつけにくくなります。コンピテンシー面接では、経験談を掘り下げていくことで、どういった考えで行動したのかまで把握することが可能です。
コンピテンシー面接のメリット・デメリット
メリット
客観的な視点から採用を行える(行動評価が正しく行える)
評価項目を共有しているので、客観的な視点から採用を行えます。主観が入らないので、面接官による評価のぶれが少なくなり、平等に行動特性を評価できます。
結果を出してくれる人材が容易に絞れる
理想とする行動特性の評価項目で面接を行うので、企業に合った人材かどうか容易に判断できます。実際に入社した際に、企業側のニーズとのぶれが起こりにくいのでミスマッチ防止に繋がり、結果的にコストパフォーマンスのよい採用活動となります。
デメリット
モデルとなる社員がいないと難しい
コンピテンシー評価の項目を作る際にロールモデルとなりうる社員がいない場合、評価項目の基礎が作れません。作成したとしても具体性が低くなり、使用可能な評価基準とならないことがあります。
手本となる社員のロールモデルに偏ってしまう可能性がある
所属する社員のみから作成するため、偏った評価基準になってしまったり、企業に所属する人材の多様性を失ったりする可能性があります。また、インタビューを受けた社員が意識していないことが重要なポイントとなる可能性もあります。極端な偏りを減らすためには、複数の人間から共通した行動特性を見出すことが必須となってきます。
評価項目を作成するのに手間がかかる
部門、職種ごとに評価項目を作らなければならず、時間的にも人材的にもコストがかかります。しかし、一度項目を作ってしまえば、その後は項目を年ごとにアップデートしていくだけで済むので、採用活動の負担は減る場合もあります。
応募者の志望度上昇には繋がらない
コンピテンシー面接は、応募者を企業のニーズに合っているか見極めるという面に関しては優れた手法ですが、応募者が圧迫面接と感じてしまうこともあります。応募者の志望動機を上げるためには、志望動機付けとほどよいバランスをとってコンピテンシー面接を行っていく必要があります。
時間がかかる
用意した質問を投げかけ、それに答えてもらう面接とは異なり、コンピテンシー面接は
互いにその場で質問や回答を考えながら対話する必要があります。一般的な面接と比較して時間がかかるデメリットがあります。
コンピテンシー面接の導入方法
企業独自のコンピテンシー評価項目をモデルからつくる
一般的な評価項目が決まっているわけではなく、会社それぞれに特有の項目を用意します。作り方としては、「理想モデルをつくる」か「ハイパフォーマーの社員を手本に実在型モデルを作る」といった方法が一般的です。
具体的な作り方は以下の通りです。
手順1 コンピテンシー・ディクショナリーを用意
コンピテンシー・ディクショナリーとは、1993年にライルM.スペンサーとシグネM.スペンサーが開発した「コンピテンシーを体系化し、包括的な尺度をつけたもの」です。コンピテンシーをモデル化するための基本的な考え方になります。どのような職種や役職にも応用可能です。ディクショナリーは、6つの領域とそれに含まれる20項目に分類されています。使用する際は、職種はもちろん企業理念や事業戦略に沿って、必要なコンピテンシー項目の取捨選択をすることが重要です。どのような要素がコンピテンシー(高い業績をあげる行動特性)になり得るのか、当たりを付けていきます。
コンピテンシー・ディクショナリー
コンピテンシー | コンピテンシーの項目 |
1.達成・行動 | 達成思考 |
2. 援助・対人支援 | 対人理解 |
3.インパクト・対人影響力 | インパクト・影響力 |
4. 管理領域 他者育成 | 指導 |
5. 知的領域 分析的志向 | 概念的志向 |
6. 個人の効果性 | 自己管理 |
出典:Spencer & Spencer(1993)
手順2 高い業績を上げる社員=ハイパフォーマーを職種別、部門別ごとにピックアップ
手順3 ハイパフォーマーの行動とその意図をヒアリング・観察
業種や部門ごとに高い成果を上げている社員へのインタビューを通して、どのような行動をとっているかヒアリングを行います。ハイパフォーマーが自覚している行動特性と、自覚はしていないが、業務を観察しているときにコンピテンシーとなりうる行動特性を特定します。
余裕があれば、コンピテンシーを具体的にするために、ハイパフォーマーではない社員にもコンピテンシー・ディクショナリーをもとにヒアリングを行っておくのが望ましいです。ハイパフォーマーとそうではない社員による行動の違いが明確になり、コンピテンシーモデルとなる望ましい行動が具体化されていきます。また、現社員がより成果をあげるために改善していくべき部分が把握しやすくなります。
手順4 コンピテンシーの洗い出し、ハイパフォーマーに共通する行動特性を整理
インタビュー、観察を通して、得られた特性をコンピテンシー・ディクショナリーで抽出した要素と照らし合わせて、自社に合ったコンピテンシー候補を洗い出します。
同時にハイパフォーマー社員に共通する行動様式をまとめます。結果を出すまでの行動を時系列的に並べましょう。「行動の意図」や「行動の効果」を整理し、ハイパフォーマーに共通する「考え方」、先ほど洗い出した「行動特性」、「スキル」をリスト化していきます。その後、大まかに大別していき、ランク付けしていきます。
手順5 企業理念、経営戦略とのすり合わせ
コンピテンシー候補から、企業理念や経営戦略に合致しないものをリストから外していきます。
手順6 コンピテンシーの選定
この時点で、コンピテンシーが多すぎる場合は、「成果への影響がより大きい」、「継続して社員の能力を育成できる」といったものを選びましょう。
手順7 行動特性をコンピテンシー評価項目として分類・レベル付けする
コンピテンシーに3~5段階にレベル付けをし、レベルごとの達成度や習熟状態を具体的に分けていきます。
手順8 コンピテンシー評価項目のテストと調整
評価基準が適正になっているか、ハイパフォーマーの社員や中程度の業績の社員で確認します。複数人を評価することで、精度を高めることができます。
コンピテンシー評価項目をもとに質問する
コンピテンシー評価項目を用いてどのように面接を行っていくべきでしょうか。コンピテンシー面接は、Googleで用いられている行動面接「STAR面接」と基本的に同じです。応募者を公平に判断できるとされるSTAR面接を質問のフレームワークとすると、面接での質問作成が容易になります。
<STAR面接>
S:Situation どういった状況だったのか 昨年状況、人数などの前提条件
T:Task どういう役割だったのか チームの中でどういった役割をになっていたのか
A:Action どんな行動をとったのか どんな根拠で、思考で、その行動に至ったのか
R:Result どんな結果になったのか 数値評価、前年対比、学んだことなど
応募者の話をSTARにあてはめて聞いていくと、どの部分が弱いかが深堀りできるようになります。一つの問題に対して「状況→課題→行動→結果」と深く掘り下げ、応募者がどのコンピテンシーレベルにいるかを客観的に見て判断していきます。
応募者の行動特性を丁寧に深堀りできるよう細分化していきましょう。
<掘り下げる最初の質問例>
・大学生活で最も力を入れたことはなんですか?
・大学生活で最も工夫したことはなんですか?
・周囲を巻き込んで何かをした経験はありますか?
・これまでに困難を乗り越えた経験はありますか?
最後に
コンピテンシー面接は通常面接と比較して評価基準が明確で、平等に応募者を評価する採用手法として注目されています。また、結果的にコストパフォーマンスの良い採用手法となっています。メリット・デメリットを考慮し、取り入れてみてはいかがでしょうか。
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